←・紙のノートを卒業できる?:「VAIO Duo 13」徹底検証(中編)——新スライダーPCの画質、音質、ペン入力、キーボード、タッチパッドはいかに進化したか
先に掲載した前編と中編に続き、ソニーが発売した13.3型コンバーチブルPC「VAIO Duo 13」のレビュー後編をお届けする。
各種ベンチマークテストでVAIO Duo 13の実力に迫る
独特のスライドボディにHaswellこと「第4世代Coreプロセッサー」を搭載したVAIO Duo 13は、どれほどの性能を備えているのか、各種ベンチマークテストで確認していこう。
今回はVAIO Duo 13の店頭販売向け標準仕様モデルとソニーストアが取り扱うVAIOオーナーメードモデル(VOMモデル)の最上位構成を用意した。比較対象として、Ivy Bridgeこと「第3世代Coreプロセッサー」を搭載した下位機「VAIO Duo 11」の2013年春モデル(SVD11229CJB)と、Haswellを採用した13.3型軽量ノート「VAIO Pro 13」の店頭モデル(SVP13219CJB)およびVOMモデル(SVP1321A1J)の結果も併記している。
それぞれの主なスペックをまとめた。VAIO Duo 13の店頭モデルは、基本スペックがVAIO Pro 13の店頭モデルとほぼ同じだ。VAIO Duo 13のVOMモデルは5機種の中で唯一、Intel HD Graphics 5000(GT3)のグラフィックスコアが統合されたCore i7-4650U(1.7GHz/最大3.3GHz)を搭載している。VAIO Duo 13の店頭モデルや、PCIe SSDを備えたVAIO Pro 13のVOMモデルとの差に注目したい。
今回テストしたVAIOノート | |||||
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シリーズ名 | VAIO Duo 13 | VAIO Duo 13 | VAIO Duo 11 | VAIO Pro 13 | VAIO Pro 13 |
モデル名 | SVD13219CJW | SVD1321A1J | SVD11229CJB | SVP13219CJB | SVP1321A1J |
販路 | 店頭 (標準仕様モデル) | 直販 (VAIOオーナーメードモデル) | 店頭 (標準仕様モデル) | 店頭 (標準仕様モデル) | 直販 (VAIOオーナーメードモデル) |
CPU | 第4世代 Core i5-4200U | 第4世代 Core i7-4650U | 第3世代 Core i5-3337U | 第4世代 Core i5-4200U | 第4世代 Core i7-4500U |
CPUクロック | 1.6GHz/最大2.6GHz | 1.7GHz/最大3.3GHz | 1.8GHz/最大2.7GHz | 1.6GHz/最大2.6GHz | 1.8GHz/最大3.0GHz |
キャッシュ | 3Mバイト | 4Mバイト | 3Mバイト | 3Mバイト | 4Mバイト |
チップセット | CPUに内蔵 | CPUに内蔵 | Intel HM76 Express | CPUに内蔵 | CPUに内蔵 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4400 | Intel HD Graphics 5000 | Intel HD Graphics 4000 | Intel HD Graphics 4400 | Intel HD Graphics 4400 |
GPU実行ユニット数 | 20基 | 40基 | 16基 | 20基 | 20基 |
GPUクロック | 200MHz〜1.0GHz | 200MHz〜1.1GHz | 350MHz〜1.1GHz | 200MHz〜1.0GHz | 200MHz〜1.1GHz |
CPU+GPU+チップセットTDP | 15ワット | 15ワット | 17ワット+4.1ワット | 15ワット | 15ワット |
メモリ | LPDDR3-1600 (デュアルチャンネル) | LPDDR3-1600 (デュアルチャンネル) | DDR3L-1600 (デュアルチャンネル) | DDR3L-1600 (デュアルチャンネル) | DDR3L-1600 (デュアルチャンネル) |
メモリ容量 | 4Gバイト | 8Gバイト | 4Gバイト | 4Gバイト | 8Gバイト |
データストレージ | 128GバイトSATA SSD | 512GバイトSATA SSD | 128GバイトSATA SSD | 128GバイトSSD | 512GバイトPCIe SSD |
データストレージ型番 | Samsung MZNTD128HAGM | TOSHIBA THNSNH512GDNT | TOSHIBA THNSNS128GMCP | TOSHIBA THNSNH128G8NT | Samsung MZHPU512HCGL |
液晶ディスプレイ (方式) | 13.3型ワイド(IPS) | 13.3型ワイド(IPS) | 11.6型ワイド(IPS) | 13.3型ワイド (IPS) | 13.3型ワイド (IPS) |
表示解像度 | 1920×1080ドット | 1920×1080ドット | 1920×1080ドット | 1920×1080ドット | 1920×1080ドット |
パネル種別 | トリルミナスディスプレイ for mobile | トリルミナスディスプレイ for mobile | VAIOディスプレイプラス | トリルミナスディスプレイ for mobile | トリルミナスディスプレイ for mobile |
タッチパネル | 搭載 (静電容量式) | 搭載 (静電容量式) | 搭載 (静電容量式) | 搭載 (静電容量式) | 搭載 (静電容量式) |
