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実効速度は?――韓国で始まった超高速“150Mbps”のLTE-Advancedを試す

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 2つの周波数帯を利用する「キャリアアグリゲーション」によって、通信速度を高速化する「LTE-Advanced」サービスが、韓国で始まった。最大速度は下り150Mbps。対応端末も年内には増える予定で、韓国のデータ通信速度は世界最速時代を迎えようとしている。

SK TelecomとLG U+がLTE-Advancedを開始

 韓国では2011年7月からから3社ある通信事業者が相次いでLTEサービスを開始しており、国内のカバーエリアもほぼ100%と全土にLTEネットワークの構築が完了している。国内販売されているスマホもほとんどがLTE対応端末となっており、韓国は今や日本、米国と並ぶLTE大国になっている。各社のLTE周波数は以下の通りで、10MHzの帯域で最大下り75Mbpsのサービスを提供している。

  • SK Telecom……850MHz(Band5)、1800MHz(Band3)
  • KT……900MHz(Band8)、1800MHz(Band3)
  • LG U+……850MHz(Band5)、2100MHz(Band1)

 韓国の携帯電話事業はSK Telecomがシェア50%と圧倒的に強く、KTとLG U+がその牙城を崩そうと追いかける構図が長らく続いていた。ところがLTEではLG U+が他社に先駆けカバレッジを全土に展開、王者SK Telecomがそれに追従する形でこの2社が先行しており、KTは若干出遅れている。

 LTEの加入者獲得競争を繰り広げるSK TelecomとLG U+の2社が、その切り札としてこの夏に相次いで開始したのがLTE-Advancedだ。両社は2つの周波数帯を組み合わせ、20Mbpsの帯域を利用することで通信速度を倍にする「キャリアアグリゲーション(CA)」技術を用い、下りの通信速度を最大150Mbpsに引き上げている。LTE-Advancedの商用サービスは韓国が世界初であり、対応端末としてSamsung製の「GALAXY S4 LTE-A」も同時に発売された(参考記事)。なお各社はLTE-Advancedに「LTE-A」の略称を利用している。

photophotoSK Telecomの店舗はLTE-Aの広告が目立つ(写真=左)。LTEより2倍高速を大きくアピールしている(写真=右)

 2013年6月26日にLTE-Advancedサービスを開始したSK Telecomは、ソウルおよび42都市、103の大学をカバーエリアとしており、圧倒的なカバレッジの広さを利用者に大きくアピールしている。年内にはエリアは84都市まで拡大される予定だ。一方、7月18日からサービスインしたLG U+は現時点ではソウルなど8都市・地域にエリアは限定されるが、国内全都市へのカバレッジ拡大は、SK Telecomに遅れまいと早い時期に広げられる予定とのこと。また両社とも対応端末は年内に6〜7機種の予定で、SK TelecomはAppleに対し次期iPhoneのLTE-Advanced対応を要求しているとも言われている。

 ところで、両社ともLTE-Advancedサービスの料金はLTEと同一としており、通信速度向上による追加料金は不要である。そのためLTE端末からLTE-Advanced端末へ買い換えた際は、SIMカードを入れ替えるだけで従来の倍の通信速度になる。

photophotoSK TelecomはLTE-Aのロゴ浸透を図るべく、大量の広告を展開している(写真=左)。追いかける形となったLGU+もLTE-Advancedをアピール(写真=右)

Snapdragon 800搭載でスペックアップした「GALAXY S4 LTE-A」

 SK TelecomとLG U+向けに発売されたSamsungのGALAXY S4 LTE-Aは、こちらも世界初のLTE-Advanced対応製品だ。製品はKTを含む3事業者向けに「SHV-E330S」「SHV-E330K」「SHV-E330L」の3タイプが発売される。ハードウェアの基本スペックは同一で、対応するLTE周波数と事業者向け搭載アプリが異なっている。製品型番の末版は各事業者の頭文字でもある。

 なお、LG U+は3GとしてCDMA2000方式のサービスも提供中である。だが同社向けのGALAXY S4 LTE-A SHV-E330Lは、SK Telecom・KT向けのSHVE330S/Kと同じくLTE/W-CDMA/GSMのみに対応し、CDMA2000には非対応となる。LTE-A開始でLG U+は今後発売する端末のCDMA2000への対応をやめ、音声通話も全面的にVoLTEへと切り替えている。

photophotoソウル市内ではGALAXY S4 LTE-Aの広告も目立つ(写真=左)。SamsungのショールームでもGALAXY S4はイチオシ中だ(写真=右)

 GALAXY S4 LTE-A本体の外見は、韓国で4月から販売されているLTE版のGALAXY S4(SHV-E300S/K/L)と同等で、本体サイズも変更はない。そのため純正やサードパーティ品のボディーケース類や、Qi方式に対応する純正のワイヤレス充電電池カバーなども、GALAXY S4向け製品をそのまま利用できる。

 外見上の唯一の差異は背面カバーで、SK Telecom版には同社の「LTE-A」のロゴが、LG U+版には「LTE-A」のロゴと「100% LTE」の文字が印刷されている。なお本体色はLTE版にはないブルーとレッドが追加されており、ホワイトとブラックとあわせ4色展開となっている。

 スペックはSoCの変更により大幅に強化されている。韓国版のGALAXY S4は「Exynos 5 Octa」(1.6 GHz)を搭載しているが、GALAXY S4 LTE-Aは「Snapdragon 800」(2.3GHz)を搭載し、より高速な動作が可能となった。5インチ Super AMOLEDや1300万画素カメラなどのハードウェアは変更されていない。韓国向け製品ということで、モバイルTVサービスのT-DMBチューナーを搭載している。

 GALAXY S4 LTE-AのSK Telecomでの新規購入価格は950万ウォン(約8万4000円)。契約を行った7月中旬は発売からまだ日が浅いこともあり、2年契約でも割引は一切なく、この全額を24カ月間均等に支払うことになる。一方、4月に発売されたGALAXY S4は現在割引を受けられるため安価に購入できるが、韓国国内ではわずか2カ月で新機種が出てきたことに対して、GALAXY S4の既存ユーザーからクレームの声が多数出ているという。それだけLTE-Advancedへの注目が高まっているということでもあるのだろう。

photophotoパッケージもほぼ変わらないGALAXY S4 LTE-AとGALAXY S4(写真=左)。本体の大きさも同一。ドコモ版のSC-04Eとも正面サイズは同じだ(写真=右)
photophotoSK Telecom版の製品背面にはLTE-Aのロゴ(写真=左)。韓国版だが日本語に対応。Snapdragon 800採用でスペックはGALAXY S4を上回る(写真=右)
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