「本田さん、“男の白モノ”っていう連載、憶えてます?」と編集部Sより打電。さて、どうしたものかと頭をひねって出てきたのが、このところどの家電レビューサイト、家電系ブログなどを賑わせている「Dyson fluffy DC74モーターヘッド」だ。本誌でも先週、猫と戯れるレビュー記事が掲載されたばかりなのに、いったい同じ商品で何やってるの? って話だ。
しかし、個人的には昨今の『DC74こそ最高のスティック型掃除機!』という空気感には、ちょっと異論がある。もちろん、この分野におけるダイソンのアドバンテージは決して小さくないし、「DC74」も素晴らしい製品なのだが、一方で利用シーンによっては下位モデルという位置付けになった「DC62」の方が良いのでは? と、「DC74」を使いながら感じたシーンも少なくないからだ。
なお、今回は「DC74」と同時発表となった温風機能付き扇風機の「AM09」も同時に使う機会があったので、そちらについても触れることにしたい。
「DC74」最大のライバルは?
最新のコードレス&スティック型掃除機として登場した「DC74」だが、その本体部やバッテリーなどは、昨年発表された「DC62」と同じだ。実は筆者宅も「DC62」を使っているのだが、それまでの製品に比べてバッテリー性能が向上しただけでなく、集塵性能などさまざまな面で改善され、それまで使っていたダイソン製のキャニスター型掃除機を脇に追いやってしまった。
かつて、何度かコードレス型掃除機を試してみては、残念な想いをしてきただけに、「DC62」の高性能には本当に満足している。フィルター掃除が必要になる頻度がキャニスター型よりも高いことが弱点といえば弱点だが、そんなことはあまり気にならないほど革命的に、掃除環境の変化をわが家にもたらした。なにしろ、掃除機の扱いは100%、嫁さんに任せっきりだった筆者が、自分で掃除するようになったのだから……っと、これは個人的な話になるが、「DC62」の小型で手軽ながらも高性能という特徴は、他に代えがたいものだと思っていた。
しかし、一方で完成度の高い「DC62」は、「DC74」最大のライバルでもある。この2つの製品が使う掃除機本体部の改良は、今後もおそらく進むことだろう。キャニスター型と完全に同じレベルの機能性を発揮するのは、そう遠い未来じゃないと思うが、現時点においてこの2つは同じモーター、インペラー(ファン)、ルートサイクロン(ゴミ分離機能)の構造を共有している。
違いは”fluffy(フラフィ)”と名付けられた、フレキシビリティの高いヘッドユニットだけだ。ちなみに「DC62」には、fluffyのヘッドを取り付けることはできない。これはダイソンがケチなのではなく、モーターヘッドの制御(本体部から行っている)が異なるためとのことだ。(すなわち「DC62」ユーザーが例えば補修部品のfluffyヘッドを入手しても、きちんと動かない)。
しかし、たとえ本体部が同じでも、ヘッド部が異なっていれば、掃除機はまるで違う性格・特徴の製品になる。そしてヘッドの構造は、さまざまなトレードオフの上に設計が成り立っている。「DC74」最大の武器であるfluffyヘッドは、確かに「DC74」の武器ではあるが、しかし「DC62」のヘッドにも長所がある。
「DC74」最大のライバルは「DC62」なのだ。繰り返しになるが、この2つの違いはヘッドユニットだけなのだ。便利なミニモーターヘッドなどはもちろん、コンプリートキットに付属し、オプションでも購入が可能なフトンツール、ハードブラシツールなども全く共通。しかし、掃除時間のほとんどは床面掃除なのだから、この違いにフォーカスせねばなるまい。
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