キーピッチ | 約19ミリ | 約19ミリ | 約18ミリ | 約19ミリ | 約19ミリ |
キーストローク | 約1.1ミリ | 約1.1ミリ | 約1.2ミリ | 約1.4ミリ | 約1.4ミリ |
バッテリー容量 | 50ワットアワー | 50ワットアワー | 39ワットアワー | 37ワットアワー | 37ワットアワー |
公称バッテリー駆動時間 | 約18時間 | 約18〜18.5時間 | 約7時間 | 約13時間 | 約10.5〜13時間 |
幅 | 330ミリ | 330ミリ | 319.9ミリ | 322ミリ | 322ミリ |
奥行き | 210ミリ | 210ミリ | 199ミリ | 216ミリ | 216ミリ |
高さ | 9.2〜19.5ミリ | 9.2〜19.5ミリ | 17.85ミリ | 12.8〜17.2ミリ | 12.8〜17.2ミリ |
重量 | 約1325グラム | 約1325グラム | 約1305グラム | 約1060グラム | 約1060グラム |
OS | Windows 8 (64ビット版) | Windows 8 (64ビット版) | Windows 8 (64ビット版) | Windows 8 (64ビット版) | Windows 8 (64ビット版) |
オフィススイート | Office Home and Business 2013 | − | Office Home and Business 2013 | Office Home and Business 2013 | − |
価格 (2013年7月22日現在) | 実売18万円前後 | 23万2800円 (直販価格) | 実売13万円前後 | 実売16万円台半ば | 21万800円 (直販価格) |
cTDP対応でUltrabookの限界を超えた性能に挑戦
テストを行う前に、電源関連の設定を確認しておこう。Windows 8の電源プランは「バランス」で統一している……というより、VAIO Duo 13はもともと「バランス」の設定しか用意していない。通常は「省電力」や「高パフォーマンス」の設定もあるのだが、電源プランの初期設定が1種類というのは珍しい。
その代わり、「VAIOの設定」ユーティリティでは、キーボードモード(ディスプレイを立ち上げたノートPC形状)とタブレットモード(ディスプレイを閉じたタブレット形状)のそれぞれで「CPUとファン」の設定を指定できるようになっている。初期設定は、キーボードモードが「パフォーマンス優先」、タブレットモードが「静かさ優先」だ。今回は基本的にこの2つの初期設定でテストを行い、一部のテストはキーボードモード時の「標準」設定でも実施した。
設定を変えてテストする理由は、VAIO Duo 13が「cTDP」(Configurable Thermal Design Power:設定可能な熱設計電力)に対応しており、この「CPUとファン」の設定がcTDPに連動するからだ。cTDPとは、状況に応じてCPUのTDP(熱設計電力)を可変させる機能のこと。VAIO Duo 13の場合、通常はTDPが15ワットだが、キーボードモード時の「パフォーマンス優先」設定では、性能を重視した25ワットに切り替わる。つまり、同じCPUを搭載した標準的な熱設計のUltrabookより高いパフォーマンスが期待できるのだ。
VAIO Duo 13のcTDP対応状況 | |||
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本体の状態 | パフォーマンス優先 | 標準 | 静かさ優先 |
キーボードモード | 25ワット | 15ワット | 15ワット以下 |
タブレットモード | 15ワット以上 | 15ワット | 15ワット以下 |
なお、比較対象としているVAIO Duo 11は、Core i7搭載のVOMモデルのみcTDPに対応する。今回テストしたCore i5搭載の店頭モデル(SVD11229CJB)は、キーボード/タブレットモードで最大TDPに違いがないので、タブレットモードでの計測はしていない。また、VAIO Pro 13は店頭モデル、VOMモデルともcTDP非対応だ。
Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア
Windows 8標準の性能評価機能であるWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアから見てみよう。
VAIO Duo 13の店頭モデルは、VAIO Duo 11の店頭モデルに比べて、グラフィックスが0.2ポイント高いものの、全体的にほとんど変わらないスコアだ。CPUが第3世代Coreから第4世代Coreに移行したからといって、店頭モデルの仕様でスコアが大きく向上するわけではない。このスコアは、VAIO Pro 13の店頭モデルともほぼ同等だ。
一方、VAIO Duo 13のVOMモデルは、プロセッサが「7.2」、メモリが「7.6」とスコアが大きく伸びた。プロセッサ、メモリ、ゲーム用グラフィックスの3項目は、テストした5機種中で最高のスコアだ(メモリはVAIO Pro 13のVOMモデルと同スコア)。
プライマリハードディスクのスコアは、店頭モデルが「8」、VOMモデルが「8.1」と、Serial ATA 6Gbps接続のSSDでは高いレベルだった(VAIO Duo 11も同様)。さすがに、高速なPCIe SSDを搭載したVAIO ProのVOMモデル(8.6)にはかなわないが、総じてストレージ性能はUltrabookとして高い位置にある。
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