米Appleのティム・クックCEOは自らの指揮下でAppleがさまざまな技術革新を重ねてきた実績を強調するとともに、「今後さらにいくつか画期的な製品をリリースする予定だ」と語り、その中にウェアラブル端末が含まれる可能性を示唆した。
「この分野は可能性を試すべき段階に差し掛かっている」とクック氏は5月28日、米カリフォルニア州の海岸リゾート地ランチョパロスバーデスで開幕した「All Things Digital Conferences(D11)」で語った。All Things DigitalはIT業界とメディアの幹部を集めて毎年開催されているカンファレンスだ。
「機は熟している。今後、多くの企業がこの分野に取り組むことになるだろう」と同氏。
クック氏のこの発言は、Appleが韓国Samsung ElectronicsやGoogleといったライバルに地歩を奪われつつあるのではとの懸念が高まる中で行われた。スマートフォンとタブレットの市場を生み出したAppleだが、最近は収益の伸びが鈍化し、株価の低迷に見舞われている。
Appleは腕時計型のウェアラブル端末を開発中ともうわさされているが、クック氏はその点については明言せず、「ウェアラブル端末は人を引き付ける魅力的な存在でなければならない」とだけ語っている。
Googleの「Google Glass」については、同氏は「限られたユーザーにしかアピールしないだろう」と語っている。Google Glassはモバイル端末とメガネの中間的な存在であり、動画の録画やインターネットへのアクセスが可能だ。
「メガネをかけたり、手首にバンドや腕時計を付けたことがない子供でも装着したくなるようなものはまだない。少なくとも、わたしにはそう思える」とクック氏は約1時間半に及ぶ質疑応答セッションで語った。
「この分野にはまだ解決すべき課題が多いということだ」と同氏。
さらにクック氏はテレビに関して、現行の99ドルのストリーミング動画端末「Apple TV」を超える「壮大なビジョン」を持っている、と述べている。ただし、詳細は明らかにされなかった。Appleは以前から、テレビ分野に強い関心を示している。
またAppleは、重要な製品を開発する上で助けとなるのであれば、大型の企業買収もいとわないという。クック氏によれば、これまでAppleは年間で平均約6件の企業買収を行っているが、2012年10月からの会計年度には既に9件の企業買収を行ったという。
クック氏はさらにモバイルOS「iOS」のアップデートについても示唆した。同氏はiOSの今後については6月に開催する開発者向け年次カンファレンスで発表するとした上で、「地図アプリなどのオンラインサービスの改良に力を入れている」と語っている。
Appleは2012年9月、それまでiPhoneに搭載していた「Google Maps」アプリを、自社で開発した地図アプリに置き換えた。だが、この地図アプリは当初ひどい間違いが目立ったことから、ユーザーやレビュアーに酷評され、クック氏が公式に謝罪する事態にまで発展した。
「Appleはクールさを失ってきているのでは」との質問には、クック氏は「そのようなことは断じてない」と答え、端末の販売台数や顧客満足度に関するデータを列挙してみせた。ただし同氏は、同社の株価の突然の下落には失望しているという。
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