インターネットの普及とともに、「働き方」が多様化している。正社員であることが絶対とされていた時代に対して、現在はフリーランスなど、会社に属さずに仕事をする人々が増えているのだ。
こうした働き方の変化を加速させている背景の1つに、「クラウドソーシングサービス」が挙げられる。時間や場所を選ばず、インターネット環境さえあれば、誰もが仕事を受発注できるサービスである。
そんなクラウドソーシングサービスで、急成長を遂げている企業がある。それが、今回取材をしたクラウドワークスだ。6万人以上にもなる登録者を持つ、同社運営の「CrowdWorks」。働き方の変化をどう捉え、どのような事業戦略を打っているのか。吉田浩一郎社長に話を聞いた。
21世紀は「個人の時代」へ
——クラウドソーシングの存在は、人々がこれまでとは異なる働き方を選択するために、もはや必要不可欠なものとなりつつあるように感じます。「働き方」の変化について、どのように感じていますか?
21世紀は、“個人の時代”になると考えています。まず個人にとっての幸せがあり、それに対して社会が最適化する必要があると思うんです。そのため当社では、「21世紀の新しいワークスタイルを提供する」ことをミッションとしています。
そう考え始めたきっかけは、インターネットとともにWebデザイナーやエンジニアという職業が生まれたことにありました。彼らはインターネットさえあれば業務管理ができ、本来であれば時間や場所にとらわれず働けますよね。
しかし会社に所属していると、どうしても働き方にはルール(制約)が生まれてしまいます。例えば誰かが「24時間働きたい!」と言っても、会社では実際にそんな労働をさせることはできません。これは、私が以前他の会社で役員をしていた際にも、感じていたことです。
これからの社会では、こうした職業の人たちが働きやすい環境を作ることが必要。そう直感し、クラウドワークスを立ち上げたんです。個人の力を最大化させることが、そのまま社会全体の活性化にもつながると考えています。
例えば現在クラウドワークスでは、85歳の利用者もいます。実際にお仕事を受注された方でも、79歳の方がいらっしゃるんです。
既に100歳まで生きることが普通になりつつある社会で、会社員は60〜65歳で定年を迎えます。まだ40年も人生があるのに、仕事をできなくなったらどうすれば良いのでしょうか。きっと、働きたい方はたくさんいると思います。これは高齢者に限らず、女性や若者にも共通すること。誰もが個人として活躍できる場は、社会的にも求められるものなのではないでしょうか。
フリーランスが、楽しく、安心して働くためのインフラを作りたい
——会社に所属しない働き方には、やはり不安もあるのだと思います。そうしたイメージを払拭するのに、必要なことは何なのでしょうか?
これまで「会社に所属していない」ことは、そのままワーキングプアへとつながっていました。しかし、今はもう違います。会社に頼らず、楽しく安心して仕事に取り組める環境作り。それが可能な時代なのだと思います。
では、フリーランスは何を望んでいるのか。当社はそれが、「仕事」「教育」「保障」の3つであると考えています。
フリーランスでも、正社員と変わらない福利厚生を得られること。そして、分からないことを聞いたり、相談したりできる相手がいること。クラウドワークスは、ただ仕事を受発注するだけの場ではなく、そのように広くフリーランスの方々に利用して頂けるインフラを目指しています。
また、これまで仕事はお金を稼ぐことが何よりの目的となっていました。しかし現在は、お金以外の価値観を生み出していくことが大切なのだと感じています。そのためにクラウドワークスは、人々が「働く」ことで笑顔を得るためのツールになっていくのでしょう。
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