2007年の初代発売から約6年。Appleの「iPhone」はスマートフォン市場のけん引役であり続けた。ここ数年はGoogleのスマートフォン向け基本ソフト「Android」を搭載するAndroidスマートフォンも伸びてはいるが、単一モデルとしてのシェアはいまだiPhoneがトップだ。競争が激しく、栄枯盛衰が著しいスマートフォン市場の中でリーダーの座を守り続けている。
とりわけここ日本では、iPhoneの強さ・人気は健在だ。
市場調査会社カンター・ジャパンが発表した資料によると(参照リンク、PDF)、今年1月から3月の春商戦で新たにスマートフォンを購入したユーザーのうち、iPhoneは49.2%、Androidスマートフォンは45.8%という結果になったという。後者のAndroidスマートフォンは複数のメーカー / モデル / OSのバージョンが混在していることを鑑みれば、単独モデルとしてのiPhoneの強さは健在だ。
さらに注目すべきは国別の状況である。カンターグループでは同時期に世界8カ国で同様の調査を行っているのだが、iPhone (iOS)の販売シェアの高さは米国市場を抜いて日本が世界1位になっている。周知のとおり、日本では現時点(2013年8月末)まで通信キャリア最大手のNTTドコモがiPhoneを取り扱っていない。それにもかかわらず、iPhoneの販売シェアがトップなのだ。
現行のiPhone 5の競争力も健在だ。
iPhone 5は2012年9月に投入されており、発売からそろそろ1年が経過する。Appleのモデルチェンジは1年に1回であるため、今は新モデルに入れ替わる直前の"モデル末期"だ。しかし店頭での勢いは衰えておらず、家電量販店やキャリアショップでの売れ行きは好調だ。例えば、家電量販店を中心にしたGfK Japanの販売ランキングデータ(http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1308/30/news016.html)を見ても、ドコモが2013年夏商戦向けの新機種として投入したソニーの「Xperia A SO-04E」と「iPhone 5」がトップ争いをしている。iPhone 5は発売してから1年が経過し価格がこなれてきているとはいえ、Xperia Aもドコモが"ツートップ戦略"として店頭価格を低く抑えてきた。毎商戦ごとにめまぐるしく新製品が投入されるAndroidスマートフォンに対して、1年を通じてiPhoneが互角以上の戦いを行う。その構図は、2008年の「iPhone 3G」発売の頃から変わっていない。
日本では、なぜこれほどiPhoneが売れているのか? 今回はiPhoneのこれまでの総括も踏まえ、それについて考えてみたい。
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