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「iPad Air」は「iPad mini Retina」より高画質は本当か?――測色器で徹底チェック

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画面解像度はAirもminiも同等、しかし発色は……

tm_1311_ipadair_lcd_01.jpg「iPad Air」(写真=左)と「iPad mini Retinaディスプレイモデル」(写真=右)

 アップルは2013年の年末商戦に向けて、iPadファミリーを大幅に強化してきた。薄型軽量を徹底追求した9.7型モデル「iPad Air」と、液晶ディスプレイの高精細表示が可能になった「iPad mini Retinaディスプレイモデル」(以下、iPad mini Retina)、どちらを選べばいいか頭を悩ませている方も少なくないだろう。

 今回のモデルチェンジにより、iPad miniが待望の「Retinaディスプレイ」を採用したことで、表示解像度が初代iPad miniの1024×768ドットから2048×1536ドットに高まり、9.7型のiPad Airに追いついた。Webページや電子書籍の細かい文字、画素数が多い写真の表現などでその違いは一目瞭然だ。

 しかし、実際にiPad AirとiPad mini Retinaを手元で見比べると、どちらもドットを判別できないほどの高い画素密度を体感できる一方、発色がかなり違っているのが気になった。iPad Airに比べて、iPad mini Retinaは高彩度の色が薄く、色域(表示できる色の範囲)がやや狭く見えるのだ。

 それでは、実際にどれくらい発色が違うのか、iPad AirとiPad mini Retinaの液晶ディスプレイ表示を測色器で計測し、比較してみた。テストしたのは各モデル1台ずつで、個体差や液晶パネルベンダーの違いは考慮していない。製品によって別の表示傾向を示す可能性があることは、あらかじめお断りしておく。

tm_1311_ipadair_lcd_02.jpgtm_1311_ipadair_lcd_03.jpgマイクロスコープで液晶ディスプレイの画素を確認した。左のiPad Airは画素密度が約264ppi(ppi:1インチあたりのピクセル数)、右のiPad mini Retinaは画素密度が約326ppiとさらに高く、より精細な表示が可能だが、どちらも目視でドットが認識できないレベルだ。画素形状は過去のiPadと似ており、これまでと同じ液晶パネルメーカーと予想される。つまり今回テストした機材は、採用がうわさされるシャープ製のIGZO液晶ディスプレイではないようだ

測色器でiPad AirとiPad mini Retinaの表示を計測

 テストはエックスライトのカラーマネジメントツール「i1Pro」を使って行った。iPad AirとiPad miniにPCの外部ディスプレイとして利用できるアプリを導入し、i1ProでiPadの発色を直接計測している(計測ソフトは「i1Profiler」を使用)。

 どちらのiPadも環境光に応じたバックライトの自動調光機能をオフに設定したうえ、計測を数回繰り返して、輝度を手動で約120カンデラ/平方メートルの範囲内にそろえた(最高輝度設定ではどちらも400カンデラ/平方メートル超の明るさだった)。参考までに、過去に計測した初代〜第4世代のiPadおよび初代iPad miniの計測結果も併記している。

 結果は下表の通りだ。

i1Proで計測したiPadの色温度(輝度は約120カンデラ/平方メートルに固定)
製品名液晶ディスプレイ画素密度色温度
初代iPad9.7型(1024×768ドット)約132ppi7100K
第2世代iPad(iPad 2)9.7型(1024×768ドット)約132ppi6900K
第3世代iPad9.7型(2048×1536ドット)約264ppi6400K
第4世代iPad(iPad Retinaディスプレイモデル)9.7型(2048×1536ドット)約264ppi6761K
初代iPad mini7.9型(1024×768ドット)約162ppi6834K
iPad Air9.7型(2048×1536ドット)約264ppi6937K
iPad mini Retinaディスプレイモデル7.9型(2048×1536ドット)約326ppi6941K

 iPad AirとiPad mini Retinaの計測結果は色温度が約6900Kだった。これはPCやネットコンテンツ、デジタルフォトにおいて標準的な色域となっているIEC(国際電気標準会議)の国際規格「sRGB」で定められている色温度(6500K)にかなり近いが、先代モデルより少しだけ高い値だ。

 色温度が低いと、白色の表示が黄から赤みがかって見え、高くなるにつれて青っぽく変化する。目視では2台とも濁りがなく、すっきりとした白色に見える。日本人は色温度が高い表示を好む(青みがかった白を白と感じる)傾向にあるので、少し色温度が高い表示のほうが自然な白に感じる人は多そうだ。

 ガンマカーブの補正結果は、iPad Air、iPad mini Retinaどちらも素晴しい結果だった。RGB各色の入力と出力の関係がほぼ1:1で推移しており、シャドーからハイライトまで正確だ。つまり、グラデーションの表示が崩れてしま模様が見えたり、グレーに余計な色がかぶって見えるようなことのない、正確な階調再現が期待できる。先代モデルの計測結果から大きく改善が見られた。

tm_1311_ipadair_lcd_04.jpgtm_1311_ipadair_lcd_05.jpgi1Proの計測結果から抜き出したガンマ補正カーブ。左がiPad Air、右がiPad mini Retina
tm_1311_ipadair_lcd_06.jpgtm_1311_ipadair_lcd_07.jpgi1Proの計測結果から抜き出したガンマ補正カーブ。左が第4世代iPad、右が初代iPad mini。

 次に、それぞれのiPadで色域(表示できる色の範囲)を比較してみよう。

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