LTEスマホを使い始めてから、月額料金が高くなった——。こんな声が後を絶たない。フィーチャーフォン(従来型携帯電話)に比べてスマホの月額利用料は高く、無料通話分がない。うっかり長電話をすると、驚くような請求が来てしまうこともある。「どうにか節約できないものか」と考えている人も多いことだろう。
こうした中、注目を集めているのが「格安SIM」を使った安価な携帯電話サービスだ。月額1000円以下のサービスなど“安さ”が脚光を浴びているが、安いのには理由がある。低速のサービスだったり、高速ながらも1日に使えるデータ容量が限られていたりと、何らかの制限付きで安くなっているのだ。
しかし、がっかりするのは早計だ。テキストベースのWebやメール、スケジュールのチェックが主な用途のビジネスパーソンなら低速でも十分かもしれないし、たまにしか高速パケット通信が必要ないのであれば、必要に応じて高速通信をオプション購入できるような格安SIMサービスを選べば月額料金を節約できる。また、メインのスマホとは別に、仕事用のスマホを持ちたいというニーズにも適している。
この新連載では、“制限付きながら安い”ことがウリの格安SIMについてビジネスシーンを想定した長期テストを16回に渡って実施。格安SIMでWebやメール、050番号の通話、SNS、マップ、クラウドストレージなどをストレスなく使えるのかどうかを検証する。通信コストを本気で抑えたい、そして「格安SIMで仕事を効率的に」と考えているビジネスパーソンは必見だ。
格安SIMって何?
NTTドコモやKDDI、ソフトバンクモバイルといったおなじみの携帯電話会社が提供するのではなく、携帯電話会社からモバイル回線を借り受けた企業が提供する安価な携帯電話サービス。大手携帯電話会社のサービスとの差別化を図るため、安価で提供しているサービスが多いが、速度や通信容量を制限することで安くしているケースが多い。
多くのサービスがNTTドコモのモバイルネットワークを借り受けてサービスを提供していることから、格安SIMを使う際にはドコモの中古のスマホを端末として利用できる。ほかにも、SIMロックがかかっていないiPhoneやNexus 5といったSIMフリー※端末を利用可能だ。
格安SIMのビジネススマホ二刀流をオススメする理由
「『格安SIM』とは何か?」という詳細な話は後回しにして、ビジネスパーソンが格安SIMを導入すると何ができそうなのかを考えてみよう。
まず何より、月額利用料金を大幅に安くできる。一般的にスマホの月額利用料金は、パケット定額プランなどを合わせて6000円以上するのはご存じのとおり。ところが格安SIMを使えば月額1000円以下は当たり前、中には月500円以下というサービスもある。
では、メイン端末を格安SIMに切り替えてしまえばいいのか? と考えるとちょっとためらいがある。確かに節約効果は高いが、多くの格安SIMは「通信専用」だ。通話が一切不要というビジネスパーソンはいないだろう。
ゆえにオススメしたいのは、既存のスマホは通話用、あるいはプライベート用として残して、格安SIMでの「ビジネス専用スマホ」(データ通信しかできなくてもIP電話は使える)との2台持ちで総コストを下げる方法だ。
2台を使い分けることで新たなメリットも生まれる。1台では着信履歴やアドレス帳、メールがビジネスとプライベートで混ざった状態になってしまう。また、メモやToDoリスト、スケジューラーの予定もどうしてもごちゃごちゃしてくる。それを解決するための「整理術」を習得するのもいいが、2台持ちなら簡単に解決できる。
ただしビジネスで使う以上、万全を期す必要がある。客先に電話しようとしたら通話できなかった、調べものをしようとしたらネットにつながらなくなった、書類を閲覧しようとしたらアプリが使えなかった……こんなことがあっても「格安SIMだから」なんていう言い訳は通じない。
また、仕事でバリバリ使っていたら「通信料金が結局高くついた」「使い過ぎて通信速度がずっと低速……」なんてことも避けたい。めいっぱい使っても格安SIMは、安くて快適なのか。どう使えば快適なまま使い続けられるのか。そのあたりをこれから毎週チェックして検証していく。
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