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XP終了で慌てている間に、ジワジワ迫る「Vista」と「IE8」の寿命

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次なるレガシー排除のターゲットはWindows VistaとIE8

 Windows XPの延長サポートが終了して半年近くが経過しようとしているが、早くもMicrosoftはレガシー排除に向けた次の計画を着々と進めている。

 2014年4月のサポート終了で主なターゲットとなったのは、Windows XPとInternet Explorer 6(IE6)だったが、次なるターゲットは「Windows Vista」と「IE8」だ。特にIE8の排除が大きな課題となっている。

 以前の連載でも解説したように「Windows 7」は2020年1月、「Windows Vista」は2017年4月に延長サポート期間が終了する。Windows XPはごく一部に例外があったが、基本的に延長サポート期間が過ぎれば、更新プログラムなどのサポートは一切提供されない。つまり、サポート期間を終えてからのOS移行はセキュリティリスクが非常に高く、事前に済ませておく必要がある。

 上の表にはWindows OSのサポート期間が書かれているが、一方の重要な指標であるIEのサポート期間については記述がない。Microsoftのサポートページを参照しても、IEの具体的なサポート期間は不明だ。

 ところが先日、MicrosoftからIEのサポートに関する重要な発表が2件ほど立て続けに行われた。

利用中のWindowsで動作する最新版IEだけをサポート

 Microsoftが「Stay up-to-date with Internet Explorer」のタイトルで8月8日に公開したブログエントリの最新情報によれば、2016年1月12日以降、下記のWindowsバージョンとIEバージョンの組み合わせでのみ、アップデートなどのサポートが提供されるようになるという。

  • Windows Vista(SP2)+Internet Explorer 9
  • Windows Server 2008(SP2)+Internet Explorer 9
  • Windows 7(SP1)+Internet Explorer 11
  • Windows Server 2008 R2(SP1)+Internet Explorer 11
  • Windows 8.1+Internet Explorer 11
  • Windows Server 2012+Internet Explorer 10
  • Windows Server 2012 R2+Internet Explorer 11

 簡単に言えば、現在利用しているWindowsに導入可能な「最新バージョンのIE」を入れたときのみ、サポートが受けられるというものだ。例えば、IE8を継続利用するため、IEをアップデートせずにWindows Vista/7を使い続けることは事実上難しくなる。

 以前にも紹介したように、IE8というWebブラウザは特別な意味を持つ。旧来のIE特有のWebページ記述やActiveX利用など、特に社内システムでこれらの機能に依存したサイトを構築していた場合、最新のモダンなWebブラウザやOS環境から利用できない可能性があるのだ。こうした環境のWebブラウザとして、IE8は必要不可欠になっている。

 IE8が必要な場合、すでにサポートの終了したWindows XP以外では、Windows Vista/7上でIEのバージョンを更新せず、IE8のままで使い続けるしかない。ただし、前述のように2016年以降はこれもサポート対象外となるため、Windows Vistaの場合は「IE9」、Windows 7の場合は「IE11」までバージョンを引き上げるしかなくなる。

 そこで救済策として導入されたのが、IE11における「エンタープライズモード」だ。IE8の動作をエミュレートして、旧バージョンのIE向けに記述されたWebアプリとの互換性を保つ機能で、IE11の大きな特徴の1つになっている。

tm_1405win81up3_05.jpgMSDNのIEBlogから、IE11の「エンタープライズモード」説明画像。適用すると、アドレスバーのアイコンが“ビル”のマークに変化し、IE8以前のブラウザを想定したWebアプリケーションがIE11上でも動作可能になる

 その一方で、IE9にはこうした互換モードが存在しないため、Windows VistaユーザーはWindows 7以降へのプラットフォーム乗り換えが求められるだろう。もっとも、Windows VistaのOSシェアはワールドワイドで見てもWindows XPはおろか、Windows 8のそれにも満たない。Windows XPのサポート終了時ほど騒がれることなく、こうした問題は時間とともに解決するとみられる。

 ということで、Windows Vistaの延長サポート終了は2017年だが、それを待たずして2016年初頭でほぼ死亡宣告が出されることになるかもしれない。おそらくWindows Vistaで問題となるのは個人ユーザーよりも企業ユーザーの側で、特に「Windows Server 2008」のサポート終了を含めたシステム全体での対策をそろそろ考える時期が近付いていると言える。

tm_1408win81up4_01.jpg
tm_1408win81up4_02.jpg2014年8月時点でのデスクトップOS世界のシェア。Net Market Share(画像=上)とStatCounter(画像=下)でデータを並べてみたところ。Windows 7のシェアがどちらも過半数を超えている。Windows VistaのシェアはWindows 8以下だ(出典:Net Applications/StatCounter)
tm_1408win81up4_04.jpg2014年8月時点でのデスクトップOSの日本国内でのシェア。Windows 7が圧倒的なことは世界同様で、国の特徴としてはXPのシェアが1割を切っており、Mac OS Xのシェアが比較的高めなことが挙げられる(出典:StatCounter)
tm_1408win81up4_03.jpg2014年8月時点でのデスクトップ向けWebブラウザの世界のシェア。最新版IEを利用するユーザーが多くいる一方で、依然としてIE8のシェアが最大であったりと、同ブラウザにおけるニーズの高さが分かる(出典:Net Applications)
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