東芝は7月22日、企業向け「Windows XP移行サービス」に関するメディア向け説明会を実施。数十台から数千台単位と幅広い法人を対象に、手間・工数を抑える同社独自の工夫を取り入れたWindows XP移行支援サービスの優位性を説明した。
Windows XPおよびOffice 2003、Internet Explorer 6は2014年4月9日にサポートが終了。以降、対象ソフトウェアを搭載するPCに対してはMicrosoftよりセキュリティ更新プログラム、各種修正プログラム、無償/有償の支援サポートなどの一切が提供されなくなる。これにともない、「脆弱(ぜいじゃく)性を突いた脅威──コンピュータウイルスなどの感染」「アプリケーションや周辺機器のサポート終了」、そして「問題発生時の対応の遅れ」といったエンドユーザーへの影響が懸念される。このようなWindows XPのサポート終了に関連した企業が抱えるリスクや課題を総じ、かつ日本では2014年4月に実施される消費増税も含めた「企業向けPCの2014年問題」対策を早急に行うべき時期に来ている。MicrosoftおよびWindowsベースのクライアントPCをリリースするPCメーカー・ベンダーは新しいバージョンへの更新あるいは新PCへの刷新を盛んに呼びかけ、企業もその対策に追われている。
ただ、終了まで9カ月を切った2013年7月22日現在、サポートが終了すること自体は認知しているものの、そう簡単にはいかないと悩む企業が多いのも事実。思うように移行が進まない事情として、特に「予想以上に工数がかかる」点を挙げる企業が多くを占める。
このような企業の現状をサポートすべく、企業向けクライアントPCも多く展開する東芝(東芝のビジネスPC市場を担う、東芝情報機器が展開)は「独自の工夫を取り入れたWindows XP移行サービス」を提供する。サービスは大きく分け「Windows 7/8 リプレース支援サービス」と「Windows XP アップグレードサービス」の2つ。前者はWindows 7/8搭載マシンを新規導入し、旧XPマシン環境をほぼそのまま移行する場合のもの、後者は業務のため“Windows 7/8時代に導入したPCをXPへダウングレードして使用していた企業”に対し、インストールOSをWindows 7/8へアップグレードする(あるいは、購入時の初期導入OSに戻す)作業の工数を低減できるサポートサービスとなる。
Windows 7/8 リプレース支援サービスの大きな特長は「移行作業時間の大幅短縮」。作業のベースはMicrosoft標準の「Windows転送ツール」を用いつつ、Windows転送ツールでカバーできないデータ移行前後の設定作業も独自の「TIEツール」により自動化することで、Windows転送ツール単独使用時と比べて1台当たりの移行時間を「84分ほど短縮」する効果があるのがポイント。TIEツールにて、
- (事前準備)復元ポイントの作成支援
- (事前準備/事後処理)新旧PCのIPアドレス変更と復元
- (事前準備/事後処理)Windowsおよびウイルスバスターのファイアウォール停止と移行後の復元
- (事前準備)電源設定(スリープモード)変更
- (事前準備)Dドライブ処理(複数ドライブの有無を判別し、移行準備を行う)
- (事前準備)Windows転送ツールのサイレントインストールと自動実行
- (事後処理)進ちょく状況/エラー内容含めたロギング
- (事後処理)旧PC HDDデータの消去/退避
といった移行における事前準備ないし事後処理として発生する項目の作業も自動化し、移行におけるTCOを削減する効果をもたらすという。
基本はソフトウェアとして販売する方向で、PCは新旧含めて東芝製でなくとも対応は可能。「昨今、導入時期やコストに応じて同一メーカーでないマシンを貸与PCとして導入する例も多い。リプレース支援サービスは2013年3月に開始したので、異なるメーカー/メーカー混在といった事例に対応するノウハウも蓄積されてきている。移行データの選別や移行後のカスタマイズ──例えば、移行完了後、利用者に旧PCのデータをきちんと消去してもらうべく、データ消去ソフトウェアのショートカットを移行後のデスクトップにあらかじめ置いておく──といった企業のニーズに合わせたオーダーも柔軟に対応できる」(東芝情報機器取締役 カスタマサポート第一事業部の柏田真吾事業部長)
