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第1回 自分に合った海外モバイル通信の手段を探そう

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 スマートフォン、タブレット、ノートPCを使いこなされている皆さんは、海外に渡航されるご予定はありますか? その際、渡航先では確実にインターネットにつなぐ手段がありますか? その手段でどのくらい快適につながるかご存知ですか? 費用や、設定方法はばっちりご理解していますか? そしてとても大切なこと。その手段は安全ですか?

 日本から観光やビジネスで海外渡航者は、年間累計1800万人を超える時代。万全の手段を心得ている方も多数いらっしゃると思います。しかし、ネットが自由に使えなくて不便に思った経験をお持ちの方もまた多いのではないでしょうか。海外でのモバイルデータ通信事情について取り上げる本連載の第1回では、私とスタッフが海外出張時に整理した「海外に行ったときにも快適にネットにつなぐ」ためのポイントをご紹介します。皆さんの快適な旅の一助となれば幸いです。

海外でのネット環境の選び方

 「海外でネットを使いたい」——そう思うことは多いでしょう。出張であれば不可欠でしょうし、Facebook、Twitter、LINEなどでコミュニケーションを図りたい、地図アプリを使って観光したい、IP電話で無料通話したい、などなど。やりたいことはいくつもありますよね。

 しかし、つながって当たり前、使えて当たり前の日本にいると、海外に行ったらネットにつなげられない、あるいはつなぐと大変なことになってしまうので、何もできなくなるとしたら、どうしますか?

 大丈夫。正しく選んで安全快適に使う方法はきちんとあります。以下の表をご覧ください。大きく分けて5つの手段について整理しました。

海外ネット利用5つの手段とその特徴
方法内容メリットとデメリット調達しやすさコストモビリティ通信速度複数台利用セキュリティ
国際ローミングドコモ(海外パケ・ホーダイ)、au(海外ダブル定額)、ソフトバンク(海外パケットし放題)など、大手キャリが提供しているサービス ○自分のスマホで利用できる
○新しく何かを契約する必要がなく、機器の設定で切り替わる
×設定が複雑な機種あり
×高額請求の危険あり(設定ミスをしたまま利用すると、高額請求を招く恐れがある)
△そもそも定額でないエリアがあり注意が必要
×一般的に通信速度は日本より大幅に遅くなる
×
Wi-Fiルーターレンタル日本でモバイルWi-FiルーターやUSB端末をレンタルし、海外へ持っていく ○携帯性に優れている
○現地回線を利用するので高速
○広範囲で利用できる
○安心の格安パケット定額制。一般に海外ローミングより安い
○同時に複数の機器を接続可能(同行者がいれば安く済ませられる)
△ルーターのスペックが低いと高速対応しない
△ルーターのバッテリー持ちが機種によって違う
現地回線の契約 直接現地の携帯電話会社と契約する ○長期滞在に向いている
×現地で契約できないことがある(プリペイドがない、売っていないなど)
×現地に行ってみないと分からないことも多い
ホテルのインターネット回線(有線/無線LAN)ホテルが提供しているネット環境。最近は無料のところも増えている○公衆無線LANサービスに比べると安全
○無料提供も増えている
×有料の場合、極めて高額になるケースが多い
×ホテル内でないと利用できない
△低速のケースが多い
○ ×○?  ○○ 
公衆無線LANサービス街中に飛んでいるフリーWi-Fiに接続する ○手軽に使える
○無料のところが多い
△現地通信事業者が運営しているスポットが多く、その場合、現地回線契約がなければ使えない
×場所が限定される。行ってみないと、どこにあるか分からないことが多い
×セキュリティに不安あり。通信会社や有名カフェが運営していないものには悪意がある場合がある。暗号化されてない回線につなぐと、情報漏えいやウイルス感染の恐れも。最も危険度が高く、被害者も多い利用方法
◎(○)×○?

