米Microsoftの次期CEOには1つ大きな決断が待ち受けている。現CEOのスティーブ・バルマー氏が打ち出した「Microsoftをソフトウェア会社からデバイスとサービスの会社に変える」という野心的な計画を引き継ぐか、あるいはその計画を破棄して、Microsoftが従来から得意としているビジネスソフトウェアの分野にリソースを結集させるかという選択だ。
バルマー氏は1年以内に退任する意向を8月23日に突然発表した。だが同氏はそのわずか6週間前には、「One Microsoft」という考え方に基づき、全社一丸となってハードウェアとクラウドサービスを中心に据えたビジネスを展開するという遠大な構想を打ち出している。
しかし、Microsoftは長年オンライン検索やスマートフォンから利益を挙げられずにおり、新しい「Surface」タブレットの売れ行きも振るわないことから、こうした方針には疑問の声も上がっている。
投資家は長年Microsoftに対し、赤字のプロジェクトや周辺的なプロジェクトの資金を株主に還元し、収益性の高いWindowsやOfficeやサーバなどの事業にフォーカスを絞るよう求めている。
物言う株主であるValueAct Capital Managementもそうした方針に賛同しており、今回バルマー氏が自身の計画より早期の退任を決断した背景には、ValueActが最近Microsoftに圧力をかけていることが影響したともみられている。
Microsoftはここ2年だけでも、検索エンジン「Bing」などのインターネット関連のプロジェクトで30億ドル近くの損失を出している。これには、2007年に買収したオンライン広告企業aQuantiveの評価損として計上された60億ドルは含まれない。さらにMicrosoftは2013年4〜6月期には、売れ行きが不調なSurfaceタブレットの在庫調整費用として9億ドルを計上している。
少なくとも今のところ、Microsoftはバルマー氏の構想の実現を目指しているようだ。Microsoftの社外取締役であり、次期CEOを選出するために設置された特別委員会の委員長を務めるジョン・トンプソン氏は23日、取締役会はバルマー氏の組織再編計画に「コミットしている」と語っている。
この特別委員会は1年以内に後任CEOを選ぶ予定だ。同委員会が最終的に誰を選出するかは、取締役会が実際バルマー氏の計画にどの程度本気でコミットしているかや、外部からの助言に対してどれだけオープンかを示す手掛かりとなる。
「組織再編と戦略的移行を着実に進めていくには、サーバ部門の責任者を務めるサトヤ・ナデラ氏やWindows部門の誰かなど、社内から後任CEOを選出するのが理にかなっている」とMorningstarのアナリスト、ノーマン・ヤング氏は指摘する。
「だが、Microsoftには新鮮な空気が必要であり、組織再編の実現だけでなく社外の視点を持ち込める人物が必要だとの強硬な主張が提起される可能性もある」と同氏は続ける。
そうなれば、Xboxの売却やBingの打ち切り、あるいはタブレットなどのコンピュータデバイスの製造中止といった展開も考えられる。
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