「携帯電話の通話料金というものは10年以上も高止まりしたまま、『何でこんなに高いの?』という状態が続いている。『楽天でんわ』はスマホの通話料金をメガキャリアの半額である30秒10.5円にする」——楽天の國重惇史副社長は新サービス「楽天でんわ」の発表会席上でこう宣言した。
國重副社長は、通話料金が下がらない理由として「国内にメガキャリアと呼ばれる3社しかいない環境」を挙げる。楽天でんわが通話料半額サービスを提供することで、この寡占状態に一石を投じ、価格競争を喚起しようというのだ。
電話回線を使った高品質、低価格な通話サービス「楽天でんわ」
楽天でんわは、楽天グループの通信会社であるフュージョン・コミュニケーションズの電話回線を使った発信専用の格安通話サービスだ。固定電話、携帯電話と通話できるが、国際電話は使えない。
専用アプリ(iOS/Android)を使って電話をかけると、通話料金が一般的なLTEスマホプラン(30秒21円)の半額に当たる30秒10.5円になる。また、通話料金100円につき1ポイントの「楽天スーパーポイント」が付与される。将来的には楽天でんわの支払いにもポイントを使えるようにする予定だ。
具体的には、アプリが自動的に相手番号の前に「0037-68」という番号を付けて発信することでフュージョンの電話回線を経由する仕組みだが、かけた相手には利用中の携帯電話番号(090もしくは080から始まる番号)が通知される。データ通信を使ったIP電話とは異なり、通常の電話回線を使うために通話が途切れたり、遅延が発生したりといった品質の低下を招かないとしている。
サービス利用に当たっては、専用Webサイトから電話番号とクレジットカード情報の登録が必要。月額利用料金や初期費用は発生せず、利用年数縛りもない。既存の携帯電話契約を維持したまま、通話部分だけを楽天でんわに置き換えられる。
フュージョンの相木孝仁社長は、「通信キャリアが提供するスマホのサービス体系は、さまざまなオプションサービスなどが複雑に絡み合っていて非常に分かりにくい。楽天でんわは、使わなければ費用が一切発生しない料金体系。使ったときに、使った分だけ料金が発生するシンプルさ、分かりやすさを重視した」という。
携帯電話のサービス乗っ取りではない
質疑応答では「携帯電話キャリアの番号がそのまま使えるというのは、ある意味で“サービスの乗っ取り”ではないか?」という指摘を受けた相木社長。楽天でんわは既存の携帯電話会社と相互接続協定を結んだ中継サービスであり「乗っ取りには当たらない」と否定した。発信側と着信側の携帯電話会社に対して回線接続料を支払っているという。
また記者会見後の囲み取材で、楽天の國重副社長は「大手携帯電話会社は、従来型携帯電話の通話料は割安となるプランを柔軟に用意しているのに、LTE対応スマートフォンに対しては最高値となる30秒21円しか提供していない。無料通話分も提供しない。これはおかしい」と疑問を提示。「契約にのっとってサービスを提供しているが、半額ということに対して既存キャリアから何らかの圧力を受けるような事態になれば、そのときはぜひメディアのみなさんに指摘してもらいたい」と笑っていた。
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