スマートフォンユーザーが急増しているとはいえ、フィーチャーフォンもまだまだ根強い人気がある。D2Cが5月に実施した調査では、調査対象者の56.7%がフィーチャーフォンユーザーという結果が出ている。
その“ケータイ”を使う層は今後も一定数が残るが、多くはスマートフォンへの買い替えが進むと予想されている。そうした乗り換え組を取り込もうと、2013年の夏モデルでは各キャリアからフィーチャーフォンの使い勝手を意識した端末が登場している。KDDI(au)から発売された京セラ製の「URBANO L01」もその1つだ。
URBANOブランドとしては、2012年夏に登場した同じ京セラ製の「URBANO PROGRESSO」があるが、URBANO L01はそのURBANO PROGRESSOで好評だった、持ちやすさと防水・防塵性能、そしてKDDIと協力して開発した「スマートソニックレシーバー」などを踏襲。さらに、大容量のバッテリーやフィーチャーフォンライクなユーザーインタフェース(UI)の「エントリーホーム」を採用してより使いやすくなったという。
商品企画を担当した京セラ 通信機器関連事業本部 マーケティング部の大西克明氏は、今回のURBANOには「デザイン」「電池持ちのよさ」「ユーザビリティ(使い勝手)」という3つのポイントがあると話す。端末のデザインを担当したマーケティング部 デザインセンターの羽場友子氏とともに、この3つのポイントについて話を聞いた。
持ちやすさを追求して幅を1ミリ大きく
URBANOシリーズは、上質感と使いやすさを両立したブランドとしてauが展開しているシリーズだ。フィーチャーフォンから含めてすでに5モデル投入され、今回のURBANO L01で6モデル目になる。同社としてはURBANO PROGRESSOに続く2モデル目の“URBANO”だ。
URBANOシリーズはそのコンセプトから端末のデザインを重視しており、今回も製品コンセプトである「Premium but Friendly(上質だけと親しみやすい)」と、デザインコンセプトの「Silent Temptation(沈黙の誘惑)」をベースに、見た目に感じる上質感と、主張し過ぎない快適な使用感を念頭に開発された。
「上質さだけではツールとして使いにくくなってしまうし、使い勝手にこだわりすぎると、簡単ケータイの位置付けになってしまう。それをうまく両立させたかった。スマートフォンは常に身に付けるものなので、デザインも使う人の魅力の一部になれば——と考えて開発したモデルです」(羽場氏)
正面はスクエアな形にまとめることで、URBANOブランドのコンセプトでもある都会的で洗練された印象を表現する一方、背面はラウンドが効いた持ちやすい形状にし、洗練された印象と持ちやすさを両立した。
「背面のラウンドを実現するために、あえて幅を1ミリ増やしています。幅64ミリでも開発できましたが、1ミリ増やして曲面の豊かさを表現しました」(羽場氏)。1ミリ増えてはいるものの持ちやすさは損なわれず、モニター調査でも好評だったという。
「前モデルのURBANO PROGRESSOが幅64ミリで持ちやすいと非常に好評だったので、それを踏まえて今回のモデルも当初は64ミリで開発を進めていたのですが、1ミリ増やして、その分、側面部分を落として曲面にした方が、実際に持ちやすいという意見を(モニターから)いただきました」(大西氏)
なお、見ただけでは気づかないが、ボディは上下方向にもわずかにラウンドしている。持ちやすさを極限まで追求した結果で、まっ平らな平面よりも手のなじみがいいそうだ。
ホームキーを物理キーとし、電源キーやカメラのレンズ周りにアルミの削り出しパーツを使った点もデザイン上のポイントだ。本物の金属素材というだけでなく、削りの方法や使う刃物にまで気を遣ったこだわりのディテールだ。なお、側面の音量キーは背面から続く曲面を生かし、それになじむ形で処理されている。
「正面にある3つのキーは、コンマ1ミリのレベルでいくつもパターンを作成し、指の当たりや感触を検証しました。側面がキラっと光るのもポイントです」(大西氏)
