Intelは、さる11月21日(米国時間)に投資家向け会議を行ない、5月に新CEOに就任したブライアン・クルザニック氏率いる新生Intelの企業戦略を明らかにした。この会議において、今後Intelはタブレットやスマートフォン向けのモバイルSoCの大幅な強化を図ることや、最先端の製造技術を誇る同社の半導体技術を、他社に対しても積極的に提供していく考えを示した。そこで、今回は、先日行われた投資家向け会議の概要と、同社新戦略に対する関係企業の反応などをまとめる。
Intelが、2014年の最大目標に掲げるのは、タブレット市場における影響力の拡大だ。クルザニック氏は「急成長を遂げているタブレット市場に対し、現状の4倍の製品(SoC)を出荷する」とし、低価格帯から高性能モデルまで、すべてのレンジでIntel製SoCを実現できるよう、モバイル向けSoCのロードマップを大幅強化した。
同社でモバイル通信事業を統括するヘルマン・オイル副社長は、2014年にはタブレットやスマートフォンの市場が15億デバイス市場へと拡大するという市場調査結果を踏まえつつ、まずは、同社の競争力が上がっているタブレット市場に注力し、続いてスマートフォン市場に積極的に進出する意向を示した。そこで同氏は、
- パフォーマンスの加速度的向上とSoCへの機能統合
- Androidへの対応強化
- 低価格製品の実現
- LTEへの対応
がカギになるという見方を示した。このうち、パフォーマンス面では同社CPUコアがすでに64ビット対応を果たしていることの優位性をアピール。来年にも64ビット対応が果たされるAndroid市場において、機能や性能で優位に立てるという自信を見せた。
また、同氏は現在のタブレット市場を価格帯別に分析し、ミッドレンジからエントリーモデル市場の成長が大きくなると予測。この市場トレンドをサポートすべく、同社のモバイルSoCロードマップを大幅に強化する計画を明らかにした。
まず、同社は2014年前半に、“Bay Trail”(ベイ・トレイル)の開発コードネームでも知られる最新のAtomプロセッサと同じSilvermontコアを採用するタブレット・スマートフォン向けSoCの“Merrifield”を投入する。
同SoCはデュアルコア構成となるが、2014年後半にはMerrifieldのクアッドコアCPU版となる“Moorefield”(ムーアフィールド)、さらに2014年末までには14ナノメートルプロセスを採用し、次期Atom CPUアーキテクチャとなる“Airmont”(エアモント)コアを採用する“Cherry Trail”を投入するなど、矢継ぎ早にタブレット・スマートフォン向けSoCを投入する意向を示す。
一方、低価格タブレットやスマートフォン向けには、LTE/3GモデムやGPS、Wi-Fi機能などを統合する“SoFIA”を投入し、100ドルを切るスマホにもIntel製品を浸透させる計画を明らかにした。なお、同社はSoFIAに統合するモデム機能として、3G対応版を先行させ、LTEモデムの統合は2015年に行なう計画だ。また、同SoCはIntel自身では製造せず、外部ファブを利用することも明らかにされた。
これにより、Intelはタブレットの全価格帯をサポートするソリューションをそろえるとともに、Androidの64ビット対応をきっかけにモバイル市場におけるイニシアチブを握り、さらにスマホ市場でもSoFIAで市場拡大を狙うようだ。
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