オーダー形態として、同社技術担当者が訪問し、その場で作業を代行する「オンサイトサポート」(5台から99台:1万5750円/台、100台以上1万500円/台)、機器預かりにて作業する「ピックアップサポート」(5台から99台:1万2600円/台、100台以上8400円/台)、ソフトウェアを提供し自社で作業する「自社作業/ヘルプデスクサポート付き」(5台から99台:6300円/台、100台以上4725円/台)の3プランを基本パッケージとして用意する。
Windows XP アップグレードサービスは、Windows XPで運用するPCに対し、その環境を残したままWindows 7マスターを組み込める(アップグレード)できる“同じマシンを使い続ける企業”向けの支援サービスとなる。こちらも「大幅な作業時間の短縮」を大きなメリットに挙げ、従来のアップグレード約5時間(暗号化されたSmartDEあり環境の場合は約15時間)の作業を1時間以内に短縮できるという。
ボリュームライセンスによって作成される「Windows 7のユーザーマスターイメージ」データを用意することで、ユーザーデータを外部媒体へバックアップすることなく旧環境を残したままWindows 7へ刷新可能。複数マスターがある環境においても、資産管理システムなどから生成されたPC固有情報とひも付けることで、自動選別して正確にアップグレードするといった大企業向けオプションも用意する。
オーダー形態は、訪問作業「オンサイトサポート」と自社作業の2パターン。オンサイトサポートの価格は暗号化環境SmartDEありの場合で2万1000円から/台(5台から99台)、同なしの場合で1万7850円から(5台から99台)、100台以上の場合は別途見積もり。自社作業時の価格は5台から99台の場合で9450円から/台、100台から999台の場合で7350円〜/台。いずれの形態もアップグレードに際し、事前に顧客と打ち合わせし、移行内容を確認したのちに実行する。
「マスターイメージの作成やクローニングを代行するサービスオプションも用意している。アップグレードサービスはXP環境のデータも残すので、万一移行したバージョンでトラブルが発生した場合も一時的に元に戻し、解決してから7に差し戻すといった運用も可能。移行後のテストも含めてより安心して導入していただけると思う。また、移行後の利用者、およびシステム管理者に対する教育支援もサポートメニューに組み込んでいるのもポイント」(柏田氏)
なお、OSの入れ替えにおいては、コストのほかに「XPでなければ動作しない」「Webツールが特定バージョンのInternet Explorerでなければ動作しない」といった業務ソフトウェアやツールの都合で困る企業も多い。ブラウザ上で動作するWebツールはブラウザさえあれば動作可能──と思われがちだが、Internet Explorerのバージョンに依存してしまう例があるためだ。今回のWindows 7/8移行支援サービスは比較的プレーンな環境のPCリプレースを想定するものだが、移行ソリューションとしてこのような特定業務ツールが適合するか否かについての相談も別途受け付ける。
参考までに、約3000台を同社ツール用いて自社作業したある企業は移行完了まで約3カ月かかったそうだ。作業こそ単純だとしても、手間が多ければそれだけ工数が発生し、かつミスが発生=余計にコストがかさむ可能性も高まる。XPサポートの終了は2014年4月とまだ先と思ってしまう「駆け込み需要で混雑し、十分に検証ができないままとなる状態がトラブルのもとになると想定している。そろそろ準備はしておかないと間に合わない可能性がある」とのこと。
「スムーズな移行のため、検討・相談は今すぐでもはじめてほしい。弊社のサービスは、移行計画・調達から導入、運用、保守、移行後の教育、撤去作業・更新・リユースまで一連のWindows 7/8移行に関するPCのライフサイクルマネジメントソリューションを提供するので、では実際にいくらかかるのか、現在使用する業務アプリがWindows 7で動くのか、といった事前相談も随時受け付けている。東芝製PC利用企業はもちろん、他社PCを使っている環境でもサービスを提供できる。まだ十分間に合うので、まずは声をかけていただければ」(柏田氏)
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