「IBMリーダーズ・フォーラム第5弾」、その意図とは
日本IBMが12月3日、京都市内のホテルで「IBMリーダーズ・フォーラム2014 関西」を開催。日本IBMの下野雅承副社長がイベントの趣旨と意図を語った。
IBMリーダーズ・フォーラムは、全国地域の営業強化を目的に地方企業の経営者へ向けた同社のプライベートイベントで、今回が5回目となる。2012年7月に支社を開設した東北(仙台)、中部(名古屋)、関西、西日本(福岡)の4地域で開催する。関西ではこれまで大阪で開かれていたが、今回初めて京都が舞台となった。
各地域の産・官・学のリーダーを招いたこのイベントは、2012年5月に日本IBMの社長に就任したマーティン・イェッター氏の肝入りの活動で、同社幹部も顔をそろえて参加することから力の入れようが伺える。さらに今回は、イェッター氏が11月から米IBMのシニアバイスプレジデント(SVP)を兼務し、2015年1月から同社最大の事業部門であるグローバル・テクノロジー・サービス部門の責任者に就任する予定となったことから、イェッター体制での区切りとなるイベントとなった。
「スマートな時代へ──テクノロジーが導く新たな価値の創出」をテーマとした今回の同イベントでは、これまでオープニングスピーチを行ってきたイェッター氏に代わって登壇した下野氏が、「ビッグデータ」「クラウド」「ソーシャルネットワークやモバイルによるエンゲージメント(つながり)」といったIBMが注力するテクノロジーについて説明。「こうしたテクノロジーによってITの利用法が大きく変わり、それが皆さんのビジネスにも大きな影響を与えるようになる」(日本IBMの下野副社長)と訴えた。
下野氏に続いて、京都市の門川大作市長が登壇。同市のスマートシティへの取り組みに触れ、「IBMにも強力な支援をお願いしたい」と語った。
地元の有力者が語る「スマートな時代の新たな価値創出」の考え方
同イベントのメイン企画である地域の有力者によるパネルディスカッションは「スマートな時代の新たな価値創出」をテーマに、イシダ(京都市左京区)の石田隆英社長、島津製作所(京都市中京区)の服部重彦会長が登壇。日本IBMの藪下真平取締役専務執行役員が加わり、経済産業省近畿経済産業局の関総一郎局長がモデレーターを務めた。
イシダは創業121年、島津製作所は2015年に創業140年を迎える、いずれも計測機器の古参大手メーカー。海外へも積極的に事業展開を図っている。両社のトップはビジネスにおける新たな価値創出について次のように語った。
「当社が得意とする計測技術をテコに、これからお客様に新たな価値として提案できるとすれば、これまでにも増して“さまざまな作業を自動化していく”ことだ。すでに複数の用途に向けた自動化機械を提供しているが、まだまだ過酷な環境の中で人的労力に頼らなければならない作業現場は少なくない。これからそうしたことを進めていくためには、ITとの連携が有効だと考えている。ITを活用してさらに高度な価値を提供できるように努めたい」(石田氏)
「これまで“見えなかったものを見えるようにしたい”というのが当社の研究テーマだ。ただそこで大事なのは、何が見えるようになれば利用者にとって価値があるかという視点だ。それが新たな価値の創出につながる。ではその視点をどう持つか。私は多様なものの見方を培うためにも組織のダイバーシティ(多様性)化が非常に重要だと考えている。今後ビジネスがさらにグローバル化していけば、ダイバーシティへの取り組みが新たな価値創出の決め手になると考えている」(服部氏)
両氏の発言を受けて藪下氏は「IBMとしても両社のような新たな価値創出への取り組みを支援できるように努めたい。その手立ての1つとして、IBMでは今、人工知能技術を活用して知的生産性を高める取り組みに力を入れている。人間の知的レベルを上げることによって、自動化や可視化をはじめ、さまざまな用途に貢献してしていきたい」と語った。
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