企業の経営陣がセキュリティ対策の強化を求めることで、CIOなど企業のIT責任者の仕事が進まない実態が明るみになった。セキュリティが最重要視されたことで、新規ビジネスなどへのIT投資や作業を延期、中止する企業は半数以上にもなる。
米セキュリティ会社のFortinetが日本を含む15カ国の企業のIT責任者を対象に実施した調査によると、自社の安全性を維持することが難しくなったと答えた人は90%、日本では76%に達する。
セキュリティリスクに対する経営層の警戒感が原因となり、新たなアプリケーションやサービス、事業の計画を延期したり中止したりする企業は53%、日本でも28%に上ることが分かった。モバイルやクラウドなどに関連する新規のIT投資や戦略の推進において、セキュリティが大きな障害になっているという。
セキュリティへの取り組みで、過去1年間に充分なリソース(人材や金融資産)を割いたという企業は80%(日本は63%)あり、今後1年間に充分なリソースを割くとした割合も83%(日本は64%)と高い状況にある。特に日本の金融業界は非常に高く、過去1年間では80%、今後1年間では100%にもなった。
また、データのプライバシーがセキュリティ対策に変化を及ぼすとした企業は90%(日本は74%)あり、問題解決のために資金やリソースを投じるとした企業は51%(日本は40%)に上った。システムやネットワークから出力される大量のログなどセキュリティに関連するビッグデータとデータ分析に投資するという企業は45%(日本は42%)だった。
調査対象は、主に500人以上の従業員を抱えるオーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、コロンビア、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、韓国、メキシコ、スペイン、英国、米国の企業のCIOやCTO、情報システム部長など1610人で、回答者の8%は従業員100〜500人規模の企業に所属する。
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