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モーションセンサーデバイスとは何か

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モーションセンサーで組み込み機器がどう変わる?

 近年、Microsoftの「Kinect for Windows」をはじめとした“モーションセンサーデバイス”やその関連技術が続々と登場し、注目を集めています。「Kinect」と聞くと、真っ先に「ゲームのコントローラに置き換わる入力インタフェース」と思われるかもしれませんが、実はそうした利用以外にもさまざまな可能性を秘めているのです。

 例えば、皆さんが普段携わっている組み込み機器の開発に応用してみたらどうでしょうか? これまでにない“新しい価値”が生まれるかもしれません。

 そこで本連載では、なぜ今、モーションセンサーデバイスが注目されているのか、その理由を踏まえながら、組み込み機器開発におけるモーションセンサーデバイスの活用について考察していきたいと思います。

 記念すべき連載第1回では、モーションセンサーデバイスが注目されている理由と、ナチュラルユーザーインタフェースNUI:Natural User Interface)の概念について解説します。


モーションセンサーデバイスとは?

 モーションセンサーデバイスとは何か? 一言で表現すると“人の動き(モーション)”を検出するための装置です。例えば、モーションセンサーデバイスで「手を振る」「両腕を上げる」といった“ジェスチャー(身振り・手振り)”を認識させることで、従来のキーボードやマウスの代わりにコンピュータを操作できます。最近では、スマートフォンやタブレット端末が普及したことで、タッチパネルによる“触れる”操作はおなじみですが、モーションセンサーデバイスを用いれば“非接触”での操作を実現できます。

 ところで、「モーションセンサー」という単語を聞いて、映画やゲーム、アニメーション制作の世界で使われている「モーションキャプチャーシステム」を連想した方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 モーションキャプチャーシステムでは、人の身体に複数のマーカーを付けて、そのマーカーの位置を専用カメラで撮影することで“身体の動き”をキャプチャー(取り込んで保存)します。キャプチャーした身体の動きのデータはコンピュータに取り込まれ、映画やゲームに登場するキャラクターの“人間らしい動きの再現”に利用されます。

 モーションキャプチャーシステムとしては、Vicon Motion Systemsの「VICON」(図1)やQualisysの「Oqus」といった専用システムが有名です。現在では、映画やアニメーションの制作現場だけではなく、スポーツ分野においてアスリートの身体の動きの分析に活用したり、リハビリテーション分野において患者の歩行や動作の分析に活用したりしているそうです。

モーションキャプチャーシステム図1 モーションキャプチャーシステム(参考:Vicon Motion Systemsのケーススタディ) ※出典:Vicon Motion Systems

モーションセンサーデバイスが続々登場!!

 冒頭でモーションセンサーデバイスが続々と登場していると紹介しましたが、実際に、どのようなものがあるのでしょうか。表1に、現在入手できる代表的なモーションセンサーデバイスをまとめました。

メーカー製品名URL
MicrosoftKinect for Windowshttp://www.microsoft.com/en-us/kinectforwindows/
Leap MotionLEAP Motionhttp://www.leapmotion.com/
IntelCreative Interactive Gesture Camera Developer Kit(Intel Perceptual Computing SDK)http://software.intel.com/en-us/vcsource/tools/perceptual-computing-sdk 
http://click.intel.com/intelsdk/Creative_Interactive_Gesture_
Camera_Developer_Kit-P2061.aspx
ASUSXtion/Xtion PRO/Xtion PRO LIVEhttp://www.asus.com/Multimedia/Xtion_PRO_LIVE
PrimeSenseCarmine(PrimeSensor)/Caprihttp://www.primesense.com/
SoftKineticDepthSense(DS325/DS311)http://www.softkinetic.com/en-us/softkinetic.aspx
表1 さまざまなモーションセンサーデバイス

 ご覧のように、Microsoftの「Kinect for Windows」、LEAP Motionの「LEAP Motion」、Intelの「Creative Interactive Gesture Camera Developer Kit(Intel Perceptual Computing SDK)」など、各社から新しいモーションセンサーデバイスや関連技術が続々と登場しています。これらのモーションセンサーデバイスは、専門雑誌やWebサイトでも特集記事が組まれ、脚光を浴びています。


他にもある! ジェスチャー認識を実現するデバイス・技術

 他にも、さまざまな方式でジェスチャー認識を実現するデバイスや技術があります。例えば、赤外線の距離センサーを採用するもの、ステレオカメラで距離を測定するもの、一般的なカメラを用いソフトウェア処理(画像解析)でジェスチャーを識別するものなどです。以下にその一例を紹介します。

  • eyeSight」:ソフトウェアベースのハンドジェスチャー認識技術(eyeSight Mobile Technologies)
  • ジェスチャー認識ソフトウェア」:カメラ映像から手・指の形状を認識(PUX)
  • ZCシリーズ」:太陽光下でも使える3次元距離画像カメラ(オプテックス)
  • GREEEN」:ジェスチャー認識エンジン環境(日本コントロールシステム)


どのモーションセンサーデバイスを選択するか?

 モーションセンサーデバイスは、採用しているセンサーの方式や検出範囲、ソフトウェアの開発環境(SDK:Software Development Kit)などの違いにより、全身の動きをセンシングするのが得意なもの、近距離で指先の細かな動きをセンシングするのが得意なものなど、特徴が異なります。

 なお、代表的なモーションセンサーデバイスの機能や特徴、活用シーンについては、次回以降の連載の中で紹介していきます。

普及の決め手は価格とソフトウェア開発環境

 表1に示したモーションセンサーデバイスが注目されるようになった理由の1つは、デバイスの価格にあります。映画やアニメーションの分野で使われてきた、高精度なモーションキャプチャーシステムは、数百万〜数千万円もする非常に高価な専用機材を必要とします。これに対し、Kinectをはじめとするモーションセンサーデバイスの価格帯は、1万〜2万円程度です。デバイスを安価に入手でき、かつて専用機材でしかできなかった環境と同じようなことを容易に実現できるのですから注目されて当然です。

 さらに、モーションセンサーデバイスの登場と同時に、関連するソフトウェア開発環境やライブラリ群の整備も進み、モーションセンサーデバイスを活用したソフトウェア開発のハードルが大きく下がった点も見逃せません。デバイスの入手性が良く、開発環境が整っているという点は、開発者にとって大きな魅力です。思い付いたアイデアを気軽に実現できる環境が、今すぐにでも入手できるのです。

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