これまで、ストレス及びそれを引き起こす要因についてみてきました。それでは、ビジネスパーソンがストレスにうまく対処していくためにはどうすればいいでしょうか。
各人が置かれている環境が異なる以上、単一の解はありません。事業戦略が通り一辺倒でないように、ストレスへの対応も自らが置かれている状況から戦略的に導き出すべきなのです。
ストレスには「個人の対処」が重要
ストレッサー(ストレス原因)というのは、ビジネスパーソンにとっては仕事の量、質、人間関係など多岐にわたります。でも、同じ会社にいながら自ら変えられる部分というものは、かなり限られてきます。
職場のメンタルヘルスケアへの関心の高まりを踏まえて、職場改善活動などを打ち出す企業も増えてきています。しかし、営業が主体の会社では高い営業ノルマを変えようがありませんし、コンサルティングやIT会社では納期のプレッシャーなどが変わらず激しいことでしょう。
こうした無理な状況は、健常な男性中心の働き方によっているものであり、ダイバーシティの考え方で変えていこうという動きがあります。こうした動きが結実していくことを望みますが、そうであってもストレス対処においてやはり個人の対処というものが極めて重要です。
ストレス対処において必要なポイントを3つ挙げます。
- ストレス対処法は個人のクセなので、修正が可能である
- 感情を暴れさせるのではなく、理知的な表現をする
- エンゲージメント(仕事熱意)も併せて考える
だれかの手助けがあればクセは直せる
ストレス対処は、個人の考え方の「クセ」だといわれます。強いプレッシャーを受けるとき、人間はある程度自動的にどう対応するかを選択して行動します。
嫌なことがあった場合に、「ああ、俺はダメだと思い込む」とか、「すぐにあきらめてその場から逃避する」とか、「嫌な気持ちのままやり過ごす」というのはよくない対処法です。一時的にストレス反応が下がるかもしれませんが、根本的な原因が解決していないので、中長期的にはますますストレス反応が高まる状況におかれてしまいます。
クセといえば貧乏ゆすりや爪を噛むのと一緒で、長年しみついているので変えられないようにも思えます。しかし、きちんと意識して改善活動をすれば変えられるのです。
クセが厄介なのは、自分自身ではなかなか気付きにくいことです。そのため、第三者の支援が必要になります。カウンセラーのような専門家でなくても、「そういう態度は良くない」「こうすべきなんじゃないか」と身近な人にアドバイスをもらうだけでも大きな気付きが得られるでしょう。
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