SoftBank SELECTIONブランドのモバイルアクセサリを提供しているソフトバンクコマース&サービスは12月16日、シリコンバレーに拠点を置くスタートアップ企業Miseluと販売代理店契約を結び、Miseluが開発した音楽キーボードに変身するiPadケース「C.24」の国内販売を開始すると発表した。価格は2万4800円(税込)。本日からオンラインショップのSoftBank SELECTIONで販売されている。
Miseluの吉川欣也CEOは「2008年に起業し、できた商品がこれ。この小さなキーボードにわれわれの可能性が入っている」と話す。なぜいま楽器なのか。「いまは楽器を始めるのに物理的、経済的、自由度といったハードルがあるが、もう少しカジュアルに楽しめる楽器がないかと考え、持ち運べる楽器を作った。楽器もモバイルであったほうが楽しいはずだ」(吉川CEO)。
Miseluは吉川CEOのもと、Appleやヤマハ出身のエンジニアなどが集結し、電子楽器を中心とした開発を行っている。2011年には、ヤマハとの共同開発で、VOCALOIDチップ「NSX-1」を搭載したAndroidベースのキーボードを試作したこともある。
C.24は、Kickstarterで資金調達を始めたプロジェクトで、MIDI信号をBluetoothで鍵盤からiPadに飛ばす仕組みをAppleに先駆けて実装し、iPadカバーのように薄い鍵盤が磁力により浮き上がる(通常はバネを使うところだ)、さらに光センサーによりベロシティを検知するという特許取得済み技術により、自然なタッチの演奏ができ、音の強弱もつけられる。この価格帯ではこれまで提供されていなかった、アフタータッチという表現方法も可能にしている。Kickstarterでは2013年8月に9万9000ドルの目標金額達成。現在、最初のロットが支援者に送られつつあるところだ。一般販売はこれが初めて。
C.24のネーミングには、音楽的な意味も含まれている。Cは「ド」、24は24鍵。「ド」から始まる2オクターブの演奏が可能なのだ。これだけあれば、GarageBandをはじめとするiPad用音楽アプリの演奏は難なくできる。
iPadとの通信は、MIDI over BLEという、Bluetoothを経由した音楽情報伝送の標準プロトコルで行う。この規格に対応したキーボードは世界初だ。中央奥のボタンを押すと、カシャッと鍵盤がせり上がり、Bluetooth通信が始まる。MiseluがApp Storeで公開している無料アプリMiselu KEYを経由して、GarageBandなどの対応アプリが使えるようになる。
iPad/iPhoneは、C.24に用意されているスリットに差し込んで使うことができる。ケースサイズとしてはiPad 4までにぴったりフィットするが、iPad Air、iPad miniでも利用可能だ。
350本以上あるCoreMIDIに対応した音楽アプリにほとんど対応しており、発表会場ではGarageBand、FingerPiano Plus、KORG Module、KORG Gadgetでの演奏が可能だった。
C.24にはさらなる拡張性が用意されている。この2オクターブのキーボードを複数台用意すれば、Bluetooth経由で48鍵、72鍵と増やしたり2段鍵盤にしたりもできる。4台つなげれば、通常のグランドピアノ以上の音域となる。
現在の対応機種はiPad、iPhone、そしてYosemiteがインストールされたMac。吉川CEOによれば、2015年以降にはAndroid、Windows、ゲーム機器、カラオケ機器と接続できるよう話を進めているという。また、このモデルのさらなる薄型化、軽量化も進める計画であるという。
関連記事
- DTMの名機「SC-88」から異端児シンセ「CZ」まで──レトロシンセがiPadでよみがえる姿を楽器フェアに見た
「2014楽器フェア」には、ローランド「Sound Canvas」やPD音源のカシオ「CZ」のアプリが登場。復活した往年のシンセを会場で見てきた。 - 手のひらサイズのモバイル作曲マシン「KDJ-ONE」、予約販売スタート
ポータブルオーディオワークステーション「KDJ-ONE」の先行予約販売がスタート。 - 「VOCALOID4」が得た表現力、使いやすさとは──発表会を振り返る
3年ぶりの新バージョン「VOCALOID4」はその表現力の豊かさと、ボカロPが使った場合の操作性が大きく変化。各社のデータベースのVOCALOID4も進みそうだ。発表会を振り返りながら詳しく見ていこう。 - 幼稚園児も“ボカロP”に? 聴き手を作り手に育てるために——専門知識ゼロで作曲できる「ボカロネット」の狙い
専門知識ゼロでも“作曲家”に——ヤマハが公開した「ボカロネット」はそんな夢を実現するサービスだ。VOCALOIDシーンを盛り上げていくため「もっと多くの人に作る楽しさを」とコンセプトを掲げる。 - 日本のVOCALOID発売から10年、中の人たちの思いは? 「MEIKO」生誕10周年イベントに行ってきた
日本初のVOCALOID音源「MEIKO」誕生から10年を迎えた。10周年生誕祭では、ボーカロイドの父・剣持さんとクリプトンの伊藤社長が当時を振り返ったほか、MEIKOの中の人こと拝郷メイコさんらが“VOCALOIDと中の人とのギャップ問題”を語った。
関連リンク
Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.