中間期の最終赤字は41億円、100店舗以上を閉鎖——。
居酒屋チェーン「和民」などを展開するワタミが11月11日に発表した2014年度の上期決算は厳しい数字が並んだ。グループ全体の営業利益は10億3000万円の赤字(前年同期は24億7000万円の黒字)、経常利益は17億4000万円の赤字(同18億8000万円の黒字)、当期利益で41億1000万円の赤字(同5億5000万円の黒字)に転落。特に同社の主力である国内外食事業の営業利益が23億5000万円の赤字と大きく足を引っ張った。
こうした緊急事態を受けて、和民や「わたみん家」などを新たに42店舗撤退する修正計画を発表した。これで2014年度の撤退店舗数は計102店舗に上る。わずか1年で全体の約15%に当たる店舗数を減らす格好となった。
2005年度から2012年度まで7期連続で増収増益し、中国や香港を中心とした海外展開を積極的に進めるなど、日本の居酒屋ビジネスをけん引していたかつてのワタミの姿はかすみつつある。
居酒屋業界全体が低迷
同社がここまで落ち込んだ原因は何か。実際にはワタミだけに限らず、居酒屋業界そのものが低迷している。戦略コンサルティング会社のローランド・ベルガーの試算によると、2008年から2014年にかけて市場規模は年率で4.6%マイナス成長という状況だ。「人口減少や少子高齢化、可処分所得の減少、コンビニ弁当などの品質向上による中食ニーズの高まりといった外食産業全体の課題に加えて、若者のお酒離れ、他業態の台頭などが居酒屋業界に大打撃を与えている」と、ローランド・ベルガー 日本共同代表 シニアパートナーの岡村暁生氏は説明する。
近年はファミリーレストランやカフェなど居酒屋以外の業態でもアルコール類を提供するようになったことや、自宅に友人などを集めて開く飲み会、いわゆる“宅飲み”が若者の間で人気になるなど、お酒を飲むシーンやスタイルが多様化したことも居酒屋に客足が遠のく理由だとする。
ワタミは今後、国内外食事業については、2014年3月から取り組んできた和民およびわたみん家でのリブランディング失敗の反省を踏まえ、商品単価の見直しを断行。例えば、生ビールを450円から399円に、お通しを360円から299円に変更して“お値打ち感”を出し、来客数の回復を図る。さらに、スタッフの労働環境問題に伴う人材不足への対応も急ぐ。まさに今が正念場と言えるだろう。
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