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グループ社員2万人が活用へ コミュニケーション基盤の共通化を図る大成建設

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ICT5カ年計画でグループウェアを刷新

 日本の建設業の中では数少ない非同族会社である大成建設。同社では自由闊達な社風から、創業以来、ボトムアップによる業務改革が数多く行われてきた。中でも昨今、同社の強みとなっているのが、競合他社に先駆けたITによる業務改革である。例えば、グループ全体のITをつかさどる情報企画部が社長室に置かれていることからも、経営におけるITの役割の大きさをうかがい知ることができよう。

 そんな同社は、このたび約11年ぶりにグループウェアシステムを刷新した。「主な目的は、グループ経営の強化やコミュニケーションの強化。経営戦略の一環として2011年からの「ICT投資5カ年計画」にこれらを盛り込んでおり、グループウェアや社内ポータルシステムの刷新はその中核に位置付けている」と同社 社長室 情報企画部 企画室 室長の成瀬亨氏は語る。

大成建設 社長室 情報企画部 企画室の成瀬室長(右)と島田課長大成建設 社長室 情報企画部 企画室の成瀬室長(右)と島田課長

 グループウェアに対する同社の取り組みは古く、1995年にフルスクラッチ開発に近いクライアントサーバ型システムを導入した。元々、同社はほかのゼネコンと同様、営業、設計、施工、調達、管理など複数の部門との連携が業務において不可欠であるほか、社外の関係会社とのやり取りも多いため、コミュニケーションの手段について非常に関心が高かったことも導入を決めた一因であった。その後、2002年には、ネオジャパンのグループウェア製品「iOffice V3」を採用した。時を同じくして、「Sybase Enterprise Portal」を基盤としたポータルシステムを導入するなど、常に先進的な取り組みを行ってきた。

 しかしながら、11年も同じシステムを使い続けていると、老朽化やサポート切れなどさまざまな課題が浮かび上がってくる。大成建設では、iOfficeに多数のカスタマイズを施していたため、たとえ製品がバージョンアップしてもシステム更新ができなくなっていた。加えて、スマートフォン、タブレット端末への未対応や、グループ会社共通のシステムでなかったことも業務の足かせとなってきていた。

 「iOfficeを利用していたのは大成建設だけで、ほかのグループ会社は別々のグループウェアを使っていた。そのため、例えばスケジュール共有は電話やメールで個別に行う必要があり、業務連絡に時間がかかっていた。業務効率化に向けてコミュニケーション基盤の仕組みそのものを見直す段階に来ていた」と、同社 社長室 情報企画部 企画室 課長の島田裕司氏は話す。

既存システムからのデータ移行を容易に

 そこで2012年3月、ベンダー4社にRFPを発行。新たなグループウェアの製品選定を開始した。RFPで重視したのは、グループ企業への展開を想定したユーザー管理やアクセス制御、プッシュ機能、スマートデバイス対応である。約3カ月の検討の末、ネオジャパンのクラウド対応グループウェア「desknet’sNEO」が選ばれた。理由について、上記の重視点のほか、グループウェア内での簡易メールである回覧レポート機能の充実、メニュー変更の柔軟性の高さなどを評価したという。さらには、従来システムもネオジャパン製品であったことから「既存データの移行性の高さ、機能概念が大きく変わらずユーザーの混乱が少ないといった点も大きな利点だった」と島田氏は振り返る。

 そうして2012年7月に基本設計を開始し、2013年3月に基本パッケージを納品、4月〜6月にカスタマイズ製品が納品となった。

 新システム導入時の課題についてはどうか。大きな混乱はなかったというが、長年使い慣れていたツールの刷新だったため、すべての部門、支店への説明のほか、プレビュー環境の提供、支援サイトの構築、eラーニングの活用などで、変更点や新機能を事前にエンドユーザーに向けて周知した。「ほかの業務システムとは異なり、旧グループウェアと新グループウェアを並行利用することはできないため、一斉にリプレイスする必要があった」と島田氏は強調する。

コミュニケーションを「いつでも、どこからでも、安全に」

 7月16日から稼働開始した新システムは、現在、1万3000人がユーザー登録している。社内連絡ツールである回覧レポートは、平日平均で約5000ユーザーが約1万2000通発信。スケジュール・設備予約の登録は約4500件/日、ファイル書庫となるキャビネット機能は100〜200ユーザー/日といった利用状況である。desknet’sNEOは、今後1〜2年かけてグループ会社全体に展開する予定で、その際には約2万ユーザーの規模に達する予定だそうだ。

 さっそく効果も見え始めている。ガジェットや通知メールなどのプッシュ機能によって新着情報が迅速に収集できるようになったほか、回覧レポートの一時保存や検索、コメント自動発信などが可能となり、今までと比べて情報にたどり着くまでの時間が大幅に短縮されたと評価している。

 今後、大成建設では、スマートデバイスを有効に活用して、より良いコミュニケーション環境の充実を図るとともに、「いつでも、どこからでも、安全に」使えるICTサービス基盤を整えていく。

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