ビジネスインテリジェンス(BI)ベンダーのTableau Japanは5月28日、記者およびアナリストに向けて事業戦略説明会を開催した。同社は2012年11月に日本法人として設立し、今年1月から本格的に営業活動をスタートしたばかりだが、既に数十社の導入実績を挙げている。日本市場での展開について浜田俊社長は「エンタープライズからコンシューマーまでさまざまな規模、業種の需要を取り込んでいく」と意気込んだ。
本社の米Tableau Softwareは1997年に創業。同社の主力製品であるBIツール「Tableau」はスタンフォード大学で開発されたテクノロジーを基にしており、とりわけデータのビジュアライゼーション(可視化)を特徴とする。データ分析、レポーティング、ダッシュボード作成などを実施するデスクトップ製品「Tableau Desktop」や、Tableau Desktopで共有したレポートおよびダッシュボードをWebブラウザからアクセスするサーバ製品「Tableau Server」などで構成される。
最新版「Tableau 8.0」では、Google AnalyticsやSalesforce.comなどのデータソースとの連携、iPadやAndroidといったタブレット端末を活用したデータ分析など、90種類以上の新機能を実装した。
同社は世界114カ国で事業展開し、企業や政府機関、教育機関など1万2000社以上のユーザーを抱える。2012年度の売上額は1億2773万3000ドル、純利益は142万7000ドルに上る(2012年12月末時点)。「過去3年間で売り上げは倍々ゲームで伸びている」と浜田氏は胸を張る。日本でも安倍晋三首相が「ビッグデータ」の活用を普及させるために規制緩和を進めるなど、ビジネス拡大の追い風が吹いているという。
新規顧客獲得に向けたアプローチとして、浜田氏は既存のBIツールとの差別化を強調する。「今までのBI製品は“複雑”“遅い”“重い”“高い”が当たり前。IT部門担当者など限られた人しかデータ活用できないし、製品コストだけでなく開発コストも高かった。我々は“簡単”“早い”“軽い”“安い”BI製品を提供する。データは活用されて初めて『情報』になるのだ」と浜田氏は力を込める。そのためには、データを可視化して、誰でも簡単にすぐ使えるツールが不可欠なのだという。
Tableau Software アジア太平洋地域営業担当副社長のJ・Y・プーク氏も「従来のBIツールだと、レポート作成するのにわざわざIT部門に頼まなければならなかった。製品導入にも数カ月かかる。コンシューマーが容易に利用できるようなBIが必要なのだ」と同社の強みをアピールした。
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