自分の描いたイラストがイメージ通りに服になる——そんな夢のようなサービス「STARted」がオープン間近だ。「ファッションにおける『ニコニコ動画』や『pixiv』のような場所になれば」と話す藤井裕二社長に話を聞いた。
「STARted」は、オンラインでアパレルブランドを立ち上げ、実際に製品を販売できるサービス。服飾の専門知識がない人でも、イメージイラストをアップロードするだけでオリジナルデザインのTシャツやワンピース、ジャケットなどを製品にできる。
開発を行うバンダースナッチは、ECサイトを運営しながら自社ブランドとして“父親が着せたくなるかっこいい子ども服”をコンセプトとしたキッズブランド「Gangsta」を展開している。
2年ほど前、事業を始めたばかりのころ、気に入ったアイテムやブランドがあっても創業間もない企業とは取り引きを断られるケースも多かった。気に入った商品を売るためにはもう自分でブランドを立ち上げるしかない……と「カッとなった」のがブランド立ち上げに挑んだきっかけだそうだ。「別に専門知識もないのに! いま思うと無鉄砲だった」と藤井社長は笑う。
ブランド立ち上げの難しさを解消
「どうしたらブランドって立ち上げられるんですか?」——セレクトショップ形式で買い付けてくるのではなく、自社で1からブランドを立ち上げるケースは珍しく、藤井さんの元にはオンライン/オフライン問わず1〜2カ月に1件ほどのペースで継続的に問い合わせが来るようになった。ギャルママサークルの仲間と子ども用の服を作りたいという若い女性、「大阪のおばちゃんテイストでギャル服を作れば売れるんじゃないか」と熱弁する営業マンなど、「こんなことがなければきっと人生で話すきっかけすらなかった人たち」(藤井社長)からの情熱あふれる問い合わせの量に驚いたという。
アパレルブランドを立ち上げる際にネックになるのは、生産プロセスの知識の有無だ。どの生地をどれだけ使うか、余った分をどう使い回すか、どんな機材を使って何を優先するかなど全体の流れを考慮する必要がある。服飾の専門学校などで学んだ専門知識のある人が始めても200〜300万円、何も知らない状態であれば1000万円近くかかってもおかしくないという。熱意やアイデアがある人であっても、経費や必要な時間を伝えるとあきらめてしまう場合がほとんどだった。
「でもそれってもったいないじゃないですか、世界の損失ですよ。『大阪のオバちゃんとギャル服』なんて組み合わせ、企業の中ではきっとそんな発想は出てこない。世の中広いんだから、世界のどこかには自分が好きなものを着たいと思ってくれるバッチリセンスが合う人がいるかもしれない。そのマッチングができたらファッションはもっと面白い」(藤井社長)
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