「おせち事件は決して忘れることができない」——デイリーディールサービス「グルーポン」(Groupon)を運営するグルーポン・ジャパンの根本啓(ねもと・さとる)CEOは11月21日に開いた会見で、2011年正月に起きた“おせち事件”の反省を繰り返し述べた。「新生グルーポンのスタートの年」と位置付けた2014年を目前に「改めておせちから考え直そう」と、5人の有名シェフが作った「夢のおせち」をプレゼントするキャンペーンを開始した。
11年正月、Grouponで半額チケットを販売したおせち料理が見本と大きく異なったり、食材を偽装していたことが判明し、大きな騒動になった。今年8月に同社の社長に就任した根来氏は当時、アマゾンジャパンの社員だったが、「非常に注目された新しいサービスで事故が起きたことは残念に思っていた」と振り返り、「決してあってはならない、繰り返してはならないと感じていた」と話す。
“おせち事件”以降同社は「さまざまな変革、改善を行ってきた」という。店舗や商品の審査基準は従来の30項目から200項目に増加。不当な二重価格表示や食材の偽装表示を防ぐため、通常価格や食材表記の根拠となる証明書の提示を求めたり、業種ごとの校正・編集チームを発足させるなどの取り組みを行ってきた。
アフターケアにも注力し、クーポン掲載後の店舗ケア専門部隊を設立したほか、電話による問い合わせ窓口も設置し、メールは24時間以内で93%返信しているという。「信用を失うのは簡単だが、回復はすごく難しい。まだまだ改善の余地はあると考えている。正直にこつこつと、基本的な改善をしていく」と根本CEOは話す。
世界のアクティブユーザー4400万 4割以上がモバイルから
“おせち事件”以降もGrouponはグローバルで成長を続け、世界48カ国で累計2億ユーザー(うちアクティブ4400万)が利用、これまでに50万以上のパートナーで、4億以上のディール(クーポン)を販売してきた。スマートフォンアプリは世界で累計6000万ダウンロードされており、購入の40%以上がモバイル経由という。
2014年は「新生グルーポンのスタートの年」と位置付け、品ぞろえの強化やカスタマーエクスペリエンスの改善、スマートフォンアプリの改善などを進めていく。人気アーティストが結婚式や卒業式で歌ったり、プロ選手とスポーツの対戦ができるクーポンなどの販売も検討。「お客様が最初にチェックししたいと思ってもらえるサイト」を目指す。
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