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日本のVOCALOID発売から10年、中の人たちの思いは? 「MEIKO」生誕10周年イベントに行ってきた

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photoMEIKO V3

 日本で最初のVOCALOID音源である「MEIKO」が11月5日、発売から10年を迎えた。その記念日に先立つ11月3日、「MEIKO 10周年生誕祭〜Elegant Night〜」というイベントが東京・渋谷で開催され、日本のユーザーが自由に歌声合成の曲を作り始めたこの10年を振り返った。

 MEIKOの歌声の元となったシンガーソングライターの拝郷メイコさん、MEIKOの発売元であるクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長、ヤマハの「VOCALOIDの父」剣持秀樹さんに加え、同じくクリプトンから発売されている男声VOCALOID「KAITO」の声を提供した歌手の風雅なおとさんがゲストで参加。初音ミクに始まるCVシリーズ第3弾である「巡音ルカ」でキャラクターボイスを担当した声優の浅川悠さんが司会を務めた。

ボーカロイドの父と伊藤社長 、当時を振り返る

photo剣持さん(左)と伊藤社長、浅川さん

 まずは伊藤社長と剣持さんによる座談会からスタート。伊藤社長は「10年後にこういう誕生会を開けるなんて想像もしていなかった。リリースした時には、待ち望んでいたという声もあれば、機械的、オモチャという意見もあった」と振り返る。

 剣持さんらがVOCALOIDの開発を始めたのは2000年。最初のライセンシー候補としてクリプトンを訪問したのは2003年初夏。その後、ヤマハで収録してあったMEIKOを世に出したいと剣持さんから伊藤さんに持ちかけた。クリプトンは当時、着メロ事業でサウンドチップや制作ツールを提供していたヤマハの半導体部門とのつながりがあり、そこを経由しての打診だった。

 伊藤社長には、「ジャパ二メーションみたいな売り方をすればいいのでは」というアイデアがあった。「コンピュータミュージックに合ったような、かっこいい洗練されたパッケージやネーミングじゃなく、今までになかった使い方を提案したい。パッケージの中に人がいるようにしたほうが分かりやすいのでは」と考え、ロックシンガーらしいイラストと、中の人である拝郷メイコさんからとったMEIKOという名前を決めた。

 勢いで出したものの「やっちゃったな感があった」と伊藤社長は笑う。音楽業界からは冷ややかな反応もあった。しかし、MEIKOを使って曲を作る人がぼちぼちと出てきた。「ちゃんと使ってくれる人がいて、うれしかった」と剣持さん。

 VOCALOIDがMacに対応しない、Windowsオンリーだったことが、プロではなく、例えば(DTMの標準的機材であった)SCなどの音源を鳴らしているようなアマチュア層の人たちに受け入れられたのではないかと伊藤社長は分析する。

 それが今では下は小学生から、上は81歳の方までがボカロPとして活躍していると伊藤社長。81歳のボカロPとは、「長崎は今日も雨だった」の作曲者である彩木雅夫さんのこと。「ミクやMEIKOで曲を作ってからは(体の)数値がいいと、お医者さんに言われているそうです」

 VOCLAOID楽曲を投稿する人につけられるP名として「まさP」を持つ彩木さんは、現在アルバムを制作中で、VOCALOIDのイベントにも出たいと話しているそうだ。

 ボカロネットなどにより、作曲や演奏ができなくてもボカロPになれるよう、裾野を広げる一方で、ヤマハはVOCALOIDの表現力を高めようともしている。「もっといろいろな表現ができるように研究開発チームががんばっているので期待してください」と剣持さんは話した。

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