JR東日本は7月25日、社外提供するSuica利用データの取り扱いについて公表した。日立製作所が同データを利用して行う解析サービスについて、プライバシー面の不安や「事前の説明・同意が不足しているのでは」といった批判の声が上がっていたのを受けたもので、JR東日本は「大変なご心配をおかけした」と謝罪。希望者はデータ提供から除外できるようにする。
JR東日本によると、日立に提供するのは「Suicaでの乗降駅、利用日時、鉄道利用額、生年月、性別およびSuicaID番号を他の形式に変換した識別番号」からなるSuica利用データ。
SuicaID番号はSuicaに割り振られたユニークな番号で、Suica裏面の「JE」から始まる文字列。同社によると、提供データからは元のSuicaID番号に復元できないようにしており、利用者の氏名や連絡先とひも付けることができまないという。また特定のSuicaのデータを長期にわたって追跡できないようにしているという。契約でも、同番号を他のデータとひも付けたり、提供データから個人を特定する行為は厳格に禁止しているとしている。
日立は同データを分析し、各駅の利用状況をまとめたリポートを作成して顧客に提供する。設定した基準以下の集計結果は数値表示やグラフ化を行わないなど、「個人の行動を特定できないよう、お客さまのプライバシーに配慮しております」という。
利用者からは事前に説明がないことへの批判が相次いでいたが、「日立に提供しているデータは個人を特定することができない情報であることから、提供について約款などへの記載や個別の許諾をいただいておりませんが、法令の趣旨にのっとりお客さまのプライバシーに配慮して取り扱っております」と説明。利用者向けのQ&A(PDF)も公開した。
7月26日から、希望する利用者のデータを社外提供分から除外できるようにする。9月25日までに要望があった場合、既に提供した過去のデータも除外したものに差し替える。受け付けは専用アドレス宛ての電子メールか電話で行う。詳細は同社の資料(PDF)で。
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