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ターゲットは先進層――KDDIに聞く「Xperia Z3」「GALAXY Note Edge」投入の狙い

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 iPhone 6、6 Plusの販売が始まり、秋冬商戦の幕が切って落とされた。初週のランキングはiPhoneで埋め尽くされるなど、人気の高さは健在だ。こうした中、KDDIが次の一手を繰り出した。同社は、冬モデルとして、IFAで発表されたソニーモバイル製「Xperia Z3」と、サムスン電子製「GALAXY Note Edge」の投入を表明。サムスンがWi-Fiモデルを販売している「GALAXY Tab S」のLTE版も発売する。

IFAで注目を集めたフラッグシップモデルが日本に上陸

 9月3日(現地時間)にドイツ・ベルリンで開催されたIFAに合わせて発表され、話題を集めた「Xperia Z3」と「GALAXY Note Edge」。この2機種のスマートフォンを取り扱うことを、いち早く表明したのはKDDIだった。

 「Xperia Z3 SOL26」は、ソニーモバイルのフラッグシップモデル。従来のXperia Zシリーズより丸みを持たせたフレームを採用しており、さらなる薄型化、軽量化を実現。ホワイトは前面までカラーを統一し、パープルの代わりにカッパーとグリーンを加えた4色展開になっているのも、デザイン上の大きな違いだ。

photophotoカメラや音楽再生機能を強化した「Xperia Z3 SOL26」。外観はグローバル版とほぼ同じだが、背面下部に、さりげなくauのロゴが配置されている
photo側面は、丸みを帯びたアルミフレームになった。前面、背面にガラスパネルを使うのは従来のXperiaと同様だが、この部分のデザインが変わったことで全体的な印象にも変化が出た

 機能面では、外付けDAC(デジタルアナログコンバーター)なしでのハイレゾオーディオ再生に対応。楽曲をハイレゾ相当にアップコンバートする「DSEE HX」も搭載する。カメラのセンサーサイズや画素数はXperia Z1、Z2と同じ1/2.3型、2070万画素だが、「Gレンズ」を一新。広角2ミリとなり、より広い範囲を写せるようになった。「インテリジェントアクティブモード」採用で、手ぶれ補正も強化。ISO12800の高感度撮影をサポートしているのも、Xperia Z3の特徴だ。

photophoto単体でのハイレゾオーディオ再生に対応(写真=左)。カメラは広角2ミリになり、より広い範囲を写せるようになったほか、ISO12800の高感度撮影にも対応する(写真=右)
photo「GALAXY Note Edge SCL24」

 一方の「GALAXY Note Edge SCL24」は、ディスプレイの右側に湾曲した「エッジスクリーン」を採用。サムスン電子の開発した曲面有機ELで実現しており、この部分にアイコンのランチャーを置いたり、通知を表示させたりといったことが可能になる。もともとは、紙のノートをデジタルツールで再現することを目指し、大画面とSペンという2つの組み合わせでファブレットの人気に火をつけたGALAXY Noteだが、GALAXY Note Edgeのエッジスクリーンは「ノートにつけたラベルをモチーフにしている」(サムスン電子関係者)という。そのため、同時に発表された専用カバーの「GALAXY Note Edge Flip Wallet」は、閉じたときにエッジスクリーン部分だけが露出するようになっている。

photophoto右端が曲面になった「エッジスクリーン」を採用する「GALAXY Note Edge」。この部分にはメジャーやレコーダーなどの専用アプリが割り当てられているほか、アプリのランチャーとしても使える。通知も表示可能だ
photoSペンは2048段階の筆圧を検知できるようになり、書き心地がさらによくなった

 ワコムの技術を採用し、筆圧を検知するSペンも強化。検知可能な感度を1024段階から2048段階へと倍増させ、より精細な文字を書けるようになった。Sペンをマウスのように使い、画像などの複数選択を行える機能も搭載された。もちろん、GALAXY Noteシリーズが誇る高い機能は踏襲。ディスプレイはエッジスクリーン部分まで合わせると2560×1600ピクセルとなり、CPUはQualcommのSnapdragon 805でクアッドコア、2.7GHz駆動。カメラは1600万画素で、光学手ブレ補正も搭載する。このほか、インカメラでの広角撮影に対応して、アジアを中心にブームになっている「Selfie(セルフィー)」需要にも応えている。

 どちらのモデルも、通信面ではKDDIが夏モデルから提供している「キャリアアグリゲーション」や「WiMAX 2+」に対応する。ただし、Xperia Z3のみLTEの1.5GHz帯には非対応となり、対応周波数帯は800MHz帯と2GHz帯の2つ(とWiMAX 2+)になる。

 また、IFAでは、ソニーがOSにAndroid Wearの最新バージョンを採用した「SmartWatch 3」を、サムスン電子がTizenを採用し、通話も行える「Gear S」を発表している。KDDIでは、この2モデルも「au +1 collection」で取り扱う予定だ。

photophotoAndroid Wearを採用し、Walkmanなどのスタンドアローンで使える機能も搭載する「SmartWatch 3」。曲面ディスプレイを採用した「Gear S」も発売される。ただし、KDDIのGear SはWi-Fi版のみで、単独での通話や通信はできない。写真はIFA会場で撮影したグローバル版

