2013年11月21〜22日の2日間、The Microsoft Conference 2013が開催された。直近のマイクロソフトおよび日本マイクロソフトの戦略やビジョン、次期製品の情報などが日本向けに一度に公開されるイベントだ。
今年のマイクロソフトは話題が盛りだくさんであることは読者であれば周知のことだろう(下記関連記事参照)。
クラウドインフラ環境に関しては、Windows Server 2012 R2正式ローンチ後の動向やWindows Azureサービスの拡大が挙げられる。開発環境に関しては、Visual Studio 2013や周辺サービス類が発表になっている。また、またWindows OSに関しては、先ほど挙げたWindows Server 2012 R2に加えて、Windows 8.1をリリースしたばかりだ。一方で、インタラクティブなデバイスとしては、タッチスクリーンに対応したWindows 8.1やSurfaceだけでなく、ゲーム機であるXbox 360用のコントローラから出発したKinectと、そのSDKにより、多様なサービスが生まれてきている。
基調講演では、「デバイス&サービス」「クラウドOS」というメッセージを押し出す同社の最新テクノロジを見ることができた。本稿では、それらをダイジェストで紹介する。
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Windows Server 2012 R2関連/Windows Azure関連
Visual Studio 2013関連/Windows 8.1関連
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SQL Server 2014関連
Dynamics CRMもKinect連動、Lync埋め込みでリアルタイムコミュニケーションも
下記画像は、同社製品を組み合わせた医療情報システムのデモだ。まずはKinectを利用した手話コミュニケーションを披露した。
人体の関節部位などを判定して動作を読み取るKinectの仕組みならではだが、手話における手の動きを解析し、翻訳して文字化する仕組みだ。同じKinectを使い、内臓器官の3次元モデルを重ね合わせるデモもあった。
現在、既にWindows 8.1に対応した多様なBluetoothデバイスが登場している。一般的なマウスやキーボード、ヘッドセットなどだけでなく、POS端末向けのデバイスや医療機器も含まれる。デモでは、このうちBluetooth接続の心拍・血圧計を利用して、リアルタイムで患者の情報をWindows Azure上のDynamics CRMに取り込んでいた。
また、Dynanmics CRM上でリアルタイムコミュニケーションツールであるLyncを埋め込んで、遠隔地の医師の指示を仰ぐデモもあった。ここではレントゲン画像などを4Kタブレットで共有している。診断用の画像データを高い解像度のまま共有することで、細部の疾患などについても遠隔地で検証できる。
BIインターフェイスとしてのExcel
続いては、最近話題のオープンデータ活用にならい、ダムの貯水情報をリアルタイムで取得してグラフ化するというシナリオでPowerBIなどのデモが行われた。
デモを見る限り、データ取得に際しては、該当WebページのURLを直接入力すれば「Power Query」が持つHTMLパーサが公開データを「いい具合に」読み込んでくれるようだ。ダムの貯水データを取り込む手続きはほぼマウス操作のみで実現した。地理情報とのマッピングでは「Power Map」機能で詳細な座標情報がなくても「地名」から位置を自動判定するため、ワンクリックで可視化できる。
この他、SQL Server 2014についての言及があった。SQL Server 2014の目玉機能の1つが、OLTP処理高速化を目指した新しいインメモリ処理エンジン「Hekaton」だ。現在CTP2版が公開されている(正式リリースは2014年上半期とされている)。
SQL ServerはBIエンジンといったデータ分析に利用できるコンポーネントなど、周辺機能が同梱されている点が特徴の1つでもある。また、直近では、ストレージI/O高速化を狙ったSSD Applianceを各社が提供し出している。これらに加えて、インメモリ処理エンジンが利用できるようになれば、従来のトランザクション系処理と並行して、高速なデータ分析が可能な環境がオールインワンで利用できるようになる。
既に早期導入ユーザーからの検証結果が集まっており、その中には既存のOLTPと比較して約30倍も処理が高速化している事例が出ているという。
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