コミュニケーションツールとして自分撮りを活用
オリンパスの「PEN Lite E-PL7」は、マイクロフォーサーズ規格に準拠したミラーレスカメラだ。まず注目したいのは、ほかのデジカメではあまり見られない「下開き」の液晶モニターを新搭載したこと。液晶モニターの可動角度は、上に80度、下に180度。180度開いて液晶モニターをレンズ側に向けることで、撮影者自身を被写体にした、いわゆる「自分撮り」を手軽に楽しめることが本モデルのアピールポイントになっている。
ちなみに従来製品の「E-PL6」や「E-PL5」は、上に170度、下に65度可動する液晶モニターを採用していた。これらの機種でも自分撮りはできるが、液晶を上に回した場合、ボディ上部が液晶の下端にわずかに重なるため、上方向への可動の角度は180度ではなく、最大170度になっていた。だが今回のE-PL7では、上開きから下開きに変更することで、きっちりと180度まで開き、画面全体を真正面から見られるように改善されている。
さらに自分撮りに適した仕掛けも用意している。その1つは、モニターを180度回転すると、自動で左右反転表示になり、電動ズーム装着時はズームが自動的に広角端に移動すること。もう1つは、自分撮り用のメニューとして、タッチして1秒後にシャッターが切れるボタンと、1秒間隔で3回撮影を行うカスタムセルフタイマーの切り替えボタンのアイコンが液晶画面に表示されること。また、iAUTOモード選択時は、肌を滑らかに再現するためのeポートレートボタンも表示される。
自分撮りの際の視線は、従来の上開き液晶では上に向きがちだが、本モデルの下開き液晶では伏し目がちになりやすい。どちらの場合も、シャッターが切れる瞬間はレンズを見るようにしたい。
近年、アジアの若い世代を中心に自分撮りがちょっとしたブームになっているが、E-PL7の自分撮りモードはその流れを見据えた機能といっていい。個人的には、1人で撮影しているときに自分を撮りたいと感じることはまずない。中年男性で自分撮りがしたい人なんて、ほとんどいないだろう。だが、子どもと一緒に記念写真を撮ったり、海外取材の際に現地で知り合った人とコミュニケーションを図るために自分を入れながらツーショットを撮る、といった使い方は時々している。そんな用途にもうってつけだ。
もちろん、ローポジション撮影やハイポジション撮影など、自分撮り以外の用途にも、可動式の液晶は役立つ。従来モデルと比較した場合、液晶のアスペクト比が16:9から3:2に変更されたことで画面が一回り大きく表示されるようになったことや、液晶ドット数が約46万ピクセルから約104万ピクセルへと精細化したこともありがたい。
光跡や星空が手軽に撮影できるライブコンポジット対応
E-PL7に追加された機能の中では、2014年2月に発売された「OM-D E-M10」から継承した「ライブコンポジット」が気に入った。これは、夜景や星空などを撮る際に、設定した一定の秒数で連続撮影を行い、その複数のカットに対してカメラ内で自動的に比較明合成を適用することで、1枚の写真として仕上げる機能だ。比較明合成とは、画像を重ね合わせる際、ピクセルごとの明度を比較し、明るいほうのピクセルを採用して合成すること。
1回の長時間露光による夜景撮影とは異なり、画面周辺にライトアップされた建物などを写し込んだ場合でも、建物側が露出オーバーになることなく、星の動きや車のライトなどを光跡として記録できる。下の写真は、ライブコンポジットを選択し、1コマの露出時間を1秒に設定した上で、180秒間の撮影を行ったものだ。
ライブコンポジットでの撮影中は液晶モニターがずっと表示され、車が通過するごとに光跡の数が刻一刻と増えていく。その様子を確認しながら、狙いどおりの状態になった段階で撮影をストップすればいい。複雑な設定や操作をせずに、誰でも気軽に光跡や星空の撮影が楽しめる機能としてお勧めだ。
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