ジャストシステムは、iOS 8上で動作する「ATOK for iOS」をApp Storeで発売した。価格は1500円。同社はこれまで、iOS向けにはメモアプリ「ATOK Pad」で日本語入力変換を提供してきたが、iOS 8でサードパーティ製ソフトウェアキーボード(文字入力システム)が解放されたことに伴い、今回のATOK for iOSによって、すべてのアプリでATOKが利用できることになる。
ATOK for iOSでは、WindowsやMac向けに提供される「ATOK」と同等の高性能エンジン「ATOK EV Engine」をiOS向けに初めて搭載し、高い変換精度と推測変換によるスムーズな日本語入力を実現したのが最大の特徴だ。最初のバージョンでは、iPhone向けにテンキーキーボード(iPhone 6 Plusでは右寄せまたは左寄せのテンキーキーボードも利用できる)、iPad向けにQWERTYキーボードが提供される。また、カーソルキーのフリックでカーソル移動が行える「らくらくカーソル移動」や、バックスペースのフリックで句読点単位の文章を削除する「まとめて削除」など、ATOK独自のスマホ向け支援機能を搭載しているのも目を引く。
ATOK for iOSの開発を担当した同社の入江賢治氏は、制約の多いiOS 8のキーボードでユーザーにどういったATOKを提案すべきか検討を重ねた結果、「ユーザーはキーボードを触りたいわけではなく、日本語を入力したい。その基本に立ち返って、ユーザーの利用目的をシンプルに捉えたアプリを実現した」と話す。コンセプトは“羊の皮を被った狼”だ。
実際にiPhoneで試用してみたところ、iOS標準のソフトウェアキーボードに似たルック&フィールで、変換確定前の入力文字列がカーソル位置に表示されないという違いはあるものの(標準キーボードではカーソル位置に変換前の入力文字列が表示される)、ほとんど違和感なく利用できた。
また、前後の文節によって正しい変換を推測する精度の高さはさすがATOKという印象。例えば「登場人物が搭乗カウンターに近づいた」という文章の“とうじょう”は、前後の文節からきちんと正しい漢字に変換される。入江氏がオススメと話す「らくらくカーソル移動」も、iPhoneのフリック入力で長文を打つ人にはかなり便利だと感じた。ただ、iOSの仕様上、現時点では外部ハードウェアからサードパーティ製ソフトウェアキーボードを制御できないため、BluetoothキーボードでATOK for iOSを利用することはできず、フリック/タップ入力に限定されてしまうのがやや残念なところかもしれない。
入江氏は「(ATOK for iOSは)WindowsやMacのATOKと同じ変換エンジンをベースにスマホ向けにチューニングを施したもの。最新世代の変換がiOSで利用できる」とアピールし、「iOS史上、最高の日本語変換を提供したい」と意気込む。
なお、今後のロードマップとして、キーボード種類の拡充やATOK Syncアドバンスへの対応、ATOKキーワードExpress、電子辞典連携/校正支援強化などの開発を進めているほか、iPhone 6/iPhone 6 Plusの画面サイズに最適化したUIも検討中とのことだ。
ATOK for iOSの対応機種は、iPhone 6/iPhone 6 Plus/iPhone 5s/iPhone 5c/iPhone 5/iPhone 4s、iPad mini Retina/iPad mini/iPad Air/iPad(第4世代)/iPad(第3世代)/iPad 2、iPod touch(第5世代)。インストールに必要な容量は90Mバイト。
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