国内で稼働する物理サーバの8.8%、いまだ約21万台が稼働中(2014年末時点)──。2015年7月15日にサポートを終了するサーバOS「Windows Server 2003」の移行が進まない。
「もう待ったなし──」。サポート終了まで残り223日となった12月4日、日本マイクロソフトと販売パートナー、そして国は、サポート終了そのものの認知、サポートされないOSを使い続ける企業のリスクと現状をアピール。「分かっているが、課題がある」とする企業に向けた優遇導入支援策を打ち出し、啓もうと導入支援の活動を加速させる。
2013年末の約36万台(全数の15.6%)から1年、2014年末時点予測で約21万台(同8.8%)が残るWindows Server 2003環境を、サポート終了日までに“5万台”まで減らすのが目標だ。「もちろん終了日までにゼロにしたいが、現実的な数字としてこの値を設定した」(日本マイクロソフトの樋口泰行社長)。
なぜ、移行が進まないのか。MM総研によると、
- 予算が確保されていない、経営層に理解されていない
- 社内の人手不足
- アプリケーションの動作確認
といった阻害要因が対応の遅れにつながっている。主に従業員数250人以下の中堅中小企業でこうした課題が問題視されているようだ。
また、その稼働率は地域別でもかなり差があった。稼働率が低い九州・沖縄地区の9.4%に対し、四国地区は19.3%と稼働率が高まる。「詳細は調査中だが、例えばサーバセンターやデータセンターの拠点が多い沖縄、移行セミナーの参加者が多い福岡・博多エリアの企業などは認知が進んでおり、結果として移行も促進したと想定する。地方都市の企業の認知も高めるため、移行支援のためのセミナーを全国で開催し、認知活動の幅をさらに広げる」(マイクロソフト)
課題の1つは地方の中堅中小企業への認知。新たに日本商工会議所、地域の商工会議所、経済産業省、ITコーディネータ協会と協力し、移行支援セミナー「待ったなし、Windows Server 2003移行セミナー」を2014年12月5日から順次、全国20カ所で実施する。
このほか課題の最上位に挙がっているコスト面について、新OSの価格を割り引く「待ったなし乗り換えキャンペーン」、今年度中の予算化が難しい企業に支払いを実質後払いにできる「サーバー乗り換え購入支援サービス」も実施する。企業基盤のクラウド化が進む現在、国内データセンターを稼働させたクラウド環境「Microsoft Azure」を軸にしたクラウドへの移行、オンプレミス(既存の社内システム)とクラウドを共存させる「ハイブリッドクラウド化」の方法なども指南する考えだ。
乗り換えキャンペーンは、中堅中小企業を対象に2015年3月31日までWindows Server 2012 R2およびクライアントアクセスライセンス(CAL)のボリュームライセンス価格を10%割引して販売するもの。乗り換え購入支援サービスは、マイクロソフトファイナンシング(マイクロソフトが金融パートナーと取り組む金融ブランド)を通じ、次年度予算が下りる本稼働時期まで実質の支払いを待ってもらえる(ゼロ金利でリース)。サーバ機器やPCなどハードウェアを一括調達する場合も、不均等支払いで初期投資を少額に済ませられる優遇金利の相談に応じる。
このほか、中堅中小企業は国の税制・融資制度として、
などを利用する手段もある。
「クラウドも考慮した移行となると、検討から完了までにかかる時間が長期化する可能性がある。また、2015年3月と6月はパートナーのリソースが枯渇し、間に合わない可能性がある。このためこれから実施する企業や組織には、“段階的な移行”の手段を勧めたい。具体的には、支援策をうまく活用していただき、2015年3月までにハードウェアとライセンスの入れ替えを、2015年6月までにバックアップやレプリカなど、クラウドを組み合わせた導入を行うプランとなる」(日本マイクロソフト 執行役常務ゼネラルビジネス担当の高橋明宏氏)
「2020年のオリンピック・パラリンピック東京開催に向け、サイバーセキュリティ対策の重要性がいっそう叫ばれている。建造物も補修して管理するように、ITもモダンに変えていくということも考えてほしい。迷ったら、専門家に気軽に相談できる無料相談窓口に問い合わせてほしい」(日本マイクロソフトの樋口社長)
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