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“口だけコンサル”ではなく現場に根ざしたリーダーに T-MEDIAホールディングス・鶴島さん

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企業の情報システム部門の現場で活躍する方々を追ったインタービュー連載「情シスの横顔」のバックナンバー

 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ会社で、映画のネット宅配レンタルや音楽配信、eコマースなどの事業を手掛けるT-MEDIAホールディングス。2013年7月にTSUTAYA.comから社名を変更した。これにより、既存のネットエンタテインメントサービス事業の強化を図るとともに、CCCで展開していた情報サイト「TSUTAYA online」などのネット関連メディア事業を統合し、幅広いサービスを展開していく。

T-MEDIAホールディングス グループIT本部 ビジネスIT MEDIA Leaderの鶴島寛幸さん。神奈川県横浜市出身T-MEDIAホールディングス グループIT本部 ビジネスIT MEDIA Leaderの鶴島寛幸さん。神奈川県横浜市出身

 同社でサービス開発を担当する鶴島寛幸さんは、2011年3月に入社。それ以前はシステム開発ベンダーで、約10年ほどプログラマーやSEなどの仕事に従事した。大学時代はITとは無縁で、社会に出てから経験を積んでいったという。

 同社のIT部門は、主にネット宅配レンタル「TSUTAYA DISCAS」の開発や保守、TSUTAYA onlineの運営、電子書籍サイト「TSUTAYA.com eBOOKs」や着うた・コミック配信サイト「TSUTAYAミュージコ」、そのほか新規サービスなどを担当する。

 鶴島さんがTSUTAYA.comに入社して最初に携わったのは、TSUTAYA.com eBOOKsのAndroid版の開発である。ログイン回りのシステム設計などを担当し、2011年6月にサービスインした。

 その後、「TSUTAYAプレミア」(現・TSUTAYAミュージコ)のスマートフォン版の立ち上げに、プロジェクトリーダーとしてかかわった。「2011年6月にプロジェクトが始まり、8月に検討、11月にサービスリリースというタイトな案件でしたが、何とかやり遂げられたことで、営業部門などから信頼を得ることができました」と鶴島さんは振り返る。現在もメインで担当しているそうだ。

ユーザー目線であるべき

 前職では企業内システムの構築をはじめB2B向けのサービス開発に取り組んできた鶴島さん。コンシューマー向けのサービスを扱うようになったことで苦労などはないのだろうか。

 例えば、開発を進める上でとりわけ異なるのは要件定義の部分だという。B2B向けだと、与えられた要件に従ってシステムを作り、納品するという形だった。一方で、コンシューマー向けだと、最終的に使うのは一般ユーザーなので、自分自身もユーザーの一人として要件定義から入り、どういうシステムがいいのかを検討しながら開発していく。

「よりユーザー目線に立った開発が求められています。サービスリリースが遅れたり、品質が悪かったりしたらユーザーに迷惑がかかるので、丁寧かつスピーディーな仕事運びが重要なのです」(鶴島さん)

 加えて、デザインやアプリケーション設計の面でも社内のいろいろなメンバーを巻き込んで、よりユーザーが使いやすく、楽しいものを作っていくように常に意識しているそうだ。「そのために、技術については、HTML5やCSSなどの基本的な知識は身に付けようとしていますし、他社のアプリを隅から隅まで試してみるなどの情報収集をしています」と鶴島さんは話す。

何よりも物事の優先順位を

 B2BからB2Cまでさまざまなシステム開発プロジェクトを担当してきた鶴島さんが、プロジェクトマネジャー(PM)として心掛けていることは何だろうか。「優先順位をしっかりと決めることが何よりも大切」と鶴島さんは強調する。プロジェクトにおける物事の優先順位が決まれば、外部の協力会社などに発注し、進ちょく管理や課題管理に注力できる。逆に優先順位があいまいであれば、手戻りなどが多くなり、余分なコストが膨れ上がる可能性も高い。

 ただ、プロジェクトの初期段階でいくら綿密に詰めたとしても、予期せぬトラブルが発生してしまうケースもある。それを最小限に防ぐために、プロジェクトにかかわるベンダーやメンバーと定期的にコミュニケーションをとりながら認識合わせをして、問題の芽を早めに摘み取っていくようにしているという。

 一方、失敗するプロジェクト例として鶴島さんが挙げたのは、PMの所在が不明確であることである。

 「大規模プロジェクトになると、1人のPMが管理しきれなくなって、2人体制になることがあります。すると、リーダーであるPMがそれぞれ並行して同じようなことをしてしまい、作業の重複や役割分担のミスなどが発生しがちです。プロジェクトにおける先導役は重要だと考えています」(鶴島さん)

 特に鶴島さんの場合、自ら手を動かしてシステムを開発しているわけではないし、ベンダーと社内で一緒に仕事をしているわけでもない。その分、自分自身がシステムの仕様を理解して、今ベンダーが何をやっているか、メンバーの誰が何をやっているかを把握し、きちんと交通整理をしてリリースまで持っていくのが大事なのだという。

“口だけコンサル”にはならない

 今後のキャリア形成についてはどのように考えているか。「プロジェクトをよりうまく回せるように、マネジメントスキルを高めていきたい」と鶴島さんは意気込む。目指す姿は「口だけではないコンサルタント」(鶴島さん)だ。

 「こういうことができますと言うだけではなく、自分でプロジェクトとして取りまとめて、最後まで面倒を見ることを重視しています。一般ユーザー向けのサービスとなると、現場業務が離れるとユーザーからも遠のいてしまいますし、システムはこうあるべきだという一般論しか言えなくなってしまいます。それこそ“口だけコンサル”です。そうではなく、現場にいて視野を広げ、案件を回していく方がいいなと考えています」(鶴島さん)

「事業部門から“こういうことをやりたい”という話がIT部門にあったときに、ITを活用して夢を語れることが大事だと思います。誰かが考えたことを実現するだけでも、動いているシステムを安全に保守するだけでもないのです。もっとIT部門が積極的に企画を立てて、利益を稼いでも良いのです」「事業部門から“こういうことをやりたい”という話がIT部門にあったときに、ITを活用して夢を語れることが大事だと思います。誰かが考えたことを実現するだけでも、動いているシステムを安全に保守するだけでもないのです。もっとIT部門が積極的に企画を立てて、利益を稼いでも良いのです」

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