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顧客の声を正確に掴め! 業務フロー全体にメスを入れたアンデルセンサービス

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広島市にあるアンデルセンサービス本社広島市にあるアンデルセンサービス本社

 戦後間もない広島で1948年に創業し、今やベーカリーの小売店舗「アンデルセン」やフランチャイズ店「リトルマーメイド」、ホールセールブランド「タカキベーカリー」などを全国で展開するアンデルセングループ。そのグループ全体のバックヤード機能として、人事や経理、情報システム、品質管理、コンタクトセンターなどの業務を一手に引き受けているのが、グループの1社であるアンデルセンサービスだ。グループ各社のスタッフが円滑かつクリエイティブに仕事ができるような環境を整備すべく、約80人の社員が日々奮闘している。

 同社にとって大きなミッションのひとつが、「顧客満足度の向上」である。消費者の声に真摯に耳を傾け、品質を高めるための業務改革や新たな商品開発につなげていく、その要となる役割を担っているのだ。そうした中、このミッションを実現すべく同社が取り組んだのが、顧客の声を社員で共有するためのシステム基盤「お客様の声システム」の構築である。

 お客様の声システムは、2010年5月からグループ全社で運用を開始。ドリーム・アーツのWebデータベース「ひびき Sm@rtDB」がベースになっている。このシステム基盤を導入したことによって、顧客対応時間の短縮や社内業務の大幅な効率化を実現した。「以前の混とんとした業務状況にはもう戻れないほど便利になった」と同社 お客様相談室の小森有子氏は強調する。具体的にどのような変革がなされたのか。その過程を振り返ってみよう。

正しい顧客情報が反映されない

 新システム基盤を構築する以前の顧客対応状況はどうだったのか。同社では、顧客からの問い合わせや意見、クレームなどは、主に電話と封書で寄せられており、それらを各社の担当者が専用フォーマットの用紙に記入して、お客様相談室に送付。それらをPC端末で打ち直してデジタルテキスト化し、「Microsoft Access」で作った簡易的なデータベースに入力していた。

アンデルセンサービス お客様相談室の小森有子氏アンデルセンサービス お客様相談室の小森有子氏

 「この方法だと時間がかかり、情報の伝わり方が不正確だった。例えば、担当者によっては図や絵を描いて説明したり、文字が読めないものもあったりした。また、1つのお申し出に対して最初から最後まで一気通貫で把握できない状況だった」(小森氏)

 顧客からのお申し出への対応における一番の問題は、過去に起きたことと同様のクレームが再発してしまうことだった。それに対処する時間やコストが無駄に発生してしまうことに加えて、顧客からの信頼を失うリスクに直結する。そうした事態を防ぐべく、クレーム処理をフロー中心からデータ中心に変更し、全社で統一したフォーマットを基に入力できるシステムを導入したいという思いがお客様相談室には常にあったという。

 ただし、単にシステムを入れれば解決する問題ではない。徹底的な業務フローの見直しと再構築が不可欠だった。そこで、お客様相談室を中心に、まずはアンデルセングループとして今後どのような顧客対応を目指すのか、顧客の声をどのように業務に生かしていきたいかという「あるべき姿」を描き、それを基に業務フローを見直していった。

 その過程でグループ各社の担当者にもヒアリングを行ったところ、さまざまな要望が上がってきたが、「迷ったときには自分たちのあるべき姿に立ち戻り、『これは必要ない』『この項目は付け加えた方がいい』などと判断することで、業務フローを作り上げていった」と小森氏は振り返る。

アンデルセンサービス 執行役員 システムサポート部長の堀尾紀昭氏アンデルセンサービス 執行役員 システムサポート部長の堀尾紀昭氏

 この業務フローを土台にRFP(提案依頼書)を作成し、新システムのためのベンダー選定を行った。4社がコンペとなり、最終的にSm@rtDBを採用した。選定理由について、同社 執行役員 システムサポート部長を務める堀尾紀昭氏は、「顧客対応に関して、継続的な業務改革ができるシステムを求めていた。そうした意味でスクラッチ開発も検討したが、導入した後も仕様変更に柔軟に対応できる開発プラットフォームの方が好ましいと判断し、Sm@rtDBに決めた」と説明する。

 また、今まではファイルサーバでデータを管理していたため、テキスト、写真、映像などの整理に苦労していた。Sm@rtDBは使い勝手が良く、さまざまなファイルを自由に取り込むことができるデータベースである点も評価した。

 こうして完成したお客様の声システムは、お客様相談室のオペレーターをはじめ、グループ各社の営業担当者、商品の生産担当者、店舗のサービス担当など、顧客と何らかの接点を持つ社員すべてがユーザーとなってデータを入力する。導入後に戸惑いはなかったのだろうか。「業務フローを作り上げる段階から、実際に使うユーザーを巻き込んで進めていたため、結果的に彼らの理解が深まり、いざ本番稼働しても辞書のようなマニュアルを用意する必要もなかった」と小森氏は話す。

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