グローバルモデル導入をいち早く発表した理由

photo「Xperia Z3」「GALAXY Note Edge」投入の狙いを語る内藤氏

 KDDI 商品統括本部 プロダクト企画本部 プロダクト企画1部長の内藤幹徳氏は、「IFAでグローバルモデルとして発表されていて、お待ちになられている方も多かった。このくらいのタイミングでお伝えしておきたかった」と、狙いを語る。

 代表取締役社長の田中孝司氏が「同質化の中の差別化」をうたうように、KDDIは、2014年も夏商戦に「isai FL」を、8月に「HTC J butterfly」という、他社にはないスマートフォンを投入してきた。一方で、「一定のブランドを確立した商品の場合、それがないと逆差別化がリスクになってしまう」と内藤氏が言うように、差別化はあくまで他社と横並びになった上で行わなければ効果が薄くなる。

 内藤氏は「他キャリアから移行してくるお客様もいるし、自社の中にもXperiaファン、GALAXYファンがいる」と話すが、XperiaやGALAXYのグローバルモデルは、MNPの受け皿にもなる。特に2013年、iPhone 5s、5cを導入するまでは、XperiaとGALAXYの2機種を柱にしていたドコモには、これらのユーザーが多い。9月30日にはドコモが新商品発表会を予定しており、これらのモデルが発表される可能性は高い。KDDIが発表をタイムリーに行ったのには、ドコモに対抗したいという思惑が透けて見える。

photoドコモは、9月30日に新製品発表会を開催する。KDDIが2機種を発表したのは、ここに対抗する意図もありそうだ

 とはいえ、XperiaとGALAXYでは、置かれている立場が少々異なる。ソニー・エリクソン時代からXperiaを取り扱ってきたKDDIにとって、同シリーズは「どうしても外せない機種」。対する、GALAXYは、2012年にフラッグシップの「GALAXY S II」を「GALAXY SII WiMAX」として取り扱い始めたばかり。「GALAXY S III」も「GALAXY S III Progre」としてドコモに遅れての投入となったほか、「GALAXY S4」はKDDIでは未発売だ。GALAXY Noteは、2013年の「GALAXY Note 3」が初めての機種だった。

 「今はほとんどが機種変更需要で回っている世界。そもそもユーザーベースは、ドコモさんの方が多く、その違いが台数に出ている」(内藤氏)という事情もあり、販売状況はドコモに及んでいない。2013年にGALAXY Note 3を導入した際は、価格をドコモ版より下げ、キャンペーンも積極的に展開していたが、同様の取り組みを期待したいところだ。

 ちなみに、サムスン電子はIFAで、GALAXY Note Edgeのほかに、「GALAXY Note 4」を発表していた。従来機種から直線的に進化させたのがGALAXY Note 4で、その派生機として端だけ曲がった曲面ディスプレイを採用し、プレミアム感を出したのがGALAXY Note Edgeという位置づけになる。一見“飛び道具”にも思えるGALAXY Note Edgeを選んだのには、次のような理由があるという。

 「ファブレットのラインアップとして、GALAXY Note 3だったり、『Xperia Z Ultra』や『G Flex』をやらせていただいたが、お客様がかなり先進的な方々だった。そういったことを考えると、より先進的なモデルに注力した方がお客様にとってもいい。先進層に向けたGALAXY Note Edgeを採用した理由はそこにある」(内藤氏)

photoGALAXY Noteシリーズの正統進化版と呼べる「GALAXY Note 4」。IFAで発表されたモデルだが、こちらはKDDIからは発売されない

 グローバルモデルに近い位置づけだが、どちらのモデルもワンセグ/フルセグやおサイフケータイには対応。先に述べたように、対応周波数もKDDIのネットワークに合わせた形になっている。また、GALAXY Note Edgeについては、エッジスクリーンを生かせるよう、Eメールアプリのカスタマイズも行ったという。エッジスクリーンは、まだSDKが公開されていないため、KDDIとサムスン電子のエンジニアが協力して開発を行った。

 「エッジスクリーンには、きちんとキャリアメールの表示もできるようにした。待受けのときに着信があると、本文までこの部分に表示される。開発には、サムスンのエンジニアにも協力してもらった」(内藤氏)

photoエッジスクリーン部分に、auのアプリを対応させた。Eメールは、本文までここに流れる

 2機種に加えて、タブレットは「GALAXY Tab S」を導入する。サムスン電子は、GALAXY Tab Sを10.5と8.4の2モデル用意しているが、KDDIが発売するのは前者の10.5型版だ。「サムスンさんのタブレットはディスプレイがものすごくきれい。これは大きな売りになる。ディスプレイを生かすのは映像と考えると、腰を落ち着けて見ていただける10.5インチの方が適している」という。

 大画面のタブレットは、家庭内で使うことも多く、LTE対応の必然性が薄いようにも思えるが、「タブレットのマーケットが伸びる中、家にWi-Fi環境があるリテラシーの高い人ばかりではなくなっている」(内藤氏)そうで、買ってすぐに使えることも求められるようになった。2台持ちがしやすいデータシェアプランが導入されたことも、モバイルデータ通信対応タブレットの売れ行きに弾みをつけている。

photo10.5型のディスプレイを採用した「GALAXY Tab S」。10万対1の高いコントラスト比を誇る
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