地方銀行大手の横浜銀行と、東京や茨城を地盤とする東日本銀行がこのほど、経営統合の可能性について検討していることを明らかにした。
現在、総資産で横浜銀行が約13兆8320億円、東日本銀行が約1兆9602億円(ともに2014年3月末時点)であるため、仮に両行の統合が実現した場合、単純合算でふくおかフィナンシャルグループの総資産を抜いて地銀最大グループとなる。
今回の一連の動きについて、銀行業界に詳しいアビームコンサルティング 金融統括事業部シニアマネジャーの松本康宏氏に見解を聞いた。
金融商品の開発、投資の多様化が鍵
横浜銀行と東日本銀行との経営統合が仮に実現するなら、両行の経営にとってプラスであると評価できる。
まず、両行が経営統合を検討するに至った背景を考えたい。1990年代の国内バブル景気崩壊後における地銀業界の統合では、不良債権の増加に直面し経営が悪化した中小を大手行が救済するというケースが多かった。しかし、近年の地銀業界における統合は、経営環境の変化に対応する必要性から生じている。
地銀をはじめ地域金融機関を取り巻く環境面においては、国内経済の成熟化、少子高齢化に伴い、貸出金ニーズの減少と長引く低金利下で利ざやの悪化が挙げられる。このような環境下において、従来の預貸ビジネスが行き詰っている。
そのため地域金融機関に求められているのは、(1)保険、投信などの金融商品の開発・販売、(2)投資運用効率の改善に向けた投資の多様化、である。これら施策を実施する上で、地銀間で広域的な提携が行われ、情報ネットワークの相互活用、ノウハウの蓄積、情報システムの充実・高度化が図られている。
付かず、離れずがよし
提携からさらに経営統合に至るには、情報システムの充実に加えて、規模拡大による組織力(資本力)の強化と営業力自体の強化が求められているからだ。地域金融機関同士の統合においては、それぞれの拠点が近接しているほうが、“点”ではなく“面”での店舗網の営業力、競争力の強化が図れる。
一方で、互いの営業エリアが重複していると統合後の店舗統廃合が必要となる。このため、地銀間の経営統合では、営業地域が隣接している一方で、営業エリアの重複が少ないことが望ましいと言えよう。
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