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2014年下半期の「ディスプレイ」おすすめ“7選+α”

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冬ボで買うなら、こんなディスプレイはいかが?

 今回から数回に分けてお届けする特集「PC USERアワード 2014年下半期」では、ITmedia PC USER編集部がジャンル別におすすめ製品を格付しながら紹介していく。今回のテーマはPC向けの「ディスプレイ」だ。対象となる製品は、2014年下半期(7月〜12月)に登場した新モデルとしている。

2014年下半期のおすすめ「ディスプレイ」——ITmedia PC USER編集部が選ぶ
GOLDFlexScan EV3237 (EIZO)
SILVERFORIS FS2434 (EIZO)
BRONZEUP2715K (デル)
RecommendedP2415Q (デル)
RecommendedFlexScan EV2455 (EIZO)
RecommendedGigaCrysta LCD-RDT241XPB (アイ・オー・データ機器)
RecommendedXB280HKbprz (日本エイサー)
特別賞iMac Retina 5Kディスプレイモデル (アップル)

「ゴールド」——FlexScan EV3237(EIZO)

 2014年の国内ディスプレイ市場は、解像度がフルHDの縦横2倍となる4Kモデルが台頭した1年だった。特に低コストを重視したTN液晶パネル搭載の4Kディスプレイは、複数社から5〜6万円程度の実売価格で販売が開始され、大きな話題を呼んだ。

 そんな中、今回ゴールドとして選出したのは、真逆の製品と言えるEIZOの31.5型ディスプレイ「FlexScan EV3237」だ。同社直販価格は18万5000円(税別)と高価だが、その価格に納得できるだけの高品質を誇る。

 搭載する3840×2160ピクセル(UHD 4K)表示の31.5型ワイド液晶パネルは、画素密度が約140ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)、画素ピッチが0.1815ミリとなり、高画素密度による精細表示と広大な作業スペースを両立している。

tm_1408_ev3237_01.jpgEIZO「FlexScan EV3237」

 24型クラスの4Kディスプレイは画素密度が高い半面、小さな文字などが細かすぎて読めなくなり、OS側のスケーリング設定でかなり拡大表示して使うことになる。それより大きな28型クラスの4Kディスプレイでも100%等倍表示で使うのは難しく、スケーリング拡大表示での利用が基本だ。

 つまり、画素密度の向上によって滑らかで高精細な表示は可能になるが、1画面で得られる情報量や作業スペースは画面サイズに依存するため、例えば24型フルHDディスプレイから24型4Kディスプレイに買い替えても、作業スペースが縦横2倍に増えたりはしない。高画素の写真表示などでは高解像度化の恩恵が得られるが、画素数増加に比例して作業スペースが増えるわけではない点に注意が必要だ。

 となると、PC用の外付けディスプレイとしては、4Kの高精細表示を生かしつつ、作業スペースも確保できる製品が望ましいが、31.5型のFlexScan EV3237はなかなかバランスがいい。これでも100%表示で使うにはギリギリの細かさだが、スケーリング設定を「中-125%」に上げれば意外に使える印象だ。

 視認性を重視して「大-150%」に設定した場合は、WindowsのデスクトップUIで標準的な表示密度である96dpiと同程度の見え方になるため扱いやすい(23型フルHD液晶ディスプレイとほぼ同じ表示の細かさで、31.5型の大画面を利用できる)

 より大型の4Kディスプレイならば、当然100%表示でも常用可能になり、作業スペースも広がるわけだが、今度は視点移動の距離が長くなり、上を向くシーンが増えて目や首、肩に負担がかかりやすくなってくる。日本の住環境を考えても、40型を超えるような4Kディスプレイをデスクに置いて使えるユーザーは限られるだろう。そう考えると、31.5型の4Kディスプレイは実用的なハイエンド環境と言える。

 31〜32型の4Kディスプレイは他にも複数存在するが、FlexScan EV3237はノングレアのIPSパネルを搭載し、(カラーマネジメント対応のColorEdgeほど厳密な調整ではないが)1台ずつ工場で個別調整をして出荷され、実際に試用しても全体に表示が安定しており、10ビットガンマ補正により階調も整っていた。4Kの60Hz伝送方式としてSST(Single Stream Transport)方式を採用し、互換性検証がしっかりなされている点も好印象だ。

 最大4画面に対応したPicture by Picture機能、ちらつきを抑えつつ、数カンデラ/平方メートルまで輝度を落とせる独自のEyeCare調光、設置面ギリギリまで画面を下げられるスタンド機構、疲れ目対策や省エネに配慮した各種EcoView機能など、使い勝手も申し分ない。国内メーカーならではのサポート面での安心感、5年間の長期保証(使用時間3万時間以内)も付いており、総合的に完成度の高い4Kディスプレイに仕上がっている。

