従来の出版・書籍販売業界の一部がAmazonにはじめて『悪の帝国』というニックネームを贈ったとき、1つの問い——Amazonを打倒するのに十分大型化する企業はどこか——が何度も繰り返された。
書籍販売の損失を受け入れる余裕があり、それをコーヒーメーカーとブルージーンズの販売で埋め合わせできる企業に、ほかの小売企業が対抗できない事実を批評家は嘆いた。TargetやWalmartのような小売企業はAmazonと競合するかに見えたが、店舗運営に諸経費が掛かること、書籍に割り当てられるスペースが限定されていることで、世界最大のオンライン小売企業が提供する物量に対抗することはできなかった。
しかし、The Booksellerの記事によると、本の価格でAmazonに立ちはだかる小売企業が存在する。それがOverstock.comだ。Amazonのように、Overstock.comも紙書籍の価格で数ドルの損失を受け入れる余裕があり、顧客が配送料の割引を求めて同時に家庭用品を購入することで、それを埋め合わせしている。
Shelf Awarenessは、Overstockが提供する46万6000冊の書籍全体に直接的に対抗する形で、Amazonがハードカバーの書籍価格を以前よりも大幅に割引し始めたとリポートしている。
「例えば、ダン・ブラウン氏の『Inferno』は29.95ドルで販売されているが、Amazonでは61%オフの11.65ドルで入手でき、カレド・ホセイニ氏の『And the Mountains Echoed』(28.95ドル)は58%オフの12.04ドルで、シェリル・サンドバーグ氏の『Lean In』(24.95ドル)は64%オフの9.09ドルで、さらにジョン・グリーン氏の『The Fault in Our Stars』(17.99ドル)は64%オフの6.55ドルとなっている」
OverstockがAmazonに対抗できない点は、少なくとも現時点では物量だ。Overstockがその名のごとく実際に事業展開し、残り物の商品——この場合は出版社から書籍——を集めるのか、それとも単純にほかの小売店のように出版社から直接書籍を取り次ぐのか興味深い。出版社がより多くの顧客をAmazonからOverstockへ鞍替えさせるために、同社と関係を結ぼうとするかも興味深いところだ。
しかし、注意すべきは、出版社にいくらで書籍を販売するか指示するほどの力を持つ2つの巨大小売企業を、そのような動きが単純に創造してしまうかもしれないということだ。
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