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スマートグラス、3Dカメラ、ロボット――Qualcommの「Snapdragon」が目指す新しい世界

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 米Qualcommが主催する開発者イベント「Uplinq 2014」が、米カリフォルニア州サンフランシスコで9月18〜19日の2日間にわたって開催された。UplinqはもともとQualcommの本社のあるサンディエゴで開催されていた開発者/パートナー向けのイベントだが、昨今はアプリケーションやサービスの開発拠点の中心がサンフランシスコのあるSFベイエリアにあるということもあり、これら開発者を取り込むべく、開催場所を移したという経緯がある。今回のイベントで、Qualcommが同社の技術で目指す世界が見えてきた。

話題のロボティクスやスマートグラス分野に踏み込むQualcomm

 スマートフォン/タブレット向けのプロセッサとしては大ヒット商品となり、SnapdragonをベースとしたAndroidスマートフォンは全世界で10億台以上出荷され、製品は発表済みのものも含めて1350種類以上に上ると、Qualcomm CEOのSteve Mollenkopf氏は説明している。また、iPhoneのようにモデムチップだけQualcomm製を採用しているケースもあり、同社製チップを採用したスマートフォンやタブレットの数は膨大なものになる。後述するが、同社はローエンドの製品ラインも含め4G LTEへの対応を進めつつあり、高速ネットワークの利用環境はますます拡大しそうだ。

photophoto米Qualcomm CEOのSteve Mollenkopf氏(写真=左)。QualcommのSnapdragonを搭載したAndroidスマートフォンはすでに10億台以上が出荷され、デバイス種別だけでも1350種類以上が市場に存在する(写真=右)

 このLTEに関して、Qualcommは2つの技術を事例とともにアナウンスしている。1つは、動画ストリーミングなどを地域内の端末に一斉送信する「LTE Broadcast」だ。これまで、インターネットにおける動画ストリーミングは、個々の端末に対してサーバが中継キャッシュを利用して配信する「ユニキャスト」型が中心だったが、LTE Broadcastでは特定のキャリアにぶら下がる端末すべてに対して「ブロードキャスト」で一斉配信する。

 ブロードキャストのメリットは、周波数帯域の消費が最低限度で済むこと。例えば米国ではVerizon Wirelessの事例で、Super Bowlなどの視聴率が極めて高い番組を一斉配信して、ユーザーは個々の端末で試合経過を楽しめる。深夜などのオフピーク時にソフトウェアアップデートをLTE Broadcast経由で配信したり、全米ではなく特定地域に限定してイベント中継やライブ放送を配信したり、といった応用事例も考えられる。

 もう1つは「LTE Direct」で、LTEネットワークを介してユーザーの持つ端末同士が互いの存在を認識し、直接的なやり取りを可能にする仕組みだ。ソーシャル連携で友人とのやり取りに利用したり、あるいはすれ違い通信に近いイメージで近隣のイベントやおすすめ情報を収集したり、位置情報サービスやジオフェンシングに近いイメージで利用できる。モバイルを応用した次世代サービスの1つといえる。LTE BroadcastとLTE Directともに、今回のUplinqのタイミングで開発者向けにSDKを提供することが発表されており、この技術を応用した面白いアプリやサービスが生まれることに期待したい。

photophotoLTEを利用したデバイスへの動画やソフトウェア一斉配信技術「LTE Broadcast」と、LTE搭載デバイス同士が連携可能な「LTE Direct」の最新事例紹介と、SDK提供を発表

 ほかにも、技術者にとって興味深いトピックが紹介されている。1つがロボティクス分野でのSnapdragon利用で、会場では同プロセッサを搭載した小型ロボット「Snapdragon Rover(Micro Rover)」のデモが披露された。自律式ロボットにはカメラが搭載されており、目の前の物体を認識した後、それをつかんで別々の箱に分類していく作業を自動で行う。このロボットの仕組みはQualcommのWebサイトに詳細が記されているほか、下記のようにYouTube動画も公開されており、興味のある方は参考にしてほしい。

photophotophoto「Snapdragon Rover(Micro Rover)」のデモ。ドラゴン型のクレーンを搭載したミニロボットが、目の前に置かれた物体を認識して、その種類によって3つの箱に整理していく

 そしていま話題のスマートグラスだ。Qualcommは過去にCESなどのイベントでも「スマートフォンやタブレットのカメラを通して画像を認識し、その映像にVR(仮想現実)効果を与える」というデモを披露しており、今回はその正式名称が「Vuforia」として紹介された。以前のデモで、Vuforiaはメーカーのロゴや絵本のイラストに反映して、広告宣伝が始まったり、絵のキャラクターが動き回ったりするVRを実現していたが、今回は市販製品として同技術を用いた「Lego Fusion」も紹介されている。

photophoto目の前の画像情報を認識して、スマートデバイスを通して個々にVR効果を与えていく技術は「Vuforia」と名付けられ、Lego Fusionのようにすでに一部で商用化が進んでいる

 「SDK for Digital Eyewear」の名称で、スマートグラス向けにVuforiaの技術を応用できる開発者キットの提供も開始しており、Samsung、Osterhout Design Group(ODG)(http://www.osterhoutgroup.com/)、エプソン、Trigger Globalら提携パートナーが発表されている。スマートグラスの種類もSamsungやTrigger GlobalのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)タイプのものもあれば、ODGやエプソンのようにHUD(ヘッドアップディスプレイ)タイプのものもあり、千差万別だ。単調な情報表示で終わりがちなスマートグラスの視覚効果を、さらに高めることが期待される。

photoVuforiaの技術を活用したARを実現する開発キット「SDK for Digital Eyewear」を公開した
photophotophoto
photophotoSDK for Digital Eyewear公開にあたり、パートナーとなったSamsung、エプソン、Osterhout Design Group(ODG)、Trigger Globalの4社のスマートグラス製品を紹介
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