 人は常にディスプレイと向き合ってPCを操作するため、ディスプレイの選択によってユーザー体験の質や身体にかかる負担は変わってくる。したがって、「人とPCを結ぶディスプレイは妥協せずに長く使える良品を選ぶべき」というのは、PC USERが雑誌時代から長年言い続けてきたメッセージだ。今回はその考えからFlexScan EV3237を選出した。

「シルバー」——FORIS FS2434(EIZO)

 ハイエンドモデルのFlexScan EV3237に対して、より幅広い個人ユーザーが多目的に使えるディスプレイとしておすすめできるのが、EIZOの23.8型エンターテインメントディスプレイ「FORIS FS2434」だ。

tm_1412award_LCD_01.jpgEIZO「FORIS FS2434」

 解像度は標準的なフルHDのIPSパネルを採用するが、左右と上部のフレームがわずか6ミリ(ベゼルが2ミリ、非表示エリアが4ミリ)の超狭額デザインを採用し、スタイリッシュにまとまっている。この超狭額デザインは、設置スペースを抑えることにも貢献し、さらにマルチディスプレイでの利用時に画面と画面の間のノイズとなる額縁スペースを減らせるのがうれしい。

 そして競合機種に対する1番のアドバンテージとなるが、独自の視認性向上技術「Smart Insight 2」だ。前モデルが搭載した「Smart Insight」は、自然界の広大なダイナミックレンジを輝度250カンデラ/平方メートルのディスプレイで再現してみせようという意欲的な暗部視認性向上技術であり、HDR合成写真のような映像の表現をユーザーに提供した。その進化版となるSmart Insight 2は、さらに色鮮やかな補正も加わっている。

 これにより、ゲームでの視認性向上(それによる勝率アップ)、臨場感や没入感の向上を図っているのがユニークだ。こうした演出は余計なお世話になることも少なくないが、FORIS FS2434の場合、EIZOがもともと映像ソースの忠実な再現を目指して製品開発を行ってきたベースがあったことで、Smart Insight 2の画作りにも色飽和や色相の崩れを抑えるような技術が盛り込まれており、説得力のある映像表現を獲得している。

 一方で、忠実な色再現に配慮したsRGBモードや、映画鑑賞に向くシネマモード、疲れ目対策になるPaperモードなど、多目的に使える工夫も見られる。操作性ではリモコンが付属するほか、PCゲーム用途を想定し、キーボードとマウスでディスプレイの設定を素早く変更でき、調整ファイルのインポートとエクスポートの機能まで備えた独自ソフトウェア「G-Ignition」が利用できるのも面白い。

 ゲーム用途を中心に、マルチユースで存分に楽しめるディスプレイが欲しいならば、FORIS FS2434は筆頭候補になるだろう。なお、ゲームでもFPS(First Person Shooting)向けには同シリーズで240Hz駆動に対応したモデル「FORIS FG2421」がおすすめだ。

「ブロンズ」——UP2715K(デル)

 4Kの普及はまだこれからだが、それを早くも飛び越して5Kに対応したディスプレイが登場したことにも注目したい。国内販売される初めての外付け5Kディスプレイとなったのが、デルの27型モデル「UP2715K」だ。

tm_1412award_LCD_02.jpgデル「UP2715K」

 5120×2880ピクセルという超高解像度は、フルHD(1920×1080ピクセル)の約7倍、QHD(2560×1440ピクセル)の4倍に相当する。もちろん、27型の画面サイズなので、画素密度は218ppiと外付けディスプレイとしては非常に細かく、利用時にスケーリングによる拡大表示は必須だ。

 表示性能も高く、1台ずつ工場でカラー調整を行ったうえで出荷され、Adobe RGBカバー率99%の広色域、最大10億7400万色の表示(ソフトウェア側の対応が必要)、オプションによるハードウェアキャリブレーション機能まで備えた。これに標準で3年保証と輝点ドット抜け保証まで付いて、20万円を切る価格は意外に安いと言える。

 一方で、表面がガラス加工で光沢仕様になっている点は好みが分かれるだろう(オプティカルボンディング技術と表面の反射防止コーティングにより、画質と低反射に配慮はしているが、それでも外光の反射や映り込みは発生する)。また、5Kの60Hz表示に対応する新規格のDisplay Port 1.3に準拠した製品がまだないため、5K表示には2基のDisplay Portで接続する必要があり、対応できるPCはかなり限定される。

 話題性は抜群の製品だが、初物ゆえにインタフェースなどの課題がある点は考慮すべきだ。

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