米Lytro(ライトロ)が2012年に発売して話題になったLight Field(ライトフィールド)カメラという面白いカメラがある。その名も「LYTRO」という。日本では発売されなかったので知る人ぞ知るというマイナーな存在なのだけど、これがまた、面白い写真が撮れるのである。撮った写真のピント位置を、後から変更できるのだ。
なぜそんなことができるかというと、普通のカメラは光の強さだけを記録してるのに対し、ライトフィールドカメラは光の方向も一緒に記録しているから。それじゃあ何がなんだかわからないんだが、わたしも詳しい説明ができるほど理屈がわかってるわけじゃないので、技術的なところを詳しく知りたい人はMONOistのこちらの記事をどうぞ。
一番大事なのは、撮った後でピント位置を決められる(リフォーカス・再フォーカスできる)という画期的でユニークなデジカメであることだ。
そして2014年、画素数をぐっと増やしてハイエンド仕様にした「LYTRO ILLUM」が登場したのである。「ライトロ イルム」と読む。ひらがなで「いるむ」って書くとなんか可愛い。
それはともかく、初代のLYTROはコンパクトでユニークなデザインではあったが、画質的には一昔前のトイデジカメ並で、実用性に疑問があった。面白いけど実用的にはつらいねという感じ。
今回はでかく重くなったけど、その分クオリティが上がり、面白い上に実用にもなる未来カメラに仕上がっている。
そして2番目に大事なのは、このLYTRO ILLUMが加賀ハイテックが代理店となり、日本でも発売されるということ。これが素晴らしい。
何はともあれこんなのを撮れます
LYTROの写真を見たことがない人にまずサンプル。
例えば、カメラ本体の写真を撮るとき、普通のカメラの場合は、レンズにピントを合わせると本体がぼけるし、本体のロゴにピントを合わせるとレンズやシャッター部分がぼける。
それじゃあまずいので、ぐっと絞って被写界深度を深めにし(ピントの合う範囲を広げて)、どこからどこまでピントを合わせるかコントロールして撮る。
そういうことを考えてるわけだ。
で、LYTROだと適当に1枚撮った後でこんな風に処理できる。
これはありがたい!
撮った後でフォーカス位置をコントロールできるとこんな風に後から調整できるのだ。普通のデジカメだと、RAWで撮っておけば色や露出なんかはある程度後でフォローできるけど、フォーカスだけはどうしようもないから。
しかも、全体にピントが合った写真も作れる、というのがミソ。どこからどこまでピントが合った写真にするかを「後から」コントロールできるのである。
LYTROはこの「自分で後からコントロール」するという行為が楽しい。LYTROのサーバーに公開すれば、Webブラウザ(あるいはiOSアプリ)を通して、データを公開できる。
上の一眼レフの写真はこちらで楽しめる。
未来のカメラっぽい斬新なデザインだけどちょっとでかい
で、こういう斬新な撮り方ができるLYTRO ILLUMはどんなカメラか、というとこんなである。見るからに「未来のカメラ」っぽい。まあ実際「未来のカメラ」である。
斬新なデザインのボディについている太いレンズはなんと30〜250ミリ相当でF2通し。全域F2という超明るいズームレンズだ。
イメージセンサーは1/1.2型(約0.83インチ)とハイエンドコンデジ仕様の大きなサイズで4000万画素。ただ、その特性上、4000万画素分のデータは持っているものの、実際に出力する画像データは400万画素相当(2654×1634ピクセル)になる。
つまり、1/10だ。初代LYTROも1000万画素相当を持ちながら、JPEGとして出力する際は100万画素相当(1008×1008ピクセル)になっていた。
もともとのライトフィールド情報がどれだけ大きなものかが分かる。普通のカメラでは切り捨てる方向の光も記録しているからだ。ちなみにRAWデータが1枚約50Mバイトである。おそろしや。
ライトフィールドカメラならではなのが「絞りがない」こと。従来のカメラ的にいえば、絞りは常に開放で使う。絞り(つまり被写界深度)はあとから調整できるので問題ないのである。シャッタースピードは上限で1/4000秒。ISO感度はISO80から3200。1/4000秒F2では明るすぎて撮れないシーンもあるため、NDフィルタが1枚付属する。
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