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KDDIとLGが生んだ異才な存在「isai LGL22」――“ただのコラボモデル”じゃない理由とは

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 11月23日に発売されたKDDIのauスマートフォン「isai LGL22」。同社が10月2日に発表した2013年冬モデルの1つであり、LGエレクトロニクスと共同開発したコラボモデルとして、特に力を入れている機種だ。

photophoto「isai LGL22」

 製造を担当したLGエレクトロニクスは、11月5日から日本の報道陣を対象とした「isai Press Conferance2013」を韓国・ソウルで開催。KDDIの担当者も出席したこのイベントで、2社が取り組んできたLGL22開発の道のりが明かされた。海外のスマートフォンメーカーが開催するプレス説明会に日本のキャリアが参加するのは極めて珍しく、LGエレクトロニクスとKDDIが「isai」にかける強い思いが伝わるイベントとなった。

KDDIはなぜLGを選んだのか LGの狙いは

photoLGエレクトロニクス・ジャパンのキム・ヒチョル氏

 LGエレクトロニクス・ジャパンでisai開発の陣頭に立ったのが、同社モバイルコミュニケーション プロダクトチーム課長のキム・ヒチョル氏だ。説明会ではまず、キム氏からisai開発の経緯が語られた。

 LGエレクトロニクスのスマートフォンといえば、長らく「Optimus」というブランド名でシリーズ展開をしていた。しかしこの夏、LGエレクトロニクスはスマートフォンの主力製品について、ブランド名を「G」に統一すると発表。Optimusブランドは新興国向けモデルなどに一部で残るものの、日本や米国に投入するフラッグシップモデルは「G」というシリーズ名になった。

 その第1弾となったのが、8月に発表された「LG G2」だ。第1弾でありながら“2”が付くのは直前まで「Optimus G」シリーズを展開していたからであり、ブランドイメージの継承を意識させる意味もあるのだろう。Optimus Gに限ると、国内ではNTTドコモが「L-01E」として、またKDDIもauの「LGL21」として販売。特にau向けのLGL21は、予想以上に日本市場とKDDI内部での反応が良かったという。

 キム氏はこのLGL21の成功が今回の共同開発のきっかけになったと振り返る。「3M」戦略などを進めるKDDIには、さらに幅広いユーザーに受け入れられるスマートフォンが必要であり、それを実現してくれるメーカーの存在が欠かせない。LGL21の高い商品力を評価したKDDIは、LGエレクトロニクスにオリジナルスマホの共同開発を打診。一方のLGエレクトロニクスは、日本という厳しいユーザーがいる市場で自身の商品力を高める機会と捉え、グローバルメーカーとしては異例の取り組みを進めることになった。

単なるコラボモデルの枠組みを超えた「isai」な存在

 こうしてスタートした共同開発だが、具体的にどういった製品を作るのか、最初からイメージしていたわけではないという。auといえばフィーチャーフォンのころからデザインに注力したコラボモデルを多く手がけており、スマートフォンでもHTCとタッグを組んだ「HTC J」「HTC J butterfly」などが記憶に新しい。LGとしてもグローバルモデルの日本向けカスタマイズをはじめ、防水ボディやオリジナルデザインなど、従来のコラボモデルで考えられる取り組みはこれまでも行ってきている。

photo「isai」ブランドの目的

 「ユーザーが驚くような商品を提供しよう」という目的こそ一致していたが、より一歩進んだ共同企画では何をするべきなのか? 両社の担当者が議論を重ねた結果、製品の「意外性」、所有の「特別感」、誰もが「使いこなせる」簡単さ——という3つの目的が設定された。特に“使いこなせる”というキーワードは、今後増えるさまざまなユーザー層に受け入れられる端末を目指すためのものだ。この3つの目的を達成するための手段が、作り込まれたボディデザインと、オリジナルのユーザーインタフェースおよびユーザー体験(UI/UX)の提供になるのだが、この段階ではさらに重要なことも決定した。それが「isai」というブランド名だ。

 キム氏によるとisaiとは「異才」を意味し、日本のモバイル業界に両社の新しい取り組みを伝える特別な存在として位置付けたのだという。つまりisaiとは、個々の端末を指すだけでなく、このプロジェクトそのものを意味する。それがどれくらい特別なのかを表わすエピソードとして、キム氏はスタッフの人選について明かした。

 LGはisaiの開発チームに、普段はグローバルモデルの開発に携わっているスタッフをアサインするなど、かつてないシフトを敷いた。いかにisaiがKDDI肝いりのモデルとしても、その調達数はグローバルモデルには到底及ばない。ビジネスの規模から見れば、日本向けローカルモデルの開発にグローバルモデルと同じような体制を取ることは、異例中の異例だったという。もちろん日本語に堪能なスタッフばかりではない。韓国本社の開発陣に日本語の“isai”という意味を知ってもらい、チームでブランド価値を共有することからスタートしたという。最終的にクリアしたものの、日本市場への意識の違いも浮かび上がった。例えばグローバル市場で「防水」は優先度が低いが、日本では必須の要素。こうした違いを埋めるのもまた、開発の第一歩だったという。

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