東京大学はこのほど、4兆3700億fpsの世界最高速で連写撮影できる超高速撮影システムを「Sequentially Timed All-optical Mapping Photography」(STAMP)を開発したと発表した。従来手法では撮影できなかった、ナノ秒以下の超高速な現象を可視化でき、生体組織・細胞での衝撃波伝播過程の解析や化学反応の観察などに生かせるとしている。
従来の高速カメラは、機械的な動作による慣性力やデータ転送速度の制限、熱の発生などにより、動作速度が頭打ちの状態。撮影の条件を少しずつ変えながら繰り返し撮影し、取得したデータを再構成して疑似的に動画を作る「ポンプ・プローブ法」ならより高速な撮影が可能だが、一度しか起きない現象をとらえることができなかった。
新技術は、さまざまな色の光を用いて動的現象の像を空間的にばらけさせ、その後、時間的に動画として再構成。まるでスタンプが押されるように、撮影対象の像を光学的プロセスを通じて次々とイメージセンサーに入力し、高速な現象を一度の撮影でとらえる。
原理を実証するため6枚の連続画を取得するシステムを立ち上げ、4.37Tfps(229フェムト秒に1フレーム)で、結晶の格子振動(フォノン)と電磁波(フォトン)が結合した「フォノン・ポラリトン」の動的現象をとらえたという。
研究成果は、英科学誌「Nature Photonics」に掲載された。
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