海外ローミング:筆者は“パケ死”したことも……

 日本の携帯電話事業者が提供しています。大概のところで利用できますが、まれに利用できないことがあります。例えば、昨今開発ブームに沸き日本人渡航者が大幅に伸びているミャンマーでは、ローミングによるデータ通信が実現していません(通話は可能)。

 また、各社ともに1日あたり1980〜2980円の定額サービスを提供していますが、エリアによっては指定通信事業者への接続をしないと高額請求となる、いわゆる“パケ死”に陥ってしまいます。対象事業者や、スマホからの設定方法を覚えておきましょう。

 なお、人気エリアでも定額割引では提供されないところもあるので注意。筆者は、3年前にモルディブとジャマイカに行った際にパケ死しました(汗)。今は絶対にそうならないよう、十分に設定を確認しています。各社の海外パケット定額サービスの詳細は、以下のサイトから確認できます。

ルーターレンタルサービス:ローミングよりもお得に使える

 現地通信回線を使えるルーターをレンタルするサービスで、一般にローミングより高速で快適。LTEで提供されるエリアも増えてきています。料金もローミングに比べて8割ほど安くなるエリアもあってお得です。ルーター1台の料金で、スマホだけでなくタブレットやノートPCと一度に複数台つなげられるので、さらに割安感があります。

 また、ローミング定額サービスエリア外、そもそもローミングができないエリアでの利用も可能なので、筆者はもっぱらこちらを使います。ただし、夏休みなど繁忙期には在庫がなくなることも。日程が決まったら、すぐに事前申し込みを忘れないようにしましょう。主なサービスは以下のとおり。

現地回線の契約:国によっては契約できないことも

 滞在期間に現地の携帯電話会社と契約してしまう方法。テクニカルなことに慣れていればお勧めします。空港にはよくケータイショップがありますので、到着したら探しましょう。

 ただし、国によっては買えないところもあります。プリペイド方式のサービスがないところでは、「滞在期間だけ利用したい」というニーズにマッチしません。渡航前に調べておきましょう。また、設定も若干複雑。加えてショップの店員に聞いても日本ほど丁寧でないことが普通です。

 買うときも、買った後も、煩雑な作業を楽しむ余裕を持って臨みましょう。その心構えがあれば楽しいですよ。

ホテルのインターネット回線:外出先でネットしなければ十分

 移動中は使わない、部屋やロビーにいるときだけネットにつなげればよいという方は、この方法がお勧めです。

 どの国でもインターネットを利用できるのが当たり前になってきましたが、宿泊先の予約時に無料で使えるのかどうか、Wi-Fiでつなげられるのか(LANケーブルが必要か)、さらに分かれば回線速度はどのくらい出るのか、なども調べておきましょう。

公衆無線LANサービス:“野良Wi-Fi”には要注意

 空港、ショッピングセンター、カフェなど公共の場で使えるWi-Fiを利用する場合、気をつけることは3点あります。

 まず回線速度はそれほど出ないことが普通です。理解しておきましょう。次に「ある」と思っても、使えない場合がけっこうあります。海外でも通信事業者が設置しているWi-Fiスポットが多いです。ということは、その事業者と契約している人しか使えないわけです。海外からの渡航者は使えない、という場所も多いので注意しましょう。

 最後にとても大切な点。セキュリティ上の問題です。つながるからといってフリーな電波をつかんでしまうと、スマホに入っている情報を吸い取られてしまうことも。どこの誰が設置しているか分からないような“野良Wi-Fi”にはリスクがたくさんありますから、十分注意して使うようにしましょう。

 それでは、目的と趣向にあったネット接続手段を用意して海外渡航をお楽しみください!

筆者プロフィール

佐野健一

株式会社 ビジョン 代表取締役

鹿児島県生まれ。社会人になった時から今までずっと通信事業に従事し、さまざまな大きな変化とともに歩む。1995年独立、起業。2011年に自社サービス“グローバルWiFi”をスタートさせ、1年に10〜20回の海外出張をこなす。若手起業家の世界的ネットワークEO(Entrepreneurs Organization)に所属し、第14期日本代表会長を就任した。海外に7つの支社を持ち、世界で快適な通信環境を、全世界の人々へ提供すべく日々精力的に活動中。


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