野村総合研究所(以下、NRI)は2012年9月に「2030年研究室」を新設し、次世代につなげる良質な仕事の創造をテーマに「日本価値創造プロジェクト」を立ち上げた。新たなビジネスを創造した「革新者」へのインタビューを通じ、2030年に必要なビジネス像についての研究を進めている。未来をつくる革新者たちはどういう点に着眼し、革新を生み出したのか。NRI2030年研究室室長の齊藤義明氏に革新者たちにつながる共通項について聞いた。
事例から見える成功のパターン
NRIの2030年研究所による「日本価値創造プロジェクト」は、2030年の日本を担う次世代の人々が、誇りを持って良質な仕事に取り組めるよう、日本に新たな付加価値を創造する目的で発足。従来の一般的な調査のように現在の定量的な情報を基にした将来予測とは一線を画し、より具体的な事例から抽出した「パターン」をまとめようとしていることが特徴だ。
このパターン抽出に向け、プロジェクトの第一段階「イノベーションダイアローグ」として革新的な考え方を進める経営者や担当者へのインタビューを進めている。
「さまざまな領域で革新を成し遂げた挑戦者たちを『革新者』と呼び、この革新者100人へのインタビューを通じ、日本の付加価値創造に向けた形(パターン)を見つけ出そうとしているところだ。実際に成功した事例を束ねていくことで将来の成功につながる要素が見えてくる。取材した個別企業そのものは残らない可能性はあるが、成功のパターンそのものは残り続ける」と齊藤氏は話す。
2013年末までに100社のインタビューを行う計画だというが、現在までに40社以上のインタビューを完了。その中で「革新者たちに共通する3つのパターンが見えてきた」と齊藤氏は語る。
その3つの要素とは「ニーズを探すのではなくウォンツを創造する」「マイナスの価値をプラスの価値に反転させる」「やり切ってどんどん進化させる」だと齊藤氏は言う。
「設立当初想定していた要素はもっと多かったが、収れんされてきた。さらにこれらの根幹となる思いは『好きだ』という気持ちや『やらなければならない』という使命感のように思う。それが突破力につながり、既存のビジネスの枠に収まらない革新につながっている」と齊藤氏は語っている。
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