都内を中心に、Twitterなどで活発に情報発信を行うタクシードライバー・通称「ツイドラ」が増えている。つぶやくのは、待機スペースへのチェックイン情報や、その日の売り上げなどさまざま。SNS上での情報交換によって働き方を変え、売り上げを伸ばしているドライバーもいるという。
「乗り場フル、3列で離脱」「在庫いっぱい、流れ鈍い」「車少ない。@慈恵医大病院にタッチ!」——これらは都内のタクシー会社に務める女性ドライバー、鹿内洋子さん(33)のツイートだ。客を待つ合間などに、愛用のiPad miniで現在の状況をツイート。するとドライバー仲間が次々とリツイートし、情報が広まっていく。
「ネットで働き方? 変わりましたよ。それまで行かなかったエリアにも行くようになったし、“狙い目”の場所を知らせ合うことで売り上げも上がった」。鹿内さんとそれぞれ別会社で働く男性ドライバー3人に、ツイドラの実態を聞いた。
Twitterで作戦立案 広がる「ツイドラ」の輪
取材に応じてくれたのは、鹿内さん、都内のタクシー会社に勤める山内さん(仮名、50代)、別会社に勤める堀川さん(仮名、50代)、個人タクシーで働く横田さん(仮名、40代)の4人。それぞれドライバー歴も所属会社も異なるが、彼らはお互いTwitter上で知り合った「ツイドラ」たちだ。
ツイドラがTwitterでつぶやく内容はさまざまだ。「今ここにいる」といったチェックイン情報から、タクシープール(待機スペース)の混雑情報、さらには電車の遅延状況まで細かく報告し合う。ツイドラたちはこうして得た情報をもとに、その日の“作戦”を考えていく。
「例えば列車事故が起きた時、普通の人なら単に『電車が止まっている』で終わってしまうが、タクシードライバーなら『あそこは終着駅だから、遠くまで乗ってくれるお客さんもいるはずだよ』などの有益な情報をつぶやける。こういう人をTwitterで見かけると『フォローしておこう』と思うし、そうしてツイドラ同士の輪が広がっていったのだと思う」(堀川さん)
ブログからTwitter、LINEへ
4人のTwitterのフォロー/フォロワー数はそれぞれ200〜300人ほど。その多くはツイドラ仲間で占められている。「ツイドラと普通の人では使う言葉が違うから。自然と複数のアカウントを使い分けたりするようになった」と堀川さんは話す。
Twitter以前は、ブログで情報発信を行うタクシードライバーも多かったという。「今でもネットで『タクシー ブログ』と検索すればたくさん出てくる。でも、みんな同じような内容になっちゃっていて。例えば何月何日にどこへ行ったとか、景色がきれいだったとか。コメントもなかなか付かないから、横のつながりが生まれにくかった」(山内さん)
一方、Twitterでは強い“横のつながり”が生まれている。「1〜2カ月に1回ほど、Twitter上で呼びかけてタクシードライバーのオフ会を開いている。集まるのは毎回10〜40人ほど。もっと呼ぼうと思えば呼べるが、仕事がローテーション制なのでなかなか予定が合わなくて」と堀川さん。
オフ会などで仲良くなったツイドラ同士は、Twitterだけでなく「LINE」などのメッセンジャーサービスでやり取りすることも。「LINEはTwitterよりも密接に情報交換するイメージ。例えば同じ会社の人に『今ここが狙い目だよ』と教えてあげたりする」(山内さん)
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