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ルネサス 作田CEOがM&Aを示唆――相次ぐ競合の買収ニュースに「心中穏やかではない」

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 ルネサス エレクトロニクスは2014年9月2日、東京都内でプライベートイベント「Renesas DevCon JAPAN2014」を開催した。会場には、ユーザー企業やパートナー企業から約1500人が詰め掛けるなど、国内半導体メーカーのプライベートイベントとしては、恐らく過去最大規模のイベントとなった。

 ルネサスは、2011年3月の東日本大震災での工場被災以降は経営危機ともいえる状況に陥り、1万人以上のリストラや大規模な工場の再編を実施し、不採算事業からの撤退を行うなど、縮小均衡の話題が常に先行してきた。つい最近も、約360人のリストラを新たに発表している。

 この日のプライベートイベントは、まだまだ再建途上にあるルネサスの状況とは、正反対といえるような盛大なものだった。大規模な会場を貸し切った他、この日に向けて、次世代自動車のコンセプトを盛り込んだ大規模なシミュレータを開発するなど、決して小さくない費用を投じたと一目で分かるものだった。

 苦しい中で大規模なイベントを開催した狙いは、イベントの主題に表れていた。

 “反転攻勢”に向けルネサスが「一歩先の世界」を提供——。

 縮小均衡の一辺倒からようやく、成長に向けて動き出したことをユーザーにアピールするためだ。

 反転、成長への“のろし”ともいえるRenesas DevCon JAPAN2014の会場で、2013年からルネサス再建の陣頭指揮を採る会長兼CEOに、これからの成長戦略などについて、インタビューにした。


絞り込まないと会社全体がおかしくなってしまう

——CEOに就任され1年が経過しました。ルネサス再建に向けて、どのような課題を認識されましたか。

tt140902RENESASDEV001.jpg「Renesas DevCon JAPAN2014」の基調講演に登壇した作田久男氏

作田氏 就任前は、オムロンでルネサスから半導体を買う立場であり、その半導体は、非常に大事なもので、なくてはならないものだった。そういう立場からルネサスは存続させなければならないと思って着任した。

 2003年に(日立製作所と三菱電機の半導体事業の)2社が合併し、少し遅れてNECエレクトロニクスが合流(2010年)したわけだが、それまでの個社が投資してきた経営資源は、合計で、売り上げ1兆8000億円規模の事業をイメージしたものだった。けれども、3社のピーク時売り上げを合計しても1兆4000億円程度だった。そこに加えて、ルネサスの事業ドメインは、あまり右肩上がりのものではなく、大変なことだなと感じた。その中で、何としてもルネサスという会社が生き残るためには、いろいろな人には申し訳なかったのだが、選択と集中で絞り込まないと会社全体がおかしくなってしまうということが率直な感想だった。

——人員の削減、製造拠点の削減を進められましたが、適正な規模になりましたか。

作田氏 近づきつつある。ただ、商売であるからには、外部環境も変わるため、あくまで当初の目標に対しては、近づきつつあるということだ。

ルネサスの価値を、いかに顧客に適正に評価してもらえるか

——2016年度(2017年3月期)に営業利益率2桁、粗利率45%を目標に掲げておられますが、目標達成に必要なことは何でしょうか。

作田氏 1番は、ルネサスの持つ価値を、いかに顧客に適正に評価してもらえるかだ。

 2016年度粗利率45%を掲げているが、今年度(2014年度)は粗利率41%を達成できる見込みだ。粗利率は、為替の影響も受けるため、2012〜2013年と(円安が進んだ結果の)為替効果で6%程度、粗利率は改善した。さらに構造改革による製造コストを下げたことにより粗利率が高くなった。そして、最近効果が見え始めたのが、プロダクトミックスによる効果だ。

 ルネサスが過去苦しかったのは、安く売りすぎたため。安く売ってしまったものは高くできないので、顧客に「ごめんなさい」といって商売をやめている。

 社員に強く言っているのは、「顧客の期待と信頼は粗利に表れる」ということ。自分たちが期待する粗利率は稼がないといけない。

 極端だが海外の案件に、粗利率マイナスというようなものがある。とある事情からそうなったのだが、それにしても粗利率マイナスの製品をどうして続けるのか私には疑問であり、これからはそうした商売はしない。全て粗利率45%以上というのは無理だが、ある粗利率以下の製品は売らない。

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