スマートニュースは12月1日、ニュースアプリ「SmartNews」上で展開する広告事業をスタートした。動画広告とネイティブ広告の2種類で、「コンテンツとしての広告」を掲げ、ユーザーの興味関心に沿う「モバイルニュース広告」を打ち出す。提携したミクシィと共同開発してきたネイティブ広告ネットワークもスタートし、産経デジタルと毎日新聞社が参加を表明した。
都内でメディア・広告関係者ら約700人を集めて開いた発表会で、鈴木健代表取締役は「ようやく収益を上げられるフェーズになった」としつつ、新たな広告収益の4割をメディアに還元する施策も打ち出す。Gunosyが“スマホポータル”を指向するのと対照的に、「SmartNewsはコンテンツを愛するテクノロジー企業」と、メディア各社との共存共栄によるニュースアプリへの集中を改めて強調する。「NewsPicks」を運営するユーザーベースとの協業も発表した。
「モバイルニュース広告」スタート
広告商品は、動画広告「SmartNews Premium Movie Ads」とネイティブ広告「SmartNews Standard Ads」の2種類。Movie Adsでは、アプリの上部などから動画を自動再生でユーザーに配信。Standard Adsは、記事一覧の間に挟み込む形(PR表記付き)でタイトルを配信し、広告主のランディングページに直接誘導する。
サイバーエージェント子会社CyberZが提供するスマートフォン広告向けツール「Force Operation X」と連携。広告主は、同ツールを使ってアクセスなどを解析できるようにした。
ミクシィ取締役でスマートニュース執行役員を兼任する川崎裕一氏は「広告も良質なコンテンツでなければならない。良質なコンテンツは身近にあり、それは企業が持っている。企業が持つ良質なコンテンツを自然に見せるのがSmartNews Adsだ」と述べ、ユーザー体験を損なうことなく良質なコンテンツを広告として提供することで高い広告効果が期待できるとした。これを「モバイルニュース広告」と名付け、「ナショナルブランドが安心して使えるモバイル広告」を目指す。
同時に開始するネイティブ広告ネットワーク「SmartNews Ad Network」には、産経デジタルと毎日新聞社のほか、ミクシィとグリー、ディー・エヌ・エー、サイバーエージェントが参加。大手報道機関・SNSの参加で、国内最大級のネイティブ広告ネットワーク構築を図っていく。
新たな広告収益をメディアに還元する「MediaProsper Program」も始める。SmartNews上に専用チャンネルを設けた「チャンネルプラス」運営メディアに対し、新たな広告収益のうち手数料を引いた80%を折半し、40%をメディアに還元する。まず産経デジタル、毎日新聞のチャンネルプラスから始め、順次拡大する。
MAUは日米合計400万 「公共性」打ち出す
米国版を10月に公開し、米国のApp StoreとGoogle Playのニュース部門で各1位を獲得。月間アクティブユーザー(MAU)は日米合計で400万を超え、デイリーアクティブユーザー(DAU)は200万超と、DAU/MAUで表す「エンゲージメントレート」は50%の高率を維持していると説明する。ニールセンによると、10月の利用者数は385万人と、年初から2.1倍に拡大した。
「ニュースアプリは中立でなければならず、データに基づく公平な配信を心がけている」(浜本階生代表取締役)と、アルゴリズムに基づきユーザーに合わせた自動配信を行う「マシンラーニング(機械学習)カンパニー」が自己定義だ。「中立・多様な立場で世界に広げられるのはスケーラブルなアルゴリズムだけだ」と、米国版に続きインターナショナル版(英語)を近く公開する計画を明らかにした。
新たに打ち出した「SmartNews Public」は、多くのメディアとユーザーの支持を受けた上で“公平中立”なアプリが持ちうる「公共性」がテーマだ。政府の情報を配信する「日本政府チャンネル」や地震情報の配信開始はその取り組みの現れ。ネット大手による「わっしょい!ネット選挙」にも参加社として名を連ねている。
来年正式スタートする「SmartNews Nonprofit Program」では、非営利団体にStandard Adsの広告枠の一部を無償で提供する。Change.orgなどパートナー8サイトを利用したランディングページを作成することも可能だ。先行実施したケースでは高い効果につながっているという。
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