iPhone6/iPhone6 Plusが9月19日に発売され、これに合わせてiOS 8もリリースされた。さらに、iPadのリニューアル版の販売も今年中に予定されている。多くのユーザーがiPhoneやiPadを使用しているものの、こういったモバイル製品を企業で利用していくにはどんな課題があるだろうか。
必須のセキュリティとコストの増加
iPhoneやiPadを仕事で利用するのは、社内のデータをデバイスに保存して顧客先でプレゼンテーションをしたり、モバイルのデータ通信ネットワークを使って出先からメールを見たり、社内ネットワークへ接続して、業務システムにアクセスすることだろう。こういった用途には、iPhone/iPadはぴったりだ。だが、もしデバイスが盗難・紛失に遭えば、企業としてはセキュリティ面で大きな問題となる。
iPhone/iPadのiOSには、MDM(Mobile Device Management)のフレームワークが用意され、この機能を利用すれば、盗まれたデバイスでメールを読めなくしたり、デバイス自体をロックしたりして使えなくさせることができる。なお、標準的なiPhone/iPadは個人利用を前提にしている。このままで企業が導入すると、一つ一つのデバイスを個々に管理しなくてはいけない。このため、iOSのMDMフレームワークを利用したサードパーティ製のMDMソフトが必要になるわけだ。
MDMソフトを利用すれば、企業で導入したiPhone/iPadを一括管理でき、幾つかの製品では、Windowsの認証システムであるActive Directoryと連動した管理ができる。サードパーティの中にはMDMの機能をSaaSとして提供しているところもある。こういったMDMソフトは、iPhone/iPadだけでなく、AndroidやWindowsなどにも対応している。実は企業でiPhone/iPadなどのモバイルデバイスが増えていくと、それに応じてMDMソフトのコストがかさんでくる。
社内ネットワークにアクセスすることや、メール利用などを考慮すれば、モバイル用のセキュリティソフトも必要だ。ウイルスチェックだけでなく、セキュリティ上問題のあるアプリをインストールさせないということも重要になる。
アプリのインストールに関しては、iPhone/iPadが個人所有(BYOD)なのかどうかによって変わる。対応する専用アプリを利用するかどうかになると、よりコストがかかってしまう。
このように、モバイルデバイスを企業として適切に管理するには、非常にコストがかかる。単に便利だからといって、野放図に個人が仕事で利用すれば大きなトラブルにもなるだろう。セキュリティリスクとしても、例えばスマホを通じて個人情報を盗むアプリなどが出てきていることを考えれば、スマホやタブレットのアプリを経由して、特定の企業の内部情報が盗まれることもあり得る。このため、企業ではある程度のコストをかけて、モバイルセキュリティをキチンと行う必要がある。
セキュリティにおけるコスト増は、iPhone/iPadだけの問題では無く、新しい種類のデバイスを企業で利用するときには、生じる問題だ。
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