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ココが「○」 |
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・画面サイズと解像度がアップ |
・縦でも横でも使いやすい3:2液晶 |
・sRGB相当の発色、広視野角 |
ココが「×」 |
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・最大輝度はPro 2のほうが上 |
・階調の再現性はまだ課題も |
大幅強化した液晶ディスプレイをチェック
話題沸騰の12型Windowsタブレット「Surface Pro 3」をさまざまな角度から徹底検証する本特集。第1回はモバイルPCとしての基礎体力を確かめるため、パフォーマンス、バッテリー駆動時間、動作時の発熱と騒音を計測した。
2回目となる本記事では、大きく進化した液晶ディスプレイの表示品質を前モデル「Surface Pro 2」と比較しながらチェックする。実際に輝度や色温度、ガンマ、色域なども測定し、スペック表からは見えてこない実際の画質に迫っていこう。
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画面サイズ、アスペクト比、解像度、画素密度、すべてが進化
Surface Pro 3とSurface Pro 2のディスプレイに関する仕様を下表にまとめた。新旧モデルを比較して変更があるスペックは赤字で記している。
単に画面サイズを10.6型から12型に大型化しただけではなく、アスペクト比を横に長い16:9から縦方向の表示領域を確保した3:2に変更しているのが最大の特徴だ。それでいて、厚さ9.1ミリ、重さ約800グラムの薄型軽量ボディを実現しているのは素晴しい。Surface Pro 2は13.5ミリ厚、約907グラムだったため、大画面化しながら4.4ミリ薄く、107グラム軽く仕上げている(第1回で紹介した通り、性能面でのしわ寄せもあるが)。
画面サイズとアスペクト比の変更に伴い、表示解像度は1920×1080ピクセル(フルHD)から2160×1440ピクセルに向上し、特に縦方向の解像度に余裕が生まれている点に注目したい。表示の精細さを示す画素密度は、約208ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)から約216ppiに少しだけ高まった。
Surface Pro 3とSurface Pro 2の液晶ディスプレイ | ||
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製品名 | Surface Pro 3 | Surface Pro 2 |
画面サイズ(液晶方式) | 12型ワイド | 10.6型ワイド |
アスペクト比 | 3:2 | 16:9 |
画面解像度 | 2160×1440ピクセル | 1920×1080ピクセル |
画素密度 | 約216ppi | 約208ppi |
液晶パネル方式 | IPS | IPS |
表面仕上げ | グレア | グレア |
タッチパネル | 静電容量式(10点マルチタッチ) | 静電容量式(10点マルチタッチ) |
デジタイザ | N-trig製、256レベル筆圧対応Surfaceペン付属 | ワコム製、1024レベル筆圧対応Surfaceペン付属 |
MicrosoftはWindows 8において16:9画面を推奨してきたが、Surface Pro 3が他に類を見ない3:2画面を自ら採用してきたことは大きな変換点と言える。そもそも16:9はHD映像コンテンツに最適化したテレビと同じ画面比率なわけだが、PCやタブレットとして使うには横方向の広さに対して、縦方向が狭く感じることも少なくない。
AppleはMacBookシリーズで16:10、iPadで4:3の画面を採用し続けており、個人的にはWindows PC/タブレットがこれらに対して使い勝手で劣る理由の1つとして、16:9画面への固執があると考えていた。筆者も外付けディスプレイでは好んで16:10のモデルを選んで使ってきたことから、3:2画面で縦方向を伸ばす考え方には大賛成だ(16:9に合わせてきたアプリ開発者は複雑な思いかもしれないが)。
それではなぜ12型で3:2という珍しい液晶パネルを選択したのか? Microsoftは、紙のノートのサイズに近いため、10.6型で16:9の画面に比べて、OneNoteなどのデジタルノート機能が利用しやすいことを重視したという。PCやタブレットとしての使いやすさに加えて、ペン入力による「紙の代替用途」も追求し、画面サイズとアスペクト比を変更したのだ。確かにA4用紙は297(横)×210(縦)ミリで、比率は約3:2.1となる。
内蔵する液晶ディスプレイの解像度は2160×1440ピクセルに対応し、1920×1080ピクセル(フルHD)の約1.5倍も解像度を高めた。見慣れない解像度だが、縦の1440ピクセルは720ピクセル(720p)の2倍であり、これを基準に3:2の比率とすると、横が2160ピクセルとなる計算だ。13.3型のハイスペックノートPCでも見かける2560×1440ピクセル(WQHD)と同じ縦解像度を確保し、現状の12型以下クラスではハイエンドと言える仕様だ。
とはいえ、画素密度が約216ppiに至るディスプレイでは、当然ながらドットバイドットの等倍表示だとデスクトップ画面で表示が細かすぎてしまい、視力が高いユーザーでも実用に耐えないだろう。そこで、出荷時の段階でスケーリングは150%拡大表示の設定となっている。デスクトップ画面は文字やアイコン、メニューの表示が少し小さめながら、精細で高品位な印象だ。
約216ppiという画素密度は、Surface Pro 2の約208ppiとほぼ変わらない。iPad Air(9.7型で264ppi)には及ばないが、MacBook Pro Retinaディスプレイモデル(13.3型で227ppi、15.4型で220ppi)に近い値だ。目視の印象では、タイプカバーを装着したノートPCスタイル、それを外したタブレットスタイルの両方において、通常の視聴距離で画素の粒やジャギーが目に付くことはほとんどなく、滑らかで精細な表示を味わえる。
それでは、実際にSurface Pro 3とSurface Pro 2で液晶ディスプレイの見え方はどのように変わったのだろうか?
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