キーは断面が三角形に近い台形をしており、天面がかなり細くなっているが、これは「指の当たる面積とキーの高さの関係で、細い方がヒットしているという感覚が強いため」(羽場氏)。URBANO PROGRESSOではキーの面積を大きめにとることで押しやすさを追求したが、今回のURBANO L01では触覚で分かる押しやすさを目指した。
「ディスプレイが大きいので、スペースの制約があったことも確かです。その中でなるべく押しやすくすると、ヒットしていることが手に確かに分かる形が答えになりました」(羽場氏)
キーの高さがあるとカバンやポケットの中で押されてしまったり、あまり細いと指が痛くなったりするのでは、という心配もあるが、適度な押し感を調整し、形状が押しやすさにしっかりとつながった。こうしたディテールへのこだわりは、ユーザーでも気が付かない部分に現れている。
「実は、背面のフラッシュの周囲(LEDが光る四角形の外側の細い枠)から内部の基板が見えています。基板なので本来は緑色になるはずなのですが、それだとコーディネート上おかしくなる。そこで、基板のゴールドの部分(配線の一部)をわざと伸ばして、それを見せるように調整しています。内部を見せることで、ツール感というか、機械のような動くものだという感じを演出しています」(羽場氏)
グロスとマットの2種類の仕上げ
カラーはメインカラーのグリーンに、マット仕上げのホワイト、ブルー、ブラックを加えた4色展開。同社のスマートフォン「DIGNO ISW11K」を思い起こさせるグリーンは、カラーを際立たせるグロス仕上げで、ゴールドと合わせて少しクラシカルな印象を狙ったという。
「ISW11Kのオリーブグリーンは性別問わずご購入いただきました。今回も、幅広いユーザーに手にとっていただけるカラーということで採用しました」(大西氏)
定番のホワイトとブラックに加え、色味のあるブルーもマット仕上げなのは珍しいアプローチだ。見る角度によって紫っぽくも見える微妙な色合いだが、偏光素材を使っているわけでも、特に珍しい塗装方法を採用したわけでもないという。
「どちらの色か判別が難しい色の性質を利用できているのではないかと思います。グリーンやブルー、ピンクなどは、色味に敏感な色で、角度によって色が変わって見えますから」(羽場氏)
シルバーメタルの層の上にカラークリアの層を重ねてソフトフィールで仕上げており、塗装は厚めだ。グロス仕上げだと派手になるところ、マットにして大人っぽいシックな印象になっており、発色のいい色と落ちついたマット仕上げでバランスをとっているという。
「ブルーをグロス仕上げにすると派手でスポーティな印象になります。オンでもオフでも使えることを目的としていたので、バランスを見てマット仕上げにしました」(羽場氏)
金属の部分も着色されているが、コーディネートを考えてカラーバリエーションごとに色を変えている。グリーンは落ちついたゴールド、ホワイトは少し金色がかっているが、かなり白に近い。ブラックは輝度を高くしたモノトーンブラック、ブルーは相性のいいレッド系の色味を加えた深いカラーを採用した。ただ、面積によって見た目の印象が変わってくるため、どれも同じ印象になるよう、ブラックのホームキーなどは少し明るめに調整しているという。
こうした外観以上に目を引くのが、内蔵コンテンツの1つであるロック画面のアナログ時計。URBANO PROGRESSOでも好評だったという時計をモチーフにしたデザインを今回も踏襲。前回はライブ壁紙と重ねて背景に波が揺らぐような演出だったが、今回はロック画面に時計を配置する形になっており、壁紙設定ではなく時計設定で好みの時計を選んで表示できるようになった。
「URBANO PROGRESSOにはアナログ時計1パターンを搭載していました。そのデザイン自体はご好評頂いたんですが、もう少しパターンを増やして選べるようにしてほしかった、という声をいただきました。そこで今回は数を増やして選べるようにしています。このほか、非常にシンプルなデジタル時計も搭載しています」(大西氏)
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