スマホのアプリなどでプライベートな画像や動画をやりとりしてしまい、SNSを通じて知り合った異性や出会い系業者から、金銭を要求される「セクストーション」(性的脅迫)に関する相談が増えているという。情報処理推進機構(IPA)が12月1日、セクストーションへの注意を呼び掛けた。
セクストーションに関するIPAへの相談は、2014年9月頃から寄せられるようになったという。ある相談ではSNSで知り合った異性からプライベートな動画を見せ合おうと持ちかけられ、ビデオチャットのアプリをインストールして、チャット中に衣服を脱いでしまった。その後、見知らぬ番号からの着信で「チャットの動画や電話帳データを公開されたくなければ、金銭を支払え」と脅迫されてしまったという。
IPAによると、同様の手口は海外でも横行しており、米国やフィリピンでの検挙事例もある。また、ハイパーネットワーク社会研究所によれば、出会い系サイトの運営者から「禁止事項のプライベート写真の送付が確認され、システムエラーが発生した」と警告メッセージが送られ、補償金を要求されるケースも起きているという。
国内でのセクストーションの被害では、SNSや不正アプリが用いられるケースが多いとみられている。
手口は、まず攻撃者がSNSで接近してビデオチャットでのやりとりを求める。そのためのアプリをインストールするよう、インスタントメッセージやチャット、メールなどでダウンロードリンクを知らせる。この種のアプリには、チャット以外に電話帳データなどを盗み取る機能があり、攻撃者が情報を密かに盗み取る。やりとりによって相手を油断させた後に、動画や機密情報をインターネットにばらまくと恐喝して金銭を要求。相手が恥ずかしさや後ろめたさから周囲に相談しにくい状況を作る。
IPAは対策として(1)アプリのインストール先は信頼できる場所から行うこと、(2)プライベートな写真や動画は第三者に渡さない——をアドバイスする。また、特定の相手に写真や動画を提供することはインターネットに公開することと同種であり、公開されて困る写真や動画はそもそも撮影すべきではないと解説。大切なデータが悪意のある人間の手に渡ったり、インターネット上に公開されたりしまうと、回収や削除は、ほぼ不可能になる。
万一被害に遭った場合は攻撃者へ安易に連絡はせず、最寄りの警察に相談してほしいと、IPAは呼び掛けている。
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