少ないCUDAコアでより高い処理能力を
NVIDIAは9月18日(現地時間)、Maxwell(マクセル)アーキテクチャを採用した新しいハイエンドGPU「GeForce GTX 980」と、その下位モデルとなる「GeForce GTX 970」を発表した。どちらもNVIDIAが“GM204”(開発コード名)と呼ぶGPUをベースにしている。従来のGeForce GTX 780などと同じTSMCの28ナノメートル HPプロセスを採用し、2048 CUDAコアを集積。その一方で、Maxwellアーキテクチャの採用により大幅な消費電力化と高性能化を両立している。
Maxwellアーキテクチャは、次期Tegra“Erista”(エリスタ:開発コード名)への統合を目指し、複数のCUDAコアをひとまとめにしたSM(Streaming Multiprocessor)の構成を見直し、より効率的にCUDAコアを利用できるようにすることで、同じCUDAコア数でも処理性能を向上させている。
GPU | GeForce GTX 980 | GeForce GTX 680 | GeForce GTX 780 Ti |
---|---|---|---|
アーキテクチャ | Maxwell | Kepler | Kepler |
GPUコア(開発コード名) | GM204 | GK104 | GK110 |
プロセスルール | TSMC 28nm | TSMC 28nm | 28nm |
ダイサイズ | 398平方mm | 294平方mm | 533平方mm |
トランジスタ数 | 52億 | 35億4000万 | 71億 |
SM | 16 | 8 | 15 |
CUDAコア | 2048 | 1536 | 2688 |
ベースクロック | 1126MHz | 1006MHz | 875MHz |
GPU Boostクロック | 1216MHz | 1058MHz | 928MHz |
TFLOPS(GPUブースト最大時) | 5TFLOPS | 3.3 | 5.5TFLOPS |
テクセルフィルレート | 144.1Gtexels/sec | 129Gtexels/sec | 210Gtexels/sec |
2次キャッシュ | 2MB | 512KB | 1.5MB |
メモリクロック | 700MHz | 600MHz | 700MHz |
メモリ帯域 | 224GB/sec | 192GB/sec | 336GB/sec |
メモリインタフェース | GDDR5 256bit | GDDR5 256bit | 384bit |
ROP | 64 | 32 | 48 |
TDP | 165W | 195W | 250W |
Keplerが192基のCUDAコアでSMXを構成していたのに対し、Maxwellアーキテクチャでは、128基のCUDAコアでSMを構成するとともに、SM内を32コアごとに「プロセシングブロック」(PB)と呼ぶGPU処理の実行単位を設け、4つのPBにコントロールロジックとなる「Warpスケジューラ」と2つの命令発行ユニット(ディスパッチユニット)、64KBのレジスタファイルを持たせることで、命令発行の効率化を図っている。また、PBごとに動作クロックを制御することで、低負荷時の省電力化も図りやすくしている。
その基本構成は、2014年2月に発表した“GM107”こと初めてMaxwellアーキテクチャを採用したGPU「GeForce GTX 750 Ti」と変わらないが、“GM204”では高性能デスクトップ向けにチューニングを施し、より高性能で、かつ、省電力性に優れたGPUに仕上げている。
NVIDIA 上級副社長でGeForceビジネスを統括するジェフ・フィッシャー氏は、GM204の設計にあたり、以下の目標を掲げた。
- 4Kやバーチャルリアリティ環境など、最新ディスプレイ環境における非凡なゲーミング性能の実現
- 驚くべき電力効率の実現
- VXGIによる、より写実的なライティング表現の実現
さらに、GK204では、Microsoftが2015年末にリリース予定のDirectX 12への対応もうたっている。
Copyright© 2014 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.