世界の、とりわけ日本のスマートフォン市場にとって、iPhoneの重要性が高いことは今さら言うまでもないだろう。
2007年に登場した初代iPhoneは、それまで無骨で一部のマニア向けだった(名ばかりの)スマートフォンを多くの人々にとって使いやすく親しみやすいものとして「再定義した上で解放」し、その後に続くコンシューマー向けスマートフォンの礎を作った。その後、iPhoneは年々進化してきたが、どれもが広くあまねく多くの人に受け入れられるスマートフォンを目指し、イノベーションの大衆化と普及に貢献してきたのである。
また、販売市場においても、iPhoneの影響力はいまだ健在だ。グローバルでの販売台数やシェアではAndroidスマートフォンの成長も著しいが、その多くは低価格を強みとする普及モデル。プレミアムセグメントでのシェアやブランド力、顧客満足度ではAppleがナンバー1だ。とりわけブランド力と品質・デザインが重視される日本市場では、依然としてiPhoneがトップシェアである。
国内外で注目され、大きな影響力を持つiPhone。それがフルモデルチェンジをして「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」という、ふたつのiPhoneになった。
筆者は今回、その日本市場向け製品版を、一足早くテストをする機会を得た。そのサイズの拡大が注目されるiPhone 6とiPhone 6 Plusは、実のところどうなのか。実機利用をもとにリポートしたい。
デザインテイストは変わったが、一級品の美しさは変わらず
iPhone 6とiPhone 6 Plusでもっとも分かりやすく、世間の耳目も集まっているのが「サイズの拡大」である。今回、AppleはiPhone 6に4.7型、iPhone 6 Plusに5.5型のディスプレイを搭載。それに伴って、先代から一気にそのボディを大型化した。iPhone 6のボディサイズは、67(幅)×138.1(高さ)×6.9(厚さ)ミリ。iPhone 6 Plusのサイズは77.8(幅)×158.1(高さ)×7.1(厚さ)ミリとなっている。
しかし本当に注目なのは、このサイズ拡大にあわせてデザインのテイストが変わったことだろう。iPhone 4以降、iPhoneのデザインは“面と直線”を基調としたクールなものであり、凝縮された高級感を実現していた。それに対して、iPhone 6とiPhone 6 Plusは先代と同じアルミニウム製ながら側面が曲面を描き、横幅が広がる一方でより薄くなる「ワイド&スリム」なデザインとなった。
側面や角を子細に眺めると、その滑らかさと美しさは、ポルシェなど高級スポーツカーのボディをほうふつとさせるほど加工精度の高いものだ。さらに表面のガラスも端に行くに従って丸く滑らかに加工され、側面に回り込むようにして金属部と融合している。このようにiPhone 6とiPhone 6 Plusのデザインは“面と曲線”を基調にしたものになり、とても女性的でありつつ、その上質さは先代以上のものになっている。特に金属とガラスという異なる素材がなまめかしいほど滑らかに融合している部分は、触れるだけで気持ちよい。この感覚に訴えてくる高級感は、ぜひ実機にふれて体験してほしいところだ。
細かな部分にも目を向けると、まず気がつくのが、電源ボタンの位置が本体の右側面に移動したことだろう。5.5型のiPhone 6 Plusはもちろん、4.7型のiPhone 6でも片手で持った時に指を上端まで届かせにくくなっており、それへの対応として側面に移動させた。また本体下部にはマイクやスピーカー、Lightning、イヤフォン端子などが集中している。これらのボタンやスリットなどの金属加工もとても精緻であり、質感が高い。金属とガラスのボディを、工芸品的な美しさで見せるというiPhoneの流儀はここでも